うちのサークルの初期は、みんなこれでした… 「ラップスキャン」
「ラップスキャン」(Wrap Scan) とは、まだグラフィックスキャナーが高価で手が出なかった頃、その代替方法として行われていた、貧乏くさいパソコン線画取り込みテクニックのひとつです。
まずパソコンに取り込みたい イラスト や マンガ などの原画を用意します。 次にその原画の上にサランラップをかぶせ、油性マジックインキなどで上からなぞって図案を写し取ります。 その後そのラップを今度はパソコンのモニタ (CRT) に貼り付け、グラフィックソフト上でその図案をマウスで再度なぞって、線画を取り込みます。
グラフィックソフトやマウスすらない場合は、同じようにイラストを写したサランラップをモニタに被せた後、カーソルキーでなぞって座標を取得し、その後その数値をデータ化してプログラムで描写したりします。
高価な業務用スキャナーしかない時代に…
2000年代になりスキャナーも安価になり普及していますし、ペンタブレット なども安くなり一般の個人が気軽に買い求めて利用するケースが多くなっていますが、1990年代ともなるととても高価で、業務用、もしくは半業務用のごついものしかありませんでした。
座標打ち込み系イラストはともかく、マウスを自由自在に操りイラストを描く達人は結構いましたが (うちの サークル には、ノートPCのパッドで取り込みかと思うような美麗なイラストを描いている化け物もいました…)、「ラップスキャン」 は家にある小物を利用してすぐに実行できるので、行っている人が結構いたものです。 ソフトやマウスがない時代には、それしか方法がありませんでしたし。
ちなみに 筆者 も最初の CG 描きの時にしばらく試してみましたが、かなり面倒だったので、その後、奮発してフラットベッドタイプのスキャナーを購入しました。 1995年頃だったと思いますが、大型のオーディオ機器のようなバカでかく重いもので、価格も当時で15万円以上しました。 その後2005年頃に買い換えましたが、今度は片手で軽々と持てる薄型で、価格は1万円を切っていて、性能は圧倒的に後者の方が上。 技術の進歩には目を見張ったものでした。
2010年頃からは、それこそデジカメで手軽に撮った画像からでも簡単に原画取り込みができる時代となっており (LANネットワーク経由でケーブルやらの接続すら必要なし)、急激に普及したスマートフォンでお手軽に絵を描いたり、しまいには2020年代途中からプロンプトだけで画像が AI 生成されるような時代へ。 長生きはするものですね…。
さらに昔は、方眼紙スキャンなども…
なお似たような 「画像取り込み」 のテクニックとしては、マウスが時代に完全アナログ的手法として活躍した、方眼紙スキャン なんてのもあります。 こちらは方眼紙でイラストやマンガの線上の点の座標を手動で数値化するもので、座標取りのラップスキャン同様、気の遠くなる作業となっていました。