健康に全振りしてくれた両親に感謝… 「全振り」
「全振り」(全フリ) とは、一部のコンピュータゲームにおける キャラクター や ユニット の ステータス や パラメータ (能力値) を 設定 する際に、あらかじめ用意されたボーナスポイントの補正値を、一ヶ所だけに全部振り分けてしまうことです。 「ステータス全振り」 その略で 「ステ全振り」 とも云います。
一部のロールプレイングゲーム (RPG) や シミュレーションゲーム (SLG) では、プレイヤー が操作するキャラやユニットのステータス (攻撃力や防御力、機動力、回避力、運など) に基礎となる最低数値 (ランダムに決まる場合もある) とは別に、それぞれの項目に自由に振り分けることができる 50ポイントとか 80ポイントとかの補正値がボーナスポイントとしてつくシステムがあります (ステータス振り分け/ ステ振り、ゲームによっては再分配できるものも)。 プレイヤーはそれらのポイントを自分の好きなステータスに振り分け、自分好みのキャラやユニットに仕上げることになります。
こうしたシステムでは、全体に同じ数だけ割り振ると平均的なバランスのとれたキャラやユニットになりますが、逆に云うと特徴や個性のない、平凡なキャラやユニットになってしまいます。 その場合に、例えば攻撃力だけに全部のポイントを割り振って、防御力や機動力、回避力などは犠牲になっても、高い攻撃力で一撃必殺のキャラ、ユニットとして使うことができます。
どの能力値にどのような振り方をするのが自分のプレイスタイル、好みに合い、またそのゲームのクリアに有利なのかはケースバイケースですが、「全振り」 は極端なキャラやユニットを作ることができ、ゲームを自分の得意のペースで進めることも可能になります。 また逆に、全く役に立たないパラメータに全振りして (運に全振りなど)、ゲームの難易度を高めるような遊び方もできましょう。 従って、こうしたやり方を好んで行うプレイヤーも多くいます。
現実の物品や人間に当てはめて使う場合も
この 「全振り」、元々は前述の通り、ゲーム の世界で使われていた言葉ですが、その後一般化し、若者言葉として日常生活でも使われるようになっています。
例えば頭も悪く容姿も褒められるほど良くはないけれど、体力と健康にだけは自信がある…などといった人を 「体力に全振りしてる」 と表現したり、極端な スペック を持つ工業製品 (例えば居住性や燃費は最悪ながら高速走行に特化したスポーツカーなど) で、その製品の特徴を表す形容詞として使ったりします。 利用シーンによって褒め言葉にも罵倒にも使える、とても便利な言葉と云えるでしょう。 なお全ての数値がありえないくらい高い、ほとんどインチキしてるかのように強力な人や物品を、ゲームの不正行為、チート にかけて、リアルチート などと呼ぶ場合もあります。
ちなみに 隙自語 をすると、筆者 は生まれつき少ないであろうボーナスポイントを健康全振りにされており、子供時代や若い頃は周囲の人間を羨んで 「もっと頭の良さとか容姿にも割り振ってくれたら良かったのに…」 などと嘆き悲しんでいました。 しかし加齢による衰えとともに頭の良さとか容姿などは最低限の レベル さえあればどうでもよくなり、むしろ若い時にそれらを持っていた人たちが味わうであろう失う恐怖もさほど感じず、心穏やかに健康のありがたみをしみじみ感じて今では親に感謝しております。