成功するかしないか…サイコロにキャラの命運を賭ける!
「行為判定」 とは、テーブルトークRPG (TRPG) や ゲームブック において、プレイヤーが行った行為 (やろうとすること) に対し、ゲーム のルールに基づいて状況の変化をそのつど判定することです。
例えばプレイヤー (の操作する キャラクター) が モンスター と出会い攻撃するとして、その攻撃は当たったのか外れたのか、当たったのならどのくらいの ダメージ を与えたのか、外れた場合、それに対するペナルティはあるのかないのかなどを、あらかじめ決めておいたルールによって判断し、そのキャラの置かれた状況を行為ごとにその都度組み立てていきます。
どのような行為があり、それにどのような確率でどのような効果を与えるのか。 「行為判定」 はゲームのルールそのもの、ゲームの根幹とも云えるもので、プレイヤーはこれを理解した上で、ゲームを進めてゆくことになります。
行為の成否判定と、それによって生じる様々な判定結果
「行為判定」 には大きくわけて、2種類あります。 一般的にこの種のゲームでは、ゲームの舞台となるダンジョン (洞窟) などをキャラクターが歩き回り、部屋のドアや宝箱を見つけたらその鍵を開けたり、先に進むための 「行動」 を行いますが、こうした行為を 「一般行為」 と呼びます。 一方、モンスターなどと遭遇して戦うこと、戦闘などは、「戦闘行為」 と呼びます。
「一般行為」「戦闘行為」 それぞれにいくつもの種類の 「行為」 とその成功確率などがさらにルールで定められていて、キャラクターそれぞれが持っている能力値や 装備 している武器や道具の能力数値や属性値、さらにサイコロを振ってでた数値 (偶然の要素を入れる) などの パラメータ、ステータス を加味し、その数値の大小や計算式に基づいて、その行為が成功したか失敗したか、どういう効果をもたらすかを判定します。
もっとも多いパターンは、サイコロを振って出た数値 (出目) によって判定するものでしょう。 例えば1〜6の数値の描かれたサイコロを振って、「3より大きければ成功」(上方判定、小さいと失敗となる)、「3より小さかったら成功」(下方判定、大きいと失敗となる) なんてのが代表的です。 プレイヤーがやろうとする行為が難しいのなら、上方判定ならば 「5以上の数値」 となりますし、簡単なものなら、「2以上の数値」 にすれば、行為の難易度 (目標値) を達成度の形でシミュレートすることができます。
こうした手法はゲームの世界で生まれたわけではなく、西欧の軍事の世界では棋上演習という形で戦術研究や訓練を行う中で、近代に入ってからよく行われていました。 日本では明治時代にアメリカに留学、後にアメリカやイギリスで駐在武官として滞在し、欧米海軍でこうした手法を学んだ日本海軍の秋山真之 (1868年4月12日〜1918年2月4日/ 日露戦争における連合艦隊の参謀として有名、後に中将) が持ち込み、普及させたとされます。
秋山が1902年に帝国海軍大学校の戦術教官に就任すると、教練の一環として棋上演習を度々実施。 大きな海図に船の模型を並べ、攻守で模擬海戦を行い、砲撃の判定 (命中したか、命中したらどこに当たったのか、被害はどのくらいか、など) をサイコロを使って行っています。
「クリティカル」 と 「ファンブル」
これらの 「行為判定」 において、ゲーム進行上、決定的な成功を収める判定を クリティカル、致命的な失敗となる判定を ファンブル などと、とくに呼びます。
うち 「クリティカル」 は爽快感がありゲームの楽しさそのものの要素でもあるので、後にはゲームの世界から飛び出し日常生活などでも、「今日ものすごくラッキーなことがあった」「気に食わないやつに会心の一撃を叩き込んでやった」 なんてのを、「クリティカル」 と表現する場合もあります。
ゲームマスター(GM) の進行で思わぬ神展開も
なおこうした 「行為判定」 は、ゲーム全体を進行管理する GM (ゲームマスター) が基本的なルールを踏まえた上で、その場その場の判断で行いますが (ルールブック に載ってないような状況となるケースが非常に多い)、これをどう公平正確かつバランスを考えて柔軟にまとめるかで、ゲームの面白さが大きく変わってきます (基本的にはGMの判定は無条件に絶対です)。
後にパソコンゲームやテレビゲームなどで、このGMの役割はソフトウェアのプログラムによる計算で行われるようになりますが (サイコロを振るのは乱数などで再現)、「行為判定」 が面白さの重要な要素、ゲームの面白さそのものでもある点は TRPG も 要電源 ゲームも基本的には同じです。