男前な女性への賞賛表現…「男段位」
「男八段」(おとこはちだん) 転じて 「男段位」(おとこだんい) とは、男っぷりのよい女性、男前な女性に対する一種の賞賛表現です。
単純に 「男っぽい」 という意味でもありますが、いわゆる 「おなべ」(女性が男性の身なりをし、男性っぽく振舞う) を直接的に指すような言葉ではなく、「さばさばしている」「思い切りがよく細かいことで思い悩まない」「頼りがいがある」 なんて一般的な女性とはちょっと違う性格などを力強い男性として肯定的に喩え、もっぱら男性が女性に対して尊敬する 兄貴 を褒めるような使い方をする言葉となっています。
最高位は 「男八段」。 現有段者は声優さん1名のみのようです。
「男八段」、人気声優 緒方恵美さんのラジオ番組から…
直接の言葉の成り立ちとしては、「幽☆遊☆白書」 の 「蔵馬」「美少女戦士セーラームーン」 の 「セーラーウラヌス/ 天王はるか」「新世紀エヴァンゲリオン」 の 「碇シンジ」 ほかで活躍している人気声優の緒方恵美さん(日音アーティスト) を指す尊称、愛称の言葉です。
緒方さんが以前やっていた深夜のラジオ番組 「緒方恵美の銀河にほえろ!」(文化放送/ JOQR/ 1996年4月7日〜1998年4月5日/ 初期はタイトルにメルティランサーがついていた) で、リスナー の ファン らがパーソナリティの緒方さんにつけたニックネームのような呼称、「男八段」「兄貴」 が 元ネタ となっています。
緒方さんと云えば、「蔵馬」 で女性ファンの心をわしづかみにし、その後 「天王はるか」 で女性ファンに加え男性ファンからの支持も不動のものとし、さらに 「碇シンジ」 でアニメの歴史にも大きな足跡を残した実力派・人気声優さんですが (個人的には偉大な人気声優さんと呼びたいです)、とりわけ女性ファン、男性ファン双方から絶大な支持を受けた作品、「美少女戦士セーラームーン」 における役割は大きく、おたく の世界、腐女子 の世界、ひいては 同人 の世界で大きなムーブメントと同人 界隈 の人たちの性別を超えた架け橋のきっかけになったといって良いでしょう。
ラジオ番組 「緒方恵美の銀河にほえろ!」 は、天王はるかが登場した 「セーラームーン」 のSシリーズ放映直後で、さらに 「新世紀エヴァンゲリオン」 が社会現象のような盛り上がりを見せている最中の放送で、アニメラジオ (アニラジ) 番組として際立って高い人気と聴取率を誇っていました。 男っぽさもさることながら、下ネタをもいとわない思い切りのよさ、「人生相談」 コーナーでは、時としてリスナーを叱り飛ばすような励まし、渇の入れ方から、親しみと尊敬を込めて使われるようになったものでした。
最大限の賛辞として
女性を男性に喩えるのが褒め言葉になるのかどうかはともかく、リスナーにとっては親しみと憧れ、最大限の賛辞として送られたのが、この 「男八段」「兄貴」 なのでした。 ちなみに 筆者 の部屋には 1995年頃からずっと、特注のパネルに入れたセーラーウラヌスの等身大 ポスター が貼ってあります…。