終わった後に偉そうなことを云われても… 「事後諸葛亮」
「事後諸葛亮」 あるいは 「後だし孔明」 とは、リアルタイム で現在や将来の見通しを語るのではなく、ものごとが終わった後に、さも最初からそれが分かっていたかのような顔をして後知恵・後だしジャンケンのように意見を述べることです。 2020年1月末から流行し、主に時事ネタなどで使われる ネットスラング として定着しています。 後で都合が悪くなると意見をコロコロと変える人は 手の平ドリル と呼びます。
元ネタ は中国のことわざにある表現 (事后諸葛亮) で、意味も前述した日本でのそれと同じく、事件が終わった後に偉そうなことを言ったところで始まらないといったものです。 流行り始めたきっかけは、2020年1月30日にラジオ番組 「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」 で中国のことわざとして紹介されネットで話題となったことで、放送後すぐに ツイッター でトレンド入りして広まったものでした。
なおパーソナリティーの佐久間宣行さんは、元・テレビ東京のプロデューサーであり、放送開始は2019年4月4日。 自身の YouTubeチャンネル 「佐久間宣行のNOBROCK TV」 は登録者数が170万人を超え、特異な プロフィール と聞きやすい語り口、何より自身の経歴を活かした企画力や業界裏話などで、多くの リスナー から高い人気と支持を得ている方です。
日本でも絶大な人気と知名度を誇る諸葛亮だけに、話題性も十分
諸葛亮 (孔明) は古代中国、三国時代の蜀漢、劉備配下の軍略家 (軍師)、発明家、政治家 (丞相) として名高い人物です。 三国志を通じて日本人には極めてなじみの深い人ですし (たぶん過去現在含めもっとも有名な中国人だと思います)、2019年12月より連載し人気を博していた 「パリピ孔明」 も話題となっている中、タイムリーな話題性もありました。
日本のことわざや熟語の類には、中国の故事成語・成句や中国語が元になったものが数えきれないくらいあります。 それは日本に漢字が伝来した大昔の頃から十数世紀に渡って続く中国文化受容の歴史の結果ですが、ほんの数十年単位のごく最近の例を見ても、主に項羽と劉邦や水滸伝、三国志をベースとした数多くの文芸作品、マンガ や アニメ、ゲーム、そこから派生した中国古典にゆかりのあるネットスラングや おたく用語 も数多く存在します。 この事後諸葛亮・後だし孔明も、本家中国のことわざを直輸入したりアレンジした、日本人に愛されるもっとも新しい中国のことわざだと云えるかもしれません。
ちなみに前述した 「パリピ孔明」 は2022年4月にはアニメ化、翌年にはドラマ化もされていますが、とりわけアニメ版は出色のできだったオープニングから大きな話題となり (OPテーマ 「チキチキバンバン」(QUEENDOM) は大ヒット、ダンスシーンもあったため、日本だけでなくアジア圏を中心に踊ってみた動画の 投稿 も盛り上がりました)、ある種の、そして何度目かの孔明ブームが生じています。