クリア早すぎ! 特にネトゲで輝く RTA
立ち止まるな 振り向くな ただひたすら突き進むのみ (寐津菟かき子) |
「RTA」(Real Time Attack) とは、ゲーム のプレイにおいて、実時間 (リアルタイム) でどれだけ速くクリアできるかを競うプレイスタイルのことです。 こうしたスタイルでプレイする人を、ネトゲ の世界ではとくに 「RTA勢」 と呼ぶ場合があります。
「ゲームを最短でクリアする」 という 概念 には、いくつか種類があります。 代表的なところでは、ゲームのオープニング画面からエンディングまで、「ゲーム内時間」 で最短を目指すプレイ (TA/ Time Attack/ タイムアタック) と、この RTA です。 同じく素早いクリアを目指す両者ですが、プレイ方法に同じ部分もあれば、大きく異なる部分もあります。
例えばプレイ中に現れる敵がランダムで 「倒しやすい敵」(速く倒せる)「倒しにくい敵」(時間がかかる) に分かれて登場 (エンカウント) するゲームの場合、TA ならば倒しやすい敵が現れるまで何度でもリセット (再起動) して繰り返しプレイ (リトライ) することになります。 セーブ するポイントがある場合は、そうしたリセットとリトライを セーブポイント ごとの区間プレイで繰り返し、最終的にゲーム内で判定される総時間を最速にする必要があります。
一方の RTA の場合、リセットやリトライを行う時間 (ゲーム内ではカウントされないが、実時間ではカウントされる) も短縮する必要があるため、場合によっては倒しにくい敵が現れてもそのまま突き進むこともありますし、セーブ (及びその ロード) も、それ自体に無駄な時間がかかるため一切行わないなどの特長があります。
RTA では、プレイ時間の記録はストップウォッチなどを使ったゲーム外の アイテム での計測となりますが、それでは単なる自己申告になってしまうので、動画で記録してその証拠としたり、ニコニコ動画などで生配信する場合もあります。 その場合、動画や配信を視聴する人に対して、プレイ時間に影響を及ぼさない範囲で魅せるテクニカルなプレイを行うなど、ちょっとしたお遊び要素を加える場合もあります。
一方、極めてシビアなプレイになりがちなのは、複数のマップなどが存在するゲームで、それぞれのマップを複数人のプレイヤーで担当して走りきるリレー (駅伝) 形式の RTA でしょうか。 この場合は第一走者が担当マップをクリアした後に第二走者が次のマップを開始といった方法になるためやり直しはできず、またマップごとに異なる敵が出る場合にはそれぞれに特化・特効 した戦い方ができるプレイヤーを選ぶ必要があります。 単に無駄な時間を切り詰めるだけでなく、総合的な戦略が必要になる点が魅力でもあり難しさでもあります。
他のプレイヤーに先んじて攻略法を教えてくれる RTA勢
またこうした 「スポーツ競技のような最速プレイ」 の他に、「ゲームが発売、もしくは配信された時をスタートとし、誰がもっとも速くクリアするか」「先行プレイ」 といった遊び方もあります。
リアルタイムと密接な関係がある ネトゲ (ネットワークゲーム) やその中で開催される イベント や クエスト の最短クリアなどはその最たるものでしょう。 RTA勢 のプレイは他の プレイヤー にとっては未踏のイベントの 攻略 のヒントともなる情報をもたらしてくれるために大きな注目を集め、有益な 攻略法 を発見した場合には 神 として、その世界で崇め奉られるケースもあります。
TAS とは?
なお、TAS (タス/ Tool-Assisted Speedrun/ ツール・アシステッド・スピードラン/ もしくは Tool-Assisted Superplay/ ツール・アシステッド・スーパープレイ) といった遊び方もあります。 こちらはエミュレータや改造ツールなどを使って通常プレイでは不可能なスピードを実現するもので、速度の論理的な限界を目指すような遊び方になります。
例えば本来ならセーブできないポイントなのに、メモリに直接プレイ記録を書き込んでこまめにセーブし、ありえないリセット&リトライを行って時間を短縮する、通常プレイではまず不可能な素早いコマンド入力のためにフレームレートを下げるなどといった方法を使います。 ただしメモリ内容の改竄 (チート) はしません。
こうした遊び方については、「単なる不正ツールによる時短でずるい」「フレームレートの操作などは、実機では再現不可能であり意味がない」 とする意見もありますが (したがって通常の TA や RTA とは厳密に分けて考えられています)、独自のルールが設けられ、これはこれで遊び方のいちジャンルとして確立していたりします。
ゲームの仕様や処理の内容、時として バグ の発見やその極限の活用などを伴うため、そこで得られた知見が実際のプレイにフィードバックできる場合もあり、TAS を行わない人でも、遊び方の一種として肯定的に捉える場合も少なくありません。