弾幕薄いよ、何やってんの!?
「弾幕」 とは、元々は軍事用語です。 弾丸を発射する機関銃のような武器で、標的をきちんと狙って1発ずつ射手が弾を発射するのではなく、おおよその方向に多数の機銃を集中し、文字通り弾丸を雨アラレと発射することで、まるで弾丸の幕のようになる状態からこう呼ばれます。
間断なく降り注ぐ弾丸の中をかいくぐるのは至難の業で、さらに射手が多少熟練していなくても、おおよその方向に銃口を向け引き金を引き続けるだけなので運用も容易です。 もちろん弾1発あたりの命中率は大きく下がりますが、戦場で敵を圧倒したり、夜間で敵の姿が見えない場合、あるいは航空機など動きが早く照準しづらいターゲットを攻撃するのに効果的な戦術と云えます。 ただし圧倒的な物量 (数多くの機関銃と、その弾丸の補給) がなければ行えない方法です。
シューティングゲームに弾幕が…残機ある限り、見切り掠り避けまくる
その後この 「弾幕」 は、テレビゲームなどのシューティングゲームで見かけるようになります。 初期のシューティングは、敵も1発ずつ弾を撃つような ゲーム が多かったのですが、その後 ボスキャラ が大量の弾を発射したり、ザコ敵 であっても、大量に登場して画面を覆いつくすような大量の弾の雨を降らせるようになりました。 また弾丸やレーザーだけでなく、敵機が体当たりしてくるのを避ける場合もあります。
ゲームの プレイヤー は、自分が操作する機体や キャラ (自機) を右に左に動かして、この弾幕を避けつつ、敵を攻撃することになります。 ゲームの難易度が上がるにつれ、シューティングの弾幕は苛烈を極め、画面上のわずか10数ドットの範囲にいないと避けられないとか、覚えゲー (何度もやって敵の動きやステージ構成を完全に記憶することでクリアが可能になるようなゲーム) を極める、プレイヤーに高いスキルを要求するようなゲームが登場するようになりました。
プレイヤーは敵を攻撃する爽快感はもちろん、この敵弾をいかに華麗にすり抜け避け続けるか、残機 の数を気にしつつ、スリルと爽快感、さらにやり込みによる達成感を持っているようです。
ゲームの高難易度化と、ついに弾幕系シューティングの登場
また最初から最後まで弾幕がメインのような、俗に 「弾幕系シューティング」 と呼ばれるゲームも登場するようになりました。 この ジャンル の金字塔としては、1997年に発売された株式会社ケイブ (CAVE/ 発売元はアトラス) のアーケード用2Dシューティングゲーム 「怒首領蜂」(どどんぱち) が有名です。 名前からして弾幕感がすごいですがw、前作 「首領蜂」(どんぱち) の続編として人気を博し、その後、他社からも類似の コンセプト のゲームが多数発売。 後に 「弾幕系シューティング」 と称されるようになりました。
なお弾丸はランダムに発射されたり、プレイヤーの操る自機の動きにあわせて発射したりを繰り返しますが、コンピュータゲームですので、それなりの法則がもちろんあります。 その法則によって大量の弾丸が飛び交うことによって、ある種の幾何学的な模様が画面に出てくることがあったり、弾幕に 「花火」 のような美しさを表現する作品も出てきて、スリルや爽快感だけでなく、目で見て楽しめたり、美しい画面を出すためのやりこみ要素なんかも出てきています。
また単に弾幕を避けるだけでなく、弾幕や敵、ステージ上の壁など、接触したら自機が破壊されるようなオブジェクトに可能な限りギリギリまで接近して、あえてスレスレで回避するスタイルのゲームや (かすり系などとも呼ばれる、弾幕などに近づくとスコアが上がるタイプのゲーム)、自機の発射する武器の射程距離が短くなるアイテムを取ると得点が上がる (短射程で高威力、すなわち腕があると敵を早く撃破できる) なんてゲームもあります。 弾幕系シューティングを、アーケード、ゲームセンターの 「華」 と呼ぶ人は多いようですが、分かるような気がしますね。
ゲーセンで他人の華麗な技を見ると、ちょっと感動しますね
筆者 は覚えゲーが苦手で (単なるバ○という噂もある…)、しかも運動神経や反射神経はせいぜい人並み、動体視力はまるっきりという状態なので、弾幕系シューティングなどとてもクリアできませんが、俗に 「ゲーマー」 と呼ばれるような人たちは、とにかくシューティングにはうるさいですね。 ゲームにもいろいろなジャンルがありますが、やっぱりシューティングだけは別格なのでしょう、たまにゲーセンなどに一緒にいくと、ありえない華麗なプレイを見せてくれたりします。
同人の世界でも、同人サークル 「上海アリス幻樂団」 によって作られている 「東方Project」 の諸作品のように、弾幕系は人気があるようです。