同人用語の基礎知識

実質見てないのと変わらん

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見たはずだけど覚えてない… 「実質見てないのと変わらん」

 「実質見てないのと変わらん」 とは、特定の マンガアニメ などを過去に読んだり見たりしているけれど、それがあまりに昔過ぎてもうすっかり内容を忘れてしまった、実質的に見ていないのと変わらない状態になったという、そのまんまの意味の言葉です。

 年を取って昔読んだ本や作品の内容、あるいは小中高、年代によっては大学やその他の学校に通って一度は習ったはずの学習内容が完全に頭の中から消えてしまうことはよくあります。

 もちろん大好きで何度も読み返したり見返している作品とか、印象的な部分や心に残ったシーンなどは断片的に覚えていますし、いざ改めて読み返したり見返すと、「そうそう、こんな話だった」「次のシーンであいつが出てくるな」 などと記憶が蘇ったりします。 また 「この作品は若い頃に読んだ・見た」 ということだけは覚えていたりはしますが、基本的にはただそれだけです。

 場合によっては読んだり見た記憶さえなくなり、何となく 動画サイト で未見のはずのアニメを見ていたら 「あれ…? これ見たことあるかも…っていうか見てた」 といった状態となり、自分の脳みそが信じられない事態に陥ることもあります。 買い物などで、誤って同じものを二度買いすることはわりと経験する人が多いようですが、それなりの時間を費やして読んだり見たりした作品が完全に頭から抜けるのは、自分自身で強い衝撃を受けるケースもあるようです。

エアプ扱いされるのも、ニワカ扱いされるのも辛い

 こうした言葉や 概念 がことさらに出てくるのは、例えば おたく腐女子 との会話の中で、「○○って読んだ?」「昔読んだよ」「どうだった?」「…うーん (あんまり覚えてない)」 というやり取りの中で、相手から 「知ったかぶりをしてるだけで、実際は読んでないのではないか」「エアプ (エアプレイ) ではないか」 と疑われたり、ニワカ扱いされることへの忌避感があるからです。

 おたくにせよ腐女子にせよ、その世界では基礎教養と呼ばれるような、履修 しているのが当然の扱いがされる名作や有名作がたくさんあります。 それらを知らない、あるいは知っていると云ってるくせに作中の固有名詞や内容が出てこない状態は、知ったかぶりのニワカが虚勢を張っているだけのように見えかねませんし、それはおたくや腐女子がどうのというより、相手からこちらの人格を疑われる レベル の話です。

 一昔前に比べたら、作品の数は膨大だし 趣味 の細分化もあって、「おたくのくせにこの作品を知らないなんてありえない」 という状況は軽減されつつあるような気がしますが、それでも知識の量や がおたくや腐女子同士の格付けや マウント に使われたりしますから、「ちゃんと読んだんだ見たんだ、でも年取って思い出せないだけなんだ」 との状況に、苛立たしさを覚えるおっさんおばさんおた・腐女子は少なくなさそうです。

年を取ること、それは忘れること…

 ちなみに 筆者 はもともと記憶力が皆無に近く、とりわけ人の名前が覚えられない方なので、若い頃に友人との会話で名前がすぐに出てこずに 「こいつ本当にこの作品を見たのか?」「見てもないくせに知った風な口を利くニワカ野郎」 と思われているのではないかと冷や冷やしていました。 マンガやアニメといった趣味や娯楽の話ならまだしも、仕事や何らかの議論などで思ったように固有名詞が出てこないと、相手から無知だと思われているのではないかと不安だったものです。

 とくにおたくな人って細かいところまで記憶している人が多いので、コンプレックスはとても強いものでしたね。 幸い頭の回転としゃべる速度だけは多少速かったので、口先三寸で何とかごまかしつつ、あるいはごまかされたふりをしてくれる佳き友人に恵まれて生きて来れましたが…。

 その後年を取り、自分だけでなく周囲の友人らも加齢による記憶力や思い出し力の低下が生じ、「あー、うー、ここまで出てるけど出てこない」 みたいな状態になったことで、「やっと同じ土俵に立てた」 と喜んでいる状態ですw ていうか、何十年も前の作品の キャラ設定 の固有名詞はもちろん、スタッフや周辺情報、細かい数字などがスラスラでてくる人を筆者は昔から尊敬しています。 まあ、記憶を消してまた見たい なんて言葉もありますし、忘れるのも人生を楽しくする一つの 要素 なのかも知れません。

教養番組に対する意識も変わる…?

 ちなみに筆者は、若い頃は純粋なお笑い番組や音楽番組はあまり好きではなく、教養番組が好きな子供でした。 一番好きなテレビ局は NHK、ついで NHK 教育で、マンガなどにありがちな真面目だけが取り柄の世間知らずキャラみたいな嗜好を持っていました。 おたくな人との交流が増えると、意外にあたしみたいな人間が少なくないことを知って勇気づけられましたが、筆者が子供の頃は 治安 の悪い土地柄で育ったこともあり、小中学あたりで NHK とか好んで見ている人間は皆無に近く、話題も合わずに周囲から浮いていて辛かったものです。

 当時は自分の中で、「お笑い番組を見てもその時は楽しいけど後に何も残らない、教養番組なら知識が残る」 などと考えていましたが、実際はいくら教養番組を見たところでたいして記憶に残らないので、あまり意味がないことに途中で気が付きました。 要するにガチャガチャした騒がしさではなく、落ち着いた声でアナウンサーが 原稿 を読み上げるような番組が耳に優しく、またちょっと大人ぶりたい気分に合っていただけでした。 ほとんど音楽の好き嫌いと同じ感覚です。

 このあたりはその後知り合った 中二病 罹患歴ありな友人にも似たような人がいて、「ああ同じだな」 などと感じたりもしましたが、人生で記憶力がピークみたいな小学校から中学にかけての頃、どう考えても記憶力が大半みたいな教科でも自分が好きなものはテストでもだいたい良い点を取っていたので (中学の生物とか歴史なんて98点とか100点以外取ったことないです)、一方で地理や英語は成績悪かったり、集中力次第なのかもしれませんが、訳が分かりません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2014年5月11日)
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