個人の生活と社会の生活の境界線はいずこに…? 「食堂で一人食べてる人って不愉快」
「食堂で一人食べてる人って不愉快」 とは、学生食堂などで、ひとりぼっちで食事をしている学生 (ぼっち飯) を見ると、自分の生活を外に 露出 させているような他人に対する無配慮が感じられ、気分が悪くなるとの意味の言葉です。
ただし本来の意味とは無関係に、「一人だけで食事をとらなくてはならない」 = 「友達 (リア友) がいない、少ない」 との連想から、いわゆる ぼっち な人を 煽る ような使い方をする独特の言葉、あるいはある種の ネットスラング のようなフレーズともなっています。
「学生食堂で一人でご飯食べてる人を見るとすごく不愉快」 などになる場合もあります。
「食堂で一人食べてる人って不愉快」 元ネタは作曲家 坂本龍一氏の発言
「食堂で一人食べてる人って不愉快」 元ネタは 「ジャージを履いてはならぬ。」 |
元ネタ は、2006年11月16日にウェブサイト 「ほぼ日刊イトイ新聞」 に掲載された矢野顕子氏デビュー30周年記念企画、「矢野顕子くんについて、坂本龍一くんと話そう。」 シリーズ (全15回+おまけ) の第3回、「ジャージ を履いてはならぬ。」 での、作曲家 坂本龍一さんの発言からとなります。
コピーライター糸井重里さんとの対談形式のこの記事は、坂本さんの 「ジャージ嫌い」 からこの回の話が始まります。 「コンビニなどの公共の場に、部屋着 (プライベートな服装) であるジャージを着て出てくるな、自分と他人との境がわかっておらず、他人に無遠慮、見ている方が不快だ」 との趣旨で、この流れの中で一連のフレーズの元になる言い回しが登場。
実際の内容は、「ジャージに近いのは、学生の時に、学生食堂で一人でご飯食べてる人いるわけ。男とかで。きちんと食べてるんだけど、それを見ると僕、すごく不愉快なのね(笑)。」 で、その不愉快に感じる理由として外出着としてのジャージ同様、「自分の生活みたいなものを露出させている感じがする」 と述べています。
定期ネタ化した 「食堂で一人食べてる人って不愉快」
こういった感覚は、レベル の違いはあるにせよ、例えば泥酔した男性が駅のホームでごろ寝をしている、女性が電車の中で化粧をしているなどを見た時に、多くの人が覚える不快感と同様のものとも云えます。 プライベートとパブリックをきちんと分けろ、公私の別をつけろという訳ですね。 ジャージで外出には全く違和感を覚えなくても、パジャマや下着で外をうろつくのには、強い違和感を持つ人も少なくないでしょう (そうでない人もいますが…)。
まぁ一人で外で食事をとるのがそれらと同列のものとはとても思えませんが、ともあれ 「学生食堂で一人でご飯食べてる人」 というのが、友達の少ない人、孤独な人の怒りの琴線に触れる表現だったのか、あるいはそうした人を面白おかしく煽り 叩く のに都合の良いフレーズだったからなのか、掲示板 2ちゃんねる を中心に大きな話題となることに。
元ネタの発言も、実際は前述の通り、全部で15回+おまけの16回連載に相当する企画のうちの1回であり、興味深いエピソードや、アーティストの 「感覚的」 な部分の面白みをやや挑発的に書いているところもあって、全体を通して読むとまた違った印象もあります。 しかしネットの ネタ として煽るような使い方をするぶんには、使いやすい部分のみ切り取ったこれで十分だったということなのでしょう。
その後は 「定期ネタ」 として、一定周期ごとに繰り返し話題となる お約束 ともなっています。