作画修正の最後の手段 「はめ込み」
「はめ込み」 とは、何らかの開いたスペースに別の何かを当てはめることです。 マンガ や イラスト などの制作においては、描かれた内容の修正を行う際、通常の修正方法では対応できない場合に、最後の手段としてしばしば行われたりします。
代表的なのは、1コマまるごと差し替えるとか、通常の部分修正では逆に面倒な場合に行うケースでしょう。 方法はいくつかありますが、もっとも多いのは修正を行う 原稿 と修正された 絵 が描かれた原稿を重ね合わせ、デザインカッターなどで2枚同時に切り抜いて、元原稿の空いた穴に修正原稿をはめ込む形になります。 上手くはまったら、裏から紙を貼って固定し、切った部分の境界にできた隙間や被さりをカッターや修正液を調整すれば終了です。
また修正箇所や規模が小さくても、水彩塗り などのように後から修正液を使って元絵を消しずらいもの、すでに スクリーントーン なども貼り込んでいて修正液などが使いづらい場合にも、この方法がよく用いられます。 上手くはめ込むポイントは、描写した線に沿ってきれいに切り取ったり、ベタ塗り部分を上手く使うといった感じでしょうか。 ただし原稿用紙を切り貼りすることに抵抗感を持つ人も多いので、いずれにせよ 「最後の手段」 みたいな部分はあります。
デジタル時代のはめ込みは楽すぎてヤバイ
一方、パソコンが普及し、デジタルな作画が当たり前となると、このはめ込みは修正のための最後の手段というよりは、作画工程のひとつみたいな扱いになってますね。 いくらでもやり直しが利きますし、左右反転も想いのまま。 いやぁ便利な時代になったものです。
ちなみに大昔の話になりますが、いわゆるガリ版 (謄写版を使った 印刷) の場合も、印刷版となるロウ紙の一部を切り貼りするなんてことを以前はやっていました。 上手くできないと印刷後にロウ紙が印刷紙に張り付いてビリビリと破けてしまい、もう泣きたくなったものです。
ネタとして、セリフを入れ替えたりキャラを入れ替えたり
一方、ネタ のひとつの ジャンル としても、はめ込みが使われることがあります。 例えば既存マンガのコマのセリフだけを別のものに差し替える、書き換えるといったものをセリフはめ込みと呼んだり、動画で関連するものを入れ替えて遊ぶネタ動画、パロディ などです。
はめ込みという言葉自体はありふれた日本語なので、指す範囲もたくさんあります。