持つとかっこよくキマる 「長モノ」、しかし…
「長モノ」「長物」 とは長い武器、もっぱら刀剣類を指す言葉です。 「長得物」 とも呼びます。
コスプレ の世界では、日本刀などの模擬刀や槍はもちろん、魔法少女が手に持っているような長いステッキや杖、さらにライフルやショットガンの模型、鞭などの長い武器、楽器類まで、とにかく比較的大きな手持ちの アイテム はこう呼ばれます。 野菜の 「ダイコン」 や2006年以降は 「長ネギ」 なんかも該当するでしょう。
ハンドガン (拳銃などのモデルガン)、ナイフ、ダガー (もちろん刃がついてないレプリカ)、手斧 (ハンドアクス)、扇子などの小型のアイテムで片手で持つようなものは 得物 (エモノ) などと呼ぶ場合もあります (長モノを含め、武器アイテム類全般を 「得物」 と呼ぶ場合もあります)。 コスプレすることを コスる とか 「化ける」 などと呼びますが、こうした 「得物」 を手に持つことは 「装備」 と呼びます。
「長モノ」「得物」 系の持ち込みは原則ご法度
こうしたアイテムは大きさや材質に関わらず、ほとんどの 同人イベント、あるいは コスプレ参加 が許されている各種の イベント で、可燃物 などと一緒に持ち込みが禁止となっています。 過去にあるイベントで真剣を持ち込んだ不届き物がいたり…なんて話もありますが、刃がついてようがついてなかろうが、振り回して危ないものは原則禁止となっていますね。
中にはステッキなどの道具類を縫いぐるみのように布とクッションで作る人もいたりしますが、どのような形であれ、いったん認めてしまうと際限がなくなり、いつか起こってしまうであろう深刻な事故を懸念して、一律禁止にしているケースはたいへん多いです。
例えば野外のイベントで雨が降りそうな天候の場合、当然ながら コスプレイヤー は実用品として傘を持つことになりますが、「実用品の傘」 と、コスプレ用アイテムとしての傘とは別物扱いなんて感じになりますね。 実際はそこまで杓子定規でもないですし、時代によって、あるいはイベントの種類によって対応は様々ですが、一度例外のようなものを作ってしまうと、「○○さん は良くて、なんで私はダメなんですか」 なんてことになりますし (しかもたいてい、スタッフとその ○○さん が癒着して特別扱いしているように見えてしまう)、そこらのお嬢様学校の校則も真っ青な例外なき取締りを行っている場合もあります。
またコスプレに直接使う道具という訳ではありませんが、カメラ撮影に使う一般的な長尺物 (三脚や一脚、脚立など) も、コミケを始めほとんどのイベントで持ち込みは禁止です。
大規模イベントでは、「ワンフェス」 での持ち込み可が有名
元々が模型 ファン などが集まるイベントである 「ワンフェス」(ワンダーフェスティバル) では、例外的にこれらの道具類の持ち込みがある程度認められていて、その意味ではコスプレ参加の際に重要視されるイベントのひとつとなって、かなりの盛況を誇っているようです。 キャラクター によっては、道具類がシンボルとなっているケースも多いですし、幕末などの歴史モノ、干し物系 のコスプレでは武器は必須に近いので、写真などを撮るときの決めポーズなんかでも、武器やアイテムがあるとビシッと決まります。 安全に気をつけて参加し、こうした数少ないイベントを大切にしたいものですね。
なおコスプレ専門でどこか会場を借りて行われるようなイベント コスプレイベント などの一部は、この限りではありません。
コミケでも 「長物」 解禁? いやしかし、やっぱり映えるよね…
そんなこんなの長物ですが、2011年の冬コミ (C80) より、銃刀法で規制されている真剣や模造刀を除き、多くの長物アイテムが久々に解禁されました。 長物OKのイベントは前述の通りなかった訳ではありませんし、事前にコスプレの規約変更を頭で知っていたとはいえ、いざ 東京ビッグサイト で思い思いの長物アイテムを持った大勢のコスプレイヤーを見ると、「やっぱりこれだよな!」 的な感動がありますね。
こうした規制・規約の変化は、アイテムや物理的な道具類をいちいち規制するのではなく、参加者の行動やマナーで安全や居心地の良さをカバーする、別の云い方をすると参加者の振る舞いへの自発的な取り組みや心がけを信頼するとの意思表示でもありましょう。 その後 81、82と続き、コスプレ参加者も増えていますが、トラブル もなく、徐々に定着しているようです (C81でエントランスプラザにコスプレ広場があったのにはびっくりしました。 逆三角をバックに撮影したい…ってのは、かねてから要望がありましたしね)。
こうした規約変更がこのまま続き、皆が楽しめるよう、マナーを守りしっかり周囲の安全を確かめつつ、コスプレが発展するといいですね。