作家の力量に大きく左右される作品テクニックです
「妄想オチ」 とは、物語の結末が 「ぜんぶ 妄想、白昼夢でした…ちゃんちゃん」 な マンガ の事です。
夢オチ と同様に面倒なストーリーを考える手間が省けるますし、オチ がこれならどんなに極悪非道な仕打ちを登場人物に与えても、あるいはストーリー上無理がある 設定 や 鬱展開 な内容であっても、最後には何となく救済と言い訳がはかれるため、非常に重宝されている方法の一つです。
手抜きか、あるいは巧みな心理描写か…
ただし 「夢オチ」 と違う点と云えば、1つの物語の中で何度も何度も普通の状態と妄想状態 (トリップ状態) とで行き来ができ、登場 キャラ の精神状態を克明に追ったり、あるいはある種の病的な思い込みや心理状態を描きやすく、例えば ヤンデレ などではかなり重宝するストーリー運びの手法ともなっています。 もちろんやろうと思えば夢オチでも可能ですが、1日に何度も寝たり起きたりは不自然ですから、やっぱり妄想を介した方がやりやすそうです。
また夢オチなどと絶妙に複合させたり、妄想の中でさらに妄想に耽ったりと、読者 に作品の中の登場人物が、本当に描かれているように行動しているのか、単なる妄想で実際は行動していないのか、ある種のトリックにかけて混乱させたり不安にさせたりもでき、「単なる手抜きストーリー」 として使える一方、演出力に長けた実力派の作家だと思いもかけないインパクトを読み手に与えることもできる、かなり特殊な 「飛び道具」 のような感じです。
なお作品の構造としては、「作中作」「劇中劇」 なども近い感じでしょうか。 作品の中の作品といったもので様々な形式がありますが、作品の中の単なる二次的な作品かと思ったら、作品の一次世界と作中作の二次世界とが混ざり合ったり、作品の中の作品の中の作品の中の作品の中の…なんて具合に入れ子構造が幾重にも連なって、独特の空気を作り出しているような場合もあります。
もっとも、取ってつけたような 「妄想オチ」 など、ないも同然だ、単なる 「オチ放棄」 だとの意見もあります。