悪いのはあいつ! こんなことは許されない! 「他罰」
「他罰」 とは、失敗や問題・トラブル の原因や、ものごとが自分の思うようにならなかった理由などを 病的 なほど他人に求めて強く憤り、そればかりか怒りを爆発させて攻撃的になりがちな人やその傾向のことです。 ほとんど同じ使われ方をする言葉に外罰のほか 他責 があり、併せて 他責・他罰といった言い方をすることもあります。 対義語は自罰や内罰です。
他責や責任転嫁もそうですが、自分の非を認めない・認められないのはもちろん、問題やトラブルの相手を激しく攻撃し、何らかの罰を与えたいと強く思い込むのが大きな特徴です。 罰を与えることで、自分に非がなく罰を受けた人間に非があったとの主張を固定化し、自身が 「正しい側にいる」 との裏付けや証明にしたいと無意識に思ってしまうからなのでしょう。
こうした 自己中心的 な考え方は、表には出さないだけで大なり小なり誰でもいくらかは持っているものでもあります。 自分のせいで何か問題が起こって責任感で押しつぶされそうになった時、自分の非を小さくし相手の非を大きく 盛って、友人相手に居酒屋で愚痴る程度なら笑って済ませられる程度の話です。 反省や罪悪感ばかりが膨らんで傷つく自分の気持ちや心を守るためにも、時には都合よく他責・他罰感情を使うのも生きていく上での知恵という部分はあります。
また人間は誰でも闘争本能や加害欲をそれなりに持っており、日ごろは良心とか社会的な倫理や法的な制限・規制などで表に出さないでいられますが、「悪いのは相手」「私は被害者」 という正義の旗を得ると、他人と争ったり加害する正当な免罪符を得た気分になって行動に起こす人も少なくありません。 他人を傷つけたり傷ついた人を笑うことに快感や娯楽感を覚える人は一定数いるものです。
心の内に秘めたり仲間内で愚痴を言い合う程度ならともかく、攻撃性があまりに大きく実害を生じるものだったり、相手に直接ぶつけて相手の心を傷つける、さらには ネット で不特定多数に対して誤った内容の批判や罵倒、誹謗中傷までしたら、事情は変わってきます。 批判された方にも反論する権利がありますし、事実関係をつまびらかにしたり、誤りがあるなら正す責任も生じます。
自称被害者の嘘やデマに乗せられないために
他罰志向の人は被害者意識が強く、自分の非を相手に押し付けるばかりか、嘘や 詭弁 まで弄して自分こそが被害者だといった主張を始める傾向もあります。 これは ネットスラング で 被害者コスプレ などとも揶揄されますが、謝ったら死ぬ病 もあって自らの間違いを認めず、言い逃れができなくなって追い詰められると突然ネットからいなくなってしまう場合も少なくありません (垢消し逃亡)。
世の中には勇気をもって不正を告発する佳き人々も大勢います。 別に他人の非をあげつらって攻撃する人の全てが他責・他罰思考の嘘つきや無責任な人という訳ではありません。 しかし当事者しか分からない事実関係を外から判断するのはとても難しいものです。 常日頃からあれが悪いこれが悪いとありとあらゆるものに不平不満や文句を云い、謝罪しろだ辞めろだ規制しろだと 呪い の言葉ばかりを繰り返している人の言は、信用するのは危険でしょう。 誰がしゃべってるかより何をしゃべっているかが大切ですし、是々非々の判断ももちろん大切です。 しかし嘘を信じて広めてしまったら、その責任が自分の取れる範囲を超えてしまうかも知れません。
うっかり他罰的な嘘つきのデマに乗ってしまわないためにも、よくわからない情報には即座に反応しない、一方の言だけを信じて 炎上 に加担したり SNS に攻撃的な 書き込み を安易にしないなどは、非を擦り付けられた当事者の被害を拡大しないためだけでなく、自分の身を守るためにも必要な心がけでしょう。 片っ端から噛みつきまくるカミツキガメのような人に寄り添っても、いずれは自分も噛まれるだけです。