世界観を際立たせ、仲間との一体感もある 「合わせ」
「合わせ」 とは、コスプレ などを行う際に、仲間と同じ 元ネタ となる同一作品の衣装で揃えること、あるいはコスプレする キャラクター などを同じ作品内で、仲のよい コスプレイヤー (レイヤー) 同士であらかじめ話し合って割り振ったりすることです。 「コス合わせ」 とも呼びます。
「コスプレ」 を許可している 同人イベント や、コスプレイヤーの集う コスイベント やパーティー、コスパ などでは、大勢の 「コスプレイヤー」 さんが会場に集いますが、一人っきりで参加して帰るまで単独な人は稀で、たいていは友達や 相方 と一緒に参加したり、あるいは会場で馴染みのレイヤーさんと合流したりします。
その際、事前に示し合わせて何人もが同じ作品の衣装で揃っていると、なかなか壮観だったりしますね。 原則的に同じ作品や傾向の ファン が集う オンリーイベント などでは、揃いの学生服がズラリと数十人集まることもあり、集合写真などが、まるで本物の学校のアルバム写真のようになっている場合もあります (とくに大人数が集まるものは、「大型合わせ」 などと呼びます)。
なお狭義の 「合わせ」 は作品やコスチュームを合わせたりすることですが、会場そばで合流のために待ち合わせてイベントに参加することとか、イベントが終わった後にどこかでお茶をする、打ち上げをする、なんてことまでを含めて 「合わせ」 と呼ぶ人もいます。 また英語で 「ギャザリング」(Gathering) と呼ぶ場合もあります。
キャラかぶりを避けたり、連帯感を高めたり
「コスプレ」 の世界では、一般的に同じ作品同士でも、まったく同じキャラがかぶるのはなるべく避けたいという意識もあるようです。 まあまったく面識のないレイヤーさんと当日偶然に同じキャラになるのは仕方がないとして、やっぱり仲間同士では変なダブり方はしたくないもの。 2人組なら、人気の カップリング で揃えた方が、注目度もグンと上がり、また写真などを撮影してもかっこよく決まるものです。 ましてそれぞれが、自分の好きなキャラのコスなら最高でしょう。
こうした 「合わせ」 は、仲間同士の絆を深めたり、連帯感を高めるのにはとても効果があるようで、好んで行っているレイヤーさんや、あるいは 「合わせ」 を前提としたコスプレサークル (チームとも) を作って活動しているケースもあります。
すでに衣装を持っている人が集う場合もありますが、「合わせ」 を前提に、一緒に新しくコスチュームなどを作ることもあり、その場合は型紙や縫製のノウハウを 共有 したり、苦手なところを手伝ってもらったり、あるいは情報交換もできますから、衣装のクオリティが上がりますし、何といっても楽しいものです。 「ユザワヤ」 などで数人がかりで、あーでもない、こーでもないといって生地を選んでいることが良くありますが、やっぱりこういうところも含めてのコスプレライフなんでしょうね。
またコスプレを撮影した写真なども、出来栄えが大きく変わります。 単なる集合写真で終わらず、例えばマンガの単行本の 表紙 で複数キャラが登場する図案を真似る、映画の ポスター の集合ポーズを真似るなど、複数人いないと作れない絵柄を作ることができます。 これは大きなメリットでしょう。
コスプレデビューのきっかけになったり、交友関係を広める意味も
初めてコスプレをする、これからコスプレのデビューを飾るなんて初心者にとっては、すでにコスプレで活動している人と合わせたり、合わせてもらったりもよくあります。 いきなり一人だけで 世界観 を作ることもできませんし、コスプレ会場での行動にも不案内でしょうから、先輩の胸を借りるって感じなんでしょうか。
大人数でチームを作っている場合には、不届きなカメラマンによる 盗撮 や ローアングラー を防いでくれたり、会場にいる非コスプレイヤーのカメラマンとは別に、立派な一眼レフカメラをレイヤーさん自らが持参しているような場合もあり、その作品が好きで、かつコスプレイヤーとして被写体になった経験もある 「同じ作品ファン、同じレイヤー目線」 での、かっこいい写真を記録として撮影してもらえる場合もあります。
また 「合わせ」 を募ったり、自分の演じたいコスプレのキャラと 「合わせ」 が成立するレイヤーさんに、「合わせをお願いできませんか」 と持ちかけて、友達 (コス友) を増やしたりするきっかけになる場合もあります。 「合わせ」 をお願いしたり募ったりをする専門のコミュニティなどもあり、そもそもが同じ作品が好きになった者同士ですし、これを発端として仲のよい友達になれるケースも多いものです。
一方で、単に自分に都合が良いだけの 「合わせ願い」 を無分別にそこら中のレイヤーさんに持ちかける人もいたりして、その手の人の対応に疲れて 「合わせはしてません」 なんて標榜するレイヤーさんも少なくありません。 互いのコスプレ 趣味 や、それに対する意識の違いなどを認めたり尊重して、楽しい時間を共有できる仲間を見つけたいものです。