コスプレになくてはならない小物なれど…
「得物」(えもの) とは、武器や道具のことです。 あるいは扱うのに長じた武器、高度な使用法を獲得した得意な道具の意味や、それが転じて得意技、必殺技、職人技、巧みの技なんて意味で使われる場合もあります。
コスプレ の世界では、ハンドガン (拳銃などのモデルガン)、ナイフ、ダガー (もちろん刃がついてないレプリカ)、手斧 (ハンドアクス)、扇子、虫眼鏡などの小型の アイテム で、もっぱら片手で持つようなものをそう呼ぶ場合があります。 ちなみに 「コスプレ」 することを コスる とか 「化ける」 などと呼びますが、こうした 「得物」 を手に持つことは 「装備」 と呼んだりもします。
なお日本刀などの模擬刀や槍、魔法少女などがしばしば手に持っているような長いステッキや杖、さらにライフルやショットガンの模型、鞭などの長い武器、長ネギなどの手持ちのアイテムは 長モノ (長得物) と呼びますが、それを含め、武器・道具アイテム類全般を 「得物」 と呼ぶ場合もあります。
イベントでのコスプレでは、「長モノ」「得物」 系の持ち込みは原則ご法度
マンガ や アニメ の登場人物は、何かしらの象徴的なアイテムを多くの場合手に持っているものです。 子供向けアニメや特撮番組などで玩具メーカーがスポンサーになって、キャラクター が手に持つアイテムと同じオモチャを売り出すようになると、この傾向は拍車がかかり、また刀を持つのが当然なサムライや忍者が出てくる作品や、戦国ものの作品が人気となると、こうしたアイテムを自作したり、持ち込む人たちが増えるようになりました。
しかし小さなステッキのようなものならともかく、たとえ刃がついていない模造刀であっても、大勢の人がごった返すコスプレ会場や広場では振り回すのは危険ですし、拳銃などのモデルガンも、弾を発射できるエアガンなどは本人に人を傷つける意図がなくても、何らかの手違いで弾がでてしまっては万が一の場合、非常に危険です。
過去にとある イベント で真剣を持ち込んだ不届き物がいた…なんて話もありますが、こうしたアイテムは1990年代には大きさや材質に関わらず、多くの 同人イベント、あるいは コスプレ参加 が許されている各種イベントで、持ち込みが禁止となっていますね。
またコスプレに直接使う道具という訳ではありませんが、カメラ撮影に使う一般的な長尺物 (三脚や一脚、脚立など) も、コミケを始めほとんどのイベントで持ち込みは禁止です。
材質形状を問わず…ただしいくつかの例外も
「危険回避」「事故回避」 のため、中にはステッキなどの道具類を 「縫いぐるみ」 のように布やフェルト、クッションで作る人もいたりします。 コスプレ衣装を自作するような裁縫上手な人の場合、とても縫いぐるみには見えない造形、完成度のものもあり、基本的に縫いぐるみなので、人にぶつかっても危険はほとんどありません。
しかしどのような材質、形状であれ、いったん 「手に持つ道具」 を認めてしまうと際限がなくなり、いつか起こってしまうであろう深刻な事故を懸念して、一律禁止にしているケースはたいへん多いです。
ただし元々が模型 ファン などが集まるイベントである 「ワンフェス」(ワンダーフェスティバル) では、例外的にこれらの道具類の持ち込みがある程度認められていて、その意味ではコスプレ参加の際に重要視されるイベントのひとつとなって、かなりの盛況を誇っているようです。 キャラクターによっては、道具類がシンボルとなっているケースも多いですし、写真などを撮るときの決めポーズなんかでも、武器やアイテムがあるとビシッと決まるものですから、こうした数少ないイベントは、大切にしたいものですね。
なおコスプレ専門でどこか会場を借りて行われるようなイベント コスプレイベント などの一部は、この限りではありません。 また自宅やスタジオを借りての撮影などに、何の問題もないのは云うまでもありません。 コスプレ人口が増え、イベントなどで披露するだけなく、記念として仲間同士で写真撮影するのが盛んになると、こうした 「得物」 はある方が決まりますし、結局はTPOが大切なんでしょうね。