ギャル語を揶揄する中で…「ズッ友」
「ズッ友」 とは、そのまんまですが、「ずっと友達」、あるいは 「ずっと友達でいようね」「ずっと友達だょ」 といった意味の略語、ネットスラング のひとつです。 「vvズッ友宣言vv」 ともいいます。
元々は ネット とあまり関係がなく、女子高生や ギャル と呼ばれる若い女性たちが使っていた言葉、いわゆるギャル語の一つでしたが (プリクラや卒業文集などで書き文字として使っていたもの、主に若年層向け雑誌などの影響で広まった)、その後、こうした女子高生・ギャル風の言葉によって名作を再構成、あるいは台無しにする的な パロディ がネット上で流行し、中でも太宰治の名作、「走れメロス」(1940年) を 元ネタ とする作品 (ズッ友メロス) が、そのあまりの完成度の高さからブレイク。
前後して他にも様々な一発ネタが登場しましたが、それらの オチ に 「ズッ友だょ」 がしばしば使われたため、主にミニブログ Twitter (ツイッター) などで、2012年5月を中心に、春から夏前後にかけて大きな話題となりました。
これらのうちいくつかは、そのまま 「ズッ友 コピペ」「ズッ友宣言コピペ」 といったくくりで 2ちゃんねる などの 掲示板 やニコニコ動画などに広がる一方、同人 の世界でも 東方Project 関係で人気楽曲が登場するなど、大きな盛り上がりをみせています。
JK (女子高生)・ギャル風の 「走れメロス」
メロスゎ走った…… セリヌンティウスがまってる……
でも……もぅつかれちゃった…
でも…… あきらめるのょくなぃって……
メロスゎ……ぉもって……がんばった……
でも……ネイル…われて……イタイょ……ゴメン……まにあわなかった……
でも……メロスとセリヌンゎ……ズッ友だょ……!!
◯◯風に書く、△△を再構成する…
この作品が面白く、かつ大人気となったのは、「間に合わなかった」(すなわち、メロスの 幼馴染 であり、メロスの身代わりとなったセリヌンティウスは、王に処刑されてしまう) にもかかわらず、「ズッ友だょ……!!」 と自分勝手な結論になっているところでしょう。
「走れメロス」 は日本人なら誰でも知っているストーリーですし、そのクライマックスシーンに突如登場する不条理さが強いおかしみを醸しだし、読むものの印象に深く残る ネタ になっていると云えます。 また間に合わなかった理由が 「ネイルが割れて痛いから」 という理不尽さ、セリヌンティウスの名前が、後半セリヌンと略されているディティールも見逃せません。
若い女性や、いわゆる ゆとり と呼ばれる若い人達の独特な言葉遣いや口調を使った再現・改変ネタは色々なものがあります。 有名なものに スイーツ(笑) などもありますが、ネタがある程度出揃ってくると、様式美のような決め台詞が登場し、それがひとり歩きして流行語になったりもします。
「ズッ友」 もネットで流行するはるか以前から使われていた言葉ですし (略語としては1990年代末から2000年代初頭には、ある程度広がっていました)、使い勝手がとてもよく、かつ初見でも何となく意味がわかる言葉なので、これからも折にふれて使われてゆくんでしょうねぇ。 ちなみに 「ズッ友」 の対義語としては、「友ヤメ」(友やめ/ 友達をやめたくなった、友達やめます) といった略語もあります。