なんでそんなショボいニュースで…「テロップテロ」「速報テロ」
「テロップテロ」「速報テロ」 とは、テレビで アニメ などの放送が行われている最中に、臨時ニュースなどでテロップ (TelOP/ 画面に重なる形で表示される文字、字幕) が表示されてしまうことです。 そのアニメを楽しみに視聴している ファン、とりわけ録画などを行っている アニオタ にとっては迷惑以外の何物でもないので、「テロ」 と呼ばれるようになりました。
こうした 「アニメや特撮番組の放映中に流れるテロップ」 を邪魔だ、迷惑だと感じる人は昔から多く、かつては おたく の間で、字幕攻撃 などと呼ばれていました。 この言葉も、2000年代あたりからは、「字幕テロ」 として、上記 「テロップテロ」「速報テロ」 と同等の扱いをされています。
2000年代になり、テロップの大型化と多発化が
「鋼の錬金術師」 テロップテロ (後述します) の再現画像 顔の真ん中に災害警報や日本地図が常時表示され… |
迷惑な 「テロップ」 に接尾して 「テロ」(Terror/ テロル/ 言論ではなく暴力や破壊、恐怖によって政治的目的を達成しようとすること) という言葉が使われるようになったのは比較的最近です。
これは 2001年9月11日に発生した 「アメリカ同時多発テロ事件」 以降、「テロ」 が頻繁にマスコミなどで使われ、言葉として身近になったというのもあるのでしょう。
と同時に、2000年代になってから、日本のテレビ局の通常番組中のテロップ頻度が激増したこと、それにより番組視聴を妨害されたと感じる視聴者らの話題に登るケースが増えたのも大きな要因となっています。
一昔前までは、よほどの大事件、大事故や、地震速報、被害が予想される災害警報くらいでしか速報は流れなかったものです。 しかし 2000年代になり、地方自治体の選挙結果が流れたり、公共交通機関の運転見合わせ・遅延が何度も流れたり、あまつさえどうでも良いようなスポーツ・芸能ニュースや自局の番組宣伝までもがテロップで流れる状況に。
さらにそれまでのテロップは画面上部に小さく白抜き文字が一行、流れながら出る程度だったのが、色付きで2行、3行になって静止し居座ったり、画面右部に該当地域の地図が表示されたり、大規模な災害警報や選挙関連の速報が流れる時には、継続してL字型のフレームが表示され、通常番組が縮小された状態で表示されるように。
アナログ放送とデジタル放送の画面アスペクト比 (4:3/ 16:9) の違いから、どちらにも対応させるため地図や文字が画面のほぼ中央部に表示されるケースもあり、アナログの場合などでは、まともにテレビ画面を見るのが不可能なくらい大きいフォント文字のものも登場。 また2009年1月からはアナログ放送では画面右に常に 「アナログ」 ロゴの表記がされるようになり、その後はさらに画面下にアナログ放送終了のテロップが常時表示されるようにも。
こうした状況が頻発すると、多くのアニメファン・ドラマファンなどが 「番組をないがしろにしている」「もうウンザリだ」 と激怒することになりました。
2009年 アニメ「鋼の錬金術師」 で苦情殺到、再放送の事態に
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人気アニメ、「鋼の錬金術師」 テロップテロAA |
中でもこの 「テロップテロ」 という言葉をアニメ視聴者、ファン以外にも広めるきっかけとなったのは、アニメ 「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」(2009年4月〜2010年7月/ MBS・TBS系列) の第46話 「迫る影」 のテロップ騒動でした。
南米チリ沖で発生した大地震による大津波の到達が予想された2010年2月28日、日本のテレビ局は警報を常時表示する形で放送を行っていました。
この 「迫る影」 の放送時には大きなL字型の情報 枠 が常時表示され番組画面が縮小されたあげく、画面の右半分に日本地図と凡例という、ほとんどまともに番組を見ることができない状態となってしまいました。
これにより視聴者からは苦情が殺到。 放送局側では急遽臨時の再放送を行うことになったのでした (しかもその後第48話 「地下道の誓い」(3月14日) でも、福島沖の地震でまた同じような 「地図表示」 が)。 またどちらの地震も大騒ぎしたもののあまり被害がなかった (それは大変幸運なことです) ことが、「騒ぎすぎだ」 と怒りを増幅させる結果ともなったようです。 ネット の 掲示板 などでは 「ハガレンは呪われている」「またテロップテロきた」 などと話題となり、合わせて 「テロップテロ」 という言葉が広まることになりました。
もちろん災害警報などは放送するのが放送局として当然の義務ですし、テレビ局側でもやりたくてやっているわけではないのでしょうが、ここらはどうにも難しい問題です。 人によっては無粋なテロップをわざと入れて録画を妨害し、DVD の売り上げ増を狙っているのではないかとの邪推までするケースもありますが (常識的に考えてそれはないと思います)、災害は忘れた頃にやってきます。 あまり安易に批判ばかりするのも考えものでしょう。
大河ドラマ 「龍馬伝」 のクライマックスで 「当確」、苦情殺到
2010年に放映された福山雅治さん主演の NHK 大河ドラマ 「龍馬伝」。 この最終回となる11月28日放映の第48回 「龍の魂」 において、テロップテロ事件が発生。 あろうことか、1年間のクライマックスとも云える近江屋での坂本竜馬の暗殺シーンで、愛媛県知事選挙の当選確実の2段テロップが画面上部を占領することに。
大河ドラマは日曜夜8時の放映ですから、一般的に選挙が日曜に行なわれること、投票締め切り・開票から数十分間後の丁度良い頃あいに当確テロップが流れるのは、長年の大河ドラマファンにとってはある意味 「いつものこと」「恒例行事」 とも云えます (各話のクライマックスはもちろん、最終回の見せ場で選挙速報のテロップが流れることも珍しいことではありません)。
しかし 「龍馬伝」 では大河ドラマの最終回としては珍しく30分間の放送延長がされ、例年ですと夜8時台には速報テロップが流れるケースが多いので (通常はテロップが流れつつ夜8時45分に大河ドラマの放映が終了し、その後のニュースで詳細が触れられる)、今回のようにそろそろ夜9時を回ろうかという時刻までテロップが流れず、狙ったようにクライマックスで流れた (しかも表示時間が長かった) ことから、「テロップテロだ!」 と大騒ぎに。 NHK には苦情が殺到することとなったのでした (ちなみにこの日は和歌山県知事選挙もあり、もちろんそのテロップも番組中に流れました)。
筆者 は大河ドラマの大ファンで地上波放映視聴者なので、このテロップはもちろん観ましたが、薄暗い近江屋の客室セット画面にクッキリと白抜きで浮かび上がる 「愛媛県知事選 新人の中村時広氏 当選確実」 のテロップと弥太郎の最後には、ちょっとずっこけましたです…。