弱者をいじめるなんて…相手を倫理的に追い詰める 「弱者マウント」
「弱者マウント」 とは、自分の方が社会的により弱者である、不幸 である、守られてしかるべき存在であるとのアピールをすることで、優越性ではなく倫理性で他者の上に行こうとする行為や議論における 詭弁 のことです。 一般に他人より上に行こうとする行為を マウント (マウンティング行為) と呼びますが、弱者マウントはここから派生した 概念 や言葉となります。
通常のマウントは、相手より自分の方が優れている、価値がある、幸せだ、恵まれているとの優越性をアピールすることです。 相対的に上になればいいので、自分ではなく相手を劣っている、価値がないなどと貶める場合もあります。 一方の弱者マウントは、表面的には相手より下だとのアピール・不幸自慢を行う訳でですが、その裏には別の意図や立場の入れ替えが含まれています。
例えば誰かが 「もう2年間も恋人がいない」 と愚痴をこぼしたら、「2年なんて短いじゃん、私なんて 恋人いない歴=年齢 だよ」 と返すようなケースがあります。 これは自分を低く見せ相手を持ち上げ慰めているような云い方をしていますが、実際は 「その程度で不幸のつもりか」「強者のくせしてくだらない愚痴をこぼすな」「雑魚 は黙っとれ」 という強い弱者マウントの取り方だとも云えるでしょう。
人権・差別問題では、弱者や当事者の声を尊重すべきだが…
こうした 「愚痴や自虐ではない攻撃的な不幸自慢」 は自慢の対概念として 普通に 存在しますが、ネット の議論などで弱者アピール (主に 人権 や差別関連の話題で使われるもので、何らかのマイノリティ (少数派) だったり、貧困だ、家庭環境に問題があった、心身に障害や 病気 がある、いじめ や性犯罪などの被害に遭ったなどの不幸不遇をことさらにアピールすること) によって自説を有利にし、論敵の反論を封じて沈黙を強いたり倫理的にマウントを取ろうとする人たちが可視化されたことにより、強い揶揄の意味で使われるようにもなっています。
なお同じような言葉には 被害者コスプレ もあります。