渋谷・原宿・六本木 「リア充街」
「リア充街」 とは、リア充 (リアルな日常生活が充実している人) が集う街のことです。
代表的な場所は、東京でいえば 「渋谷」 や 「原宿」「六本木」 などとなりますが、当然ながら特定の街のみを指す言葉ではなく、各地域で若者が集う街、アベックや若い女性や若い夫婦や富裕層などが集う繁華街や歓楽街となります。
言葉としては、おたく な人 (しばしば アニメ や ゲーム、マンガ や、とりわけネットの 掲示板 などの利用生活が充実していて、非モテ でもある) が集う街、オタク街 の対義語としてネット上で登場し、一般人 ばかりの街を指す言葉となりますが、人によってはそうした街を 「ありきたりでつまらない街だ」 とし、否定的な意味で使う場合もあります。
また 「電車男ブーム」 や秋葉原の再開発により、「オタク街」 である秋葉原に 「リア充」 がやってくることに対し、「俺たちのアキバがオタク街からリア充街にされようとしている」 といった、「ネタ」 としての自虐表現としても使われるケースがあります。
「渋谷系」 と 「秋葉系」、非常に大雑把な流れ
代表的なリア充街 「渋谷」 |
リア充集う夜の 「六本木」 |
こうした 概念 は、別にオタクだ一般人だに限らず、街の 雰囲気 や傾向を指す言葉としてポピュラーです。 飲み屋が多ければ飲み屋街、古書店が多ければ古書店街、若者が多ければ若者の街、お年寄りが多ければ老人街です。
多くの場合、マスコミなどが地域とそこに集う人間をカテゴライズし、世相や流行、風俗を、社会現象として分かりやすく伝える時にネーミングして広めるものです。 代表的なものに、1964年頃の 「みゆき族」(銀座のみゆき通りに集まる若者) などがあります。
若者にとって 「イケてる街」 は移ろいます。 映画 「サタデー・ナイト・フィーバー」 大ヒットによる 1977年からの 「新宿」 や 「渋谷」 のディスコブーム、その後 1979年頃から原宿の歩行者天国 (ホコテン) で話題となった 「竹の子族」(ブティック竹の子に由来、独創的なファッションで、年齢的にディスコに入れない若者が日曜日のホコテンでラジカセの音楽に合わせて踊ったりしていた) の人気と収束。 その後はお隣の 「渋谷」 にちょっと年齢層が高い音楽好きな若者が集い 「シブカジ」(渋カジ/ 渋谷カジュアル) も流行。
これをきっかけとして昔から渋谷に点在する輸入レコード屋の中に、アメリカ企業の HMV が渋谷店をオープン (1990年〜2010年) すると おしゃれな若者が集うようになり、「シブカジ族」 とか、音楽用語としての 「渋谷モノ」「渋谷系」(1993年〜1996年) という名称が ファン などの人間や風俗を含めた言葉となり、ポピュラーになりました。
さらにその後、この 「渋谷系」(おしゃれで最先端でイケメンでリア充っぽい) の対極にあるものとして、1990年代後半に侮蔑的なレッテルとして登場したのが 「秋葉系」(アキバ系) でした。
「萌え」 ブームと、アキバ・オタクブーム
こうした名称によるレッテル貼りはその後もしばらく続きますが、2000年代になり メイド喫茶 や メイド などをきっかけに 萌え が一般でも注目されると、勢いのある ジャンル として 「オタク風サブカル」 が比較的好意的に紹介されるように。 バブル崩壊により消費が冷え込み街の店の顔ぶれも大きく変わる中、売り上げを伸ばし海外からも注目を集める 「アキバ系」 の再評価がされるようになりました。
とりわけネット掲示板 2ちゃんねる から生まれた 「電車男」(2004年) は 「アキバ系オタク」 の名を大いに広め、まずはその舞台である秋葉原が、その後は秋葉原と同じ傾向を持つ街 「オタク街」 が注目を集めるようになりました。 「リア充」 という言葉が誕生したのはその後ですが、これと対比する形で 「リア充街」 という言葉や概念が、そのままの意味で使われるようになりました。
なお2010年代後半から 「陰キャ」(陰気なキャラの人)「陽キャ」(陽気なキャラの人) という言い回しが流行し、それに合わせて 「リア充街」 も 「陽キャ街」 といった言い換えが行われる場合もあります。
「リア充街」 は蔑称か
リア充街に集うリア充イメージ |
「秋葉系」 が、そうでない若者 (非オタ) からの侮蔑的レッテルだったのに対し、「リア充街」 は、そうでない若者 (非リア充/ ネト充 (ネット生活が充実している) からのネーミングですが、侮蔑嘲笑対象というよりは、ずっと 自虐的 な言いまわしです (近寄りがたい空気に満ちている…といった感じ)。
「リア充」 自体が非リア充の側からの自虐的ネーミングなのですから、これは当然ともいえますが、いったん言葉として広まり色々な人が使うようになると、その定義や意味づけ、使いどころも変化します。
「リア充」 や スイーツ(笑) を敵愾心むき出しで叩く人もいますから、「リア充街」 もそうした ニュアンス で使っているケースもあるようです。 また 「電車男」 ブームにより興味本位、ものめずらしさから 「オタク街」 にやってくる 「リア充」 に対して、「目障りだ」「巣に帰れ」 といった文脈で 「リア充街」 に触れる場合もあります。