好き同士なのになぜかつき合えない… 「両片想い」
「両片想い」 とは、お互いに好きなのに相手が自分をそう思っていることに気づかず、双方が片思いすることで、相思相愛なラブラブカップル・恋人になれないでいる状態を指す言葉です。 他人から見たら両想いなのが明白なのに当人たちだけが気が付いてない場合や、ほとんどわかっていて強く意識もしているけれど単に告白までには至らないとか、顔を合わせると素直になれずにいる、相手の事を大切に思うあまりに片思いだけで幸せだと満足したり、年の差 や身分の差などがあって告白をためらっている場合もあります。
とりわけ やおい・BL の場合は、男性同士でそれぞれが相手を (場合によっては自分も) ノンケ (異性愛者/ 非同性愛者) だと思っていて、「男同士だし無理だよな」「告白などしたら迷惑に決まっている」「男を好きになるなんて、俺ってどうかしてる」 と葛藤したり諦めているような状態を指すこともあります。 これは女性同士の 百合 などにも同様の傾向があります。
恋人未満のじれったさと、約束されたハッピーエンド
片思いは一般に一方向からだけの好意を指しますが、両片思いは双方がそれを行うことで、マンガ や アニメ といった創作物においてはそれぞれの視点で感情を表現でき、一粒で二度おいしいような物語にできる魅力があります。
もちろん恋人として物語がスタートしたり 結婚 から始まる物語もありますが、ラブコメを始めとするとする多くの恋愛もの作品の場合、感情の変化やすれ違いなどの 「恋人未満のじれったさ」「結ばれる前のあれこれ」 が最大の魅力や滋養だったりもするので、当事者同士が出会った直後はともかく、本編の大半が実質的には 「両片想い」 となるケースも多いでしょう。 結ばれたらその後のラブラブ描写や性行為のあれこれがあったとしても、「結ばれるかどうか」 という物語自体はそれで終わってしまいます。
また 「両片想い」 には別の魅力もあります。 それぞれが相手に好意を持って舞い上がったり落ち込んだりとつかず離れずの過程を微笑ましく楽しみつつも、「最後にはハッピーエンドが約束されている」 という安心感です。 この安心感は作品を楽しむ上でわりと重要で、どんなに苦しい展開になっても明るい未来があると思えるなら、心理的なストレスを感じず、楽しむことができるでしょう。 もちろん結末がどうなるかハラハラドキドキしたいという楽しみもあるのですが、不穏 な空気が流れると精神的にきついと感じる人も少なくない印象です。 これは作品自体の出来不出来や面白さなどとは無関係に存在し、それなりに優先順位が高い感覚です。
寝取られ (NTR) の破壊力が最大出力になる状況かも
逆にこうした シチュエーション を最大限に活かせるのが 寝取られ (NTR) でしょう。 お互いに惹かれ合っていて正式に交際する寸前の一方が、途中から出てきた モブ に奪われるのは、より一層の破壊力を生み出すこととなります。 両片思いの描写が丁寧で微笑ましかったり、幼馴染 といった別の要素が複合したり、とくに性行為を行う作品で両片思いの キャラ が 処女 や 童貞 だった場合は、その破壊力は最大出力になると云って良いでしょう。