「ホモ」 に変わり使われるようになった男性同性愛の呼び名、ゲイ
「ゲイ」(Gay) とは、男性同性愛者のうち、カミングアウト (周囲に、自分が男性同性愛者であることを告白もしくは 告知 (誰でもわかる同性愛のシンボルを身に着けるなども含む) している) 人たちのことです。
日本では 薔薇、古い言葉で 「衆道」 とも呼びます。
陽気で煌びやか、華やかなる者こそゲイの語源
「ゲイ/ Gay」 の語源ですが、現在はハードゲイなんてのも一般人が知る ジャンル となり男性同性愛のイメージが非常に強いのですが、実は当初ゲイとは、必ずしも男性同性愛のみを指し示す言葉ではなかったようで、男女共に 「同性愛」 の傾向を持つ人をこう呼んでいたようです。
途中から女性同士の同性愛に関しては レズビアン という呼び名が古代ギリシャのレスボス島に住んでいたという伝説的な女流詩人、サッポーの名と共に浸透してゆき、自然と区別するために男性のみの同性愛を称して 「ゲイ」 と呼ぶようになっていったようです。
「ゲイ」 そのものは古いフランス語の 「陽気な」「派手な」「煌びやかな」 といった意味の言葉が変化したもので、生殖を伴わない高尚な 趣味 (しかもキリスト教では厳しく戒められている禁断の愛) として、とらえられていたようです。 その意味では 「耽美」 なる やおい 作品や、美しい少年を愛でる ボーイズラブ などとも相通じるものがありそうです。
ただし男性作家による 「レズビアン」 モノの作品が、百合系 の女性作家や ファン にあまり受け入れられないように、同性愛であるがゆえにか、作家と 読者 の明確な方向性の違い (同じ性別の カップリング でも、内容がかなり違う) があるらしいのは興味深いです。
ホモからゲイ、レズへ…カミングアウトの歴史
当初同性愛は、「同じ」 を意味する英語 「Homo」 を使った、「ホモセクシャル/ Homo sexual」 と呼ばれていました。 ただしホモが、「同性同士でエッチをするヘンなヤツラ」 的な差別的な言葉として面白おかしく使われている中、しばしばこれらと同一視されがちな性同一性障害 (Gender Identity Disorder) などで悩む人々から別の言葉にしようという運動が盛り上がり、またカミングアウトし自らの主張を社会に投げかけるに及んで、ゲイやレズになっていったのは、知っていても良いかも知れません。
本来ホモと性同一性障害とは似て非なるもの、全く違う 概念 ですが、外からみるとそれは非常にわかりにくく、一部の芸能人の存在やショーアップされ娯楽としてのホモなどが話題となる中、強い危機感を覚える人も少なくなかったわけですね。
同人 の世界などでは、これらは事細かく分類されていますし、単に創作物として扱う人がいる一方、実際にそうした境遇にいる人も関わっていますので、このあたりのきちんとした区別には、厳密かつ神経質になるケースも多いものです。 ただし同人の世界が大きく広がり、参加する人の数が桁違いに膨張する中、様々な考えの違い、温度差などが、逆に軋轢を生むことにもなっています。