汚い言葉で大絶賛 (褒め言葉)・(褒めてる)
「(褒め言葉)」 あるいは 「(褒めてる)」 とは、一般的には罵詈雑言の類と思われる汚い言葉、例えば 「バカだ」「クソ だ」「キモイ」「頭がおかしい (あたおか)」「狂ってる」「変態」 といった表現を逆に強い誉め言葉として使う場合に、「これは褒めているんですよ」 と見る人にわかりやすく示すために接尾する注釈的な言葉です。
使い方としては、
頭がおかしい(褒め言葉)
これはかなりの変態(褒めてる)
といった表記となります。 意味は 「常識外れに素晴らしい」「極めている」「突き抜けている」 といったものとなります。
似た表現に 「(良い意味で)」 もあります。 また 「w」 をこうした ニュアンス を目的として語尾につける場合もあります。 その場合は、それぞれ 「頭がおかしい(良い意味で)」「頭がおかしいw」 となります。 ただし 「w」 の場合は、前後の流れや文脈によってはそのまま罵倒となる場合もあります。
さらに一周して逆に煽る使い方も
なお、褒めてはいないけれどさほど直接的に貶してもいない言い回し、あるいはごく微妙に dis りつつも単なる状況説明的な文章の末尾にあえてつけ足して内容を強調し、相手を 煽る ような使い方もあります。
例えば
お母さん の買ってきた服を着てそう(褒め言葉)
友達がいなさそう(褒めてる)
みたいな感じです。
この場合は、相手を世間一般ではあまり褒められた状況ではない状態だと貶めた上に、その状態で良かったねと褒めることで二段階に貶めるような煽り言葉となります。
また
気が利くね(褒め言葉)
笑顔が魅力的(褒めてる)
などは 一周回って 意味が逆転し、本当は 「気が利かない奴だ」 と思ってる、「無理な笑顔が酷い」「笑顔以外は何もない」 といった皮肉・罵倒のニュアンスになってしまいます。
わざわざ野暮な注釈をつけなくては意図が伝わらない状況
バカとかアホ、クソ、狂ってる、キチガイといった言葉で褒めたたえる言葉の使い方は昔からあります。 また 「クソかっこいい」「バカらしいほど美しい」「ゲロ美味い」 など、最大・最上 を表すためにあえて汚い ネガティブ な言葉を接頭して使うケースもあります。
これに比べると 「(褒め言葉)」「(褒めてる)」 などという意図を示す野暮な文字列をわざわざ接尾するのは、分かりやすいというよりは文字列を見る人の読解力やリテラシーを信頼していない無粋なつけ足しです。 こうした言い回しは ネット が普及し始めた頃にはあまり見かけないものでしたが、一般 にも インターネット が広がり、様々な レベル の人が利用するようになると、些細な言葉の行き違いで トラブル となることも増え、こうした予防線のような注釈をつける必要性が生じたのでしょう。
これはマニアックな話題で言葉のあやを理解できないレベルの人の目に触れて誤解を招きたくないという意識もさることながら、何かとネガティブ・攻撃的な意見ばかりを書き込む人がネットで目立つようになり、それらと混同されてはかなわないという発信者側の気分もあるのかもしれません。 またいったんこうした言葉が広がると、その文字列を見た人も真似するようになってシンプルな意味の言葉として広まり定着したとも云えます。
掲示板 2ちゃんねる (5ちゃんねる) のマニアックな専門板でこうした表現の レス をつけている人を見ると、「集まっている人はみんなマニアックな人ばかりで、そんなことをつけ足さなくても褒めているとちゃんとわかる」 とは思うのですが、文脈が読み取れず 脊髄反射 する人もいますし、まとめサイトなどに転載される中で非マニアの一般人が見て意図やニュアンスを理解できずに言葉通りに 「バカ」「クソ」 と理解されてしまうケースも多く、これはこれでやむを得ないのかも知れません。
前述した煽りとしての使い方などは、ネットスラング として面白みのあるアレンジであると同時に、コアな ネット民 のこうした状況への無意識の皮肉も多少はあるのかなと思います。