やっぱり自分の推しがナンバーワン!… 「優勝」
「優勝」(ゆうしょう) とは、一般的には勝負事で一番になること、何かの競技や選考で最優秀な成績を残すことです。 一方、一部の若者や おたく・腐女子 の世界においては勝負事や成績などとは関係なく、単に賞賛や大きな喜びといった意味でも使われます。
例えば自分が 推す アイドルが一番だ、最高だ、あるいはアイドルを応援する中で良いことがあった、嬉しいことがあった (アイドルから名前を憶えて貰えたとか、ライブでファンサ (ファンサービス) が受けられた、など) の最大級の喜びの形容表現にもなるのですね。 同じような言葉に 勝利・大勝利 とか MVP (最優秀選手/ Most Valuable Player) があります。
実際の使い方はシンプルで、「〇〇優勝」 なら、「〇〇というアイドルが一番かわいい」「イケてる」 になりますし、「優勝商品」 なら大ヒット商品に、「先週のライブで優勝した」 なら、「ライブで何か良いことがあった」 みたいな意味になります。 「昼飯優勝」 なら 「お昼ご飯が美味しかった」 ですし、「優勝週末」 なら 「週末に喜ばしいことがあった」 となります。 単に 「最高」 と同じような使い方だと捉えてもさほど遠くありません。
一方、日常生活における主に異性関係についての話でも使われ、その場合は 「上手くいった」「エッチができた」 といった意味の隠語的な使われ方もします。 「昨日 ナンパ で優勝した」 なら、「ナンパしてかわいい子とエッチができた」 みたいな意味になります。 その他様々な話題でも使われ、「パチンコで優勝した」 なら 「勝った」「晩飯で立ち寄ったラーメン屋で優勝した」 なら 「おいしいラーメンに当たった」 という意味になるでしょう。
こうした言い回しは勝負事や試合などに関わらず、「最高」「一番」 を表すために昔から 普通に 使われてきたものです。 例えば試合でも何でもないのに 「うちの母ちゃん優勝」 とか、仲間内で 「お前が優勝だ」 みたいな言い回しで褒めたり称えたりは、それこそ昭和の頃からある使い方でしょう。
一般用語や一般用語っぽいオタク用語から、ほとんどネットスラングへ
これが2010年代中頃から割と頻繁に使われる若者言葉のような扱いになったのには、特定の マンガ やお笑い芸人やユーチューバーの影響、掲示板 でよく使われるとか、それ以前に同じ意味でわりと使われていた前述の 「勝利」「大勝利」(あるいは逆に 「敗北」「大敗北」) の影響など色々と 元ネタ・原型っぽい言い回しがありそうですが詳細は不明です。 ともあれ 「本来は選ばれた結果一位になる」 という意味の優勝を、ちょっとズレながらも最高だ、一番だの意味で使うのは、目新しさや 「言葉の使い方がおかしいおバカを装う」 ような面白さもあって新鮮に感じられるものなのかもしれません。
また当たり前の話ですが、誰かが優勝したら、それ以外のものは敗北したことになります。 勝利・大勝利 もそうですが、掲示板などでことさら 「優勝」「大優勝」 を使うのは、自分とは立場や好みが違う人、あるいは対象物の アンチ に対する 煽り や 対立煽り のような ニュアンス もありますから、いろいろと使い勝手が良いというのもあります。 「俺の好きな〇〇は優勝した、何か文句ある?」「で、お前の好きな□□はどうなの?」 というわけです。
ニュアンスが近い表現にはこのほか、「〇〇しか勝たん」 といった言い回しもあります。 これは 「推ししか勝たん」、すなわち推しに勝てる奴はいない、推しが最強だ最高だ一番だといった称賛表現となります。