相手の動きを読み切って弾を当てる… 「偏差攻撃」
「偏差攻撃」 あるいは 「偏差射撃」「偏差撃ち」 とは、動く敵に対して砲撃・銃撃を行う ゲーム において、敵の未来位置を予想して射撃を行う攻撃方法です。 ほぼ同じ意味で 「置き攻撃 （射撃）」 とも呼びます。 現実の 軍事・ミリタリー の世界でも使われる言葉で、「偏差」 のほか 「見越し射撃」「リード射撃」 と呼ぶ場合もあります。
遠距離にいる敵を銃や砲、弓矢などで攻撃するためには、弾丸や砲弾を発射してそれが相手に届くまでの時間が必要となります。 従ってこちらや相手、もしくは双方が動いている場合は弾が届く頃には位置が変わっており、命中させることはできません。 また敵がこちらの存在を知っていたり、発射音を聴くなどによって攻撃を認識すれば、回避行動を取る場合もあるでしょう。
そこで相手に照準 （エイム） を合わせて直接狙うのではなく、弾が届く頃に相手がどこにいるのかを予測して狙いを補正しつつ弾着位置を移動経路に重ねて撃つ必要があります。 これが偏差攻撃や射撃と呼ばれる方法です。
様々な条件を瞬時に計算して射撃する
当然ながら相手との距離が遠いほど弾が届く時間 （タイムラグ） が多くかかりますし、相手の動きが早ければ、それだけ未来の位置も大きく変わることでしょう。 これらは弾の速度と相手との距離、相手の動く速度を計算することである程度正確に導けます。 しかし相手が回避行動を取る場合は、どの方向に回避するのかを予測するいくばくかの運の要素も 絡み ます。
回避行動はジグザグに不規則な走り方や飛び方をする、車両や艦船なら煙幕を張る、車体や艦体に迷彩を施すなどして位置や進行方向や速度、車体や艦体の大きさを隠す、欺瞞する、航空機なら頭捻り （機首捻り） や横滑りで機首と進行方向をずらして敵の正確な目視を混乱させて妨害し、狙いを誤らせるなどが代表的です。 迷彩などは、軍艦の幾何学模様のダズル迷彩のように、奇抜で目立つものもあります。
また発砲による反動のブレや、遠距離の場合は空気抵抗や重力なども考慮しなくてはなりません。 軽量高速の航空機同士の戦いではこれらの影響は極めて大きくなるため、速度や重力といった命中を妨げる一部の影響を無効・減少化させるために機銃に角度をつけて照準を容易にする取り組みなどもあります （ちなみにドイツ軍のシュレーゲ・ムジークとか旧日本軍の斜め銃とか上向き砲は敵機機銃の死角からの射撃を企図したものでこれとは違います）。
緊迫した戦闘においてはこれらの条件をほんの一瞬で決めて撃たなければならず、ゲームにおいても現実世界の軍事戦闘においても、高度なノウハウや射撃手の直感、あるいは射撃管制といった考え方や、射撃盤 （射撃計算機） や管制システムといった機器や仕組みが必要となります。
「偏差攻撃」 と 「置き攻撃」
なお必ずしも射撃などを伴わないゲームにおいても、こうした偏差攻撃は意識する必要があります。 例えば格闘ゲームなら、相手が攻撃技を繰り出す兆候が現れたら先回りして相手の技を回避した後にカウンター攻撃がかけられる位置に向かって攻撃モーションを開始する必要があります。 またタワーディフェンスゲームで敵の進行方向が分かる場合には、その移動経路上に罠を仕掛けると云った攻撃方法もあります。
これらの攻撃は、一般的には偏差攻撃よりは置き攻撃と呼ばれることが多いかもしれませんが、撃つか置くかの違いだけで、敵の未来位置に対して待ち伏せ的に攻撃を行うという根本的な考え方は同じです。
なおこれが転じて、掲示板 などで論争や バトル が生じた際、相手の次の レス を予想して先んじて 書き込み をして相手のレスの直後に間髪入れずに反論を行ったり、偶然同じタイミングで相手のレスを論破するようなレスが重なった場合に、ネタ として 「置きレス」 とか 「置き論破」 と呼ぶこともあります。 置き論破などは、論争の相手がこちらの手の内を完全に読み切っているとの証になりますから、受ける ダメージ ははかり知れません。 役者が違うと分かった段階で撤退戦に入った方が傷が小さく済むでしょう。 まぁそれが分かる程度の 有能 さがあれば、置き論破など食らわないでしょうが。
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