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ネット放火魔

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火のないところに火をつけて憎悪を煽る… 「ネット放火魔」

 「ネット放火魔」(ソーシャル放火魔) あるいは単に 「放火魔」「放火」 とは、ネット を通じて火のないところに火をつけて大騒ぎし、不必要な論争や 炎上 を巻き起こす迷惑な人のことです。 単に私怨などから特定個人や団体に対して告発を行うだけでなく、ある傾向や社会的主張に沿って同じような放火を何度も繰り返すような人は、チャッカマンや通り魔、当たり屋、総会屋、クレーマー、憎クリ (憎悪クリエイター) とか 対立煽り と呼ばれることもあります。 ただしその主張に反対の立場の人が揶揄や侮蔑の文脈で貼り付けるレッテルの場合もあります。

 放火や着火といっても様々な方法がありますが、代表的なものとしては、他者に対して批判的な論争や炎上が巻き起こりそうな内容の 書き込み を人が多く集まる 掲示板SNS投稿 するというものがあります。 とはいえ、炎上させようとする対象にさして問題がない場合、多くの人から スルー されてそのままでは炎上しませんから、燃え上がらせるために様々な工夫をしたり、燃料 を追加でくべることになります。 こうした行為は着火剤と呼ぶこともあります。

あらゆる着火剤を使ってひたすら点火し続ける

 着火剤としては、

  1. ・相手の主張の一部だけを 切り抜い て誇張して誘導する
  2. ・相手の主張を都合よく捻じ曲げて 藁人形 を作り悪魔化して論破してみせる
  3. ・ありもしない都合の良い意見を勝手に予想して事前に反論してみせる (予想レス
  4. ・反論しやすい愚かな敵を 自作自演 で作り上げ、マッチポンプ で暴れさせる
  5. 主語を大きく して多数派意見や客観的事実のような 雰囲気 を出しつつ
     反論や異論が出やすいよう刺激して論争から炎上へと誘う (ツッコマレビリティ
  6. インフルエンサー などネット上で影響力のある人が、自らの フォロワー信者
     煽って 焚きつけ、ファンネル として相手への集団攻撃や が行われるように仕向ける
  7. ・仲間や自作自演アカウント、bot まで活用した ハッシュタグ の流布運動
などがあります。

火着け人が集う放火魔ネットワーク

 論争や炎上を繰り返し起こす人などは、それぞれが、いわば放火魔ネットワークとも呼べるような放火のための仕組みや人的ネットワークを持っています。 これらは中心となる人物とそれ以外の人とが直接つながっていて阿吽の呼吸や示し合わせにより行っている場合もあれば、直接的なつながりはないけれど同じような主義主張を持つ同志として緩やかにつながっていて、偏った 党派性 のもと、全体の空気やムードで望む方向へと動いていく場合もあります。

 これらには、インフルエンサーやネット論客と云った個人だけではなく、それらとつながりのある有力なネットメディアや大手マスコミ、場合によっては社会的・公的な団体や政治団体が加わる場合もあります。 さらには自分とは全く関係がなく、むしろ逆の立場で活動している相手がどう反応するのかを過去の事例から予想して、釣った り焚きつけて利用するだけの場合もあります。 それでもだめなら自作自演で自分の主張を擁護したり簡単に反論できる愚かなピエロを作って暴れさせます。

 ネットでは、政治・外交的な右左の論争とか、ジェンダー・フェミニズム問題、貧困や格差問題などなど、ちょっとした火種で大きく燃え上がる話題や ネタ がたくさんあります。 公的な団体や大手メディアを巻き込めば、Yahoo! ニュースをはじめネット上のポータル系ニュースに転載されますし、それによって掲示板やネットニュースが後追い記事を書き、元々は炎上でも何でもないのに、そこから本当の炎上になる場合もあります。

 いったん炎上が起こればネット上でホットな話題・バズ として注目を集めますから、それに乗りたいだけの 炎上コバンザメ やインプレゾンビなども集まり、ささいな問題がますます社会的大事件のような存在感を持つようになります。 ネット放火魔はこれらを都合よく使い、問題や課題の解決ではなく気に入らない個人・団体を攻撃したり、自分たちの主張や自分たち自身への影響力や注目度の向上、ビジネス目的のために行います。

自分たちが不利になったら、沈黙して逃走がお約束

 何らかの理由により自分たちが圧倒的に不利な立場になった場合は深追いをせず、沈黙して離脱したり無関係を装ったり、別の放火を行ってそちらに移動します。 誤っていた発言を謝罪することもなければ、自ら火を消すこともありません (謝ったら死ぬ病)。 また本人が属していると称する社会的・思想的立場に不利な世論が醸成されても反省もしません。 彼らの目的は告発や議論を通じた社会問題の解決や世の中を良くすることではなく、自分の歪んだ目的やビジネスへの利用、承認欲求お気持ち を満たすことであり、掲げている主張は単なるお題目、ポリシーロンダリング に使っているだけだからです。

 ただし炎上が収まってほとぼりが冷めると、周囲を見回しながら問題のある発言をこっそり削除したり、過去の経緯を都合よく捻じ曲げた自己正当化のコメントを 投下 して反論を試みるなど、少しずつ歴史修正を試みます。 これは保身のための意図的な細工の場合もあれば、こうした行為を平気で繰り返すことができる人間性故か、ほとんど無意識に記憶の改竄が生じて過去の自分の悪行がごっそり抜け落ち、不当な反論を受けた被害者だと思い込んでいるためでもあります。

 とくに際立つものとしては、自分が火をつけ反論されて炎上したのに、敵から火をつけられて燃やされたのだと話をすり替え、被害者のふりをするようなケースもあります。 放火魔は常に炎上してますし、その順番が多少変わる程度の違いなので、とにかく火をつけて燃やして自分が目立ちつつ不快な相手の評判を落とせればそれでOKなのでしょう。 反対の立場の人たちから時系列を根拠つきで示されても無視するだけです。

本来は無視すべきものですが、それも難しい炎上騒ぎ

 炎上は、一人だけでは炎上しません。 周囲で大騒ぎする野次馬が燃料や風を送ってはじめて火が燃え盛って炎上に至ります。 いかにもな火着けや 逆張り などは放火魔が喜ぶだけなので、本来は無視するのが正しいふるまいでしょう。 掲示板文化でいう、「荒らし に反応するのも荒らしです」 といった考え方です。

 とはいえ前述した政治や外交、ジェンダーや格差といった話題は炎上の推移によっては火をつけられた人が傷つき、政治家なども噛んできて実際に社会を動かす力になることもあります。 それが自分にとって誤った方向だと思われる場合には、義憤だけでなく自分たちの主義主張を守るために反論せざるを得ない場合もあります。

 筆者炎上マーケティング など放っておけという気がしないでもありませんが、表現規制問題や 表現の自由 に関する議論では、支離滅裂な主張の火着けや延焼を放置しては、いずれその火が自分たちにも向けられたり燃え広がってくる恐れもあります。 どちらの立場に立っているにせよ、ことさらに極論を振りかざす目立つ論客は手段や言葉を選ばない傾向があり、そもそも議論によって問題を解決しようという意欲も著しく欠ける場合が多いため、本当に厄介な問題だと云えます。

 それでも相手がビジネス目的であるなら、損得勘定から解決の余地がまだあるのかもしれませんが、病的 あるいは 精神的 困難を抱えているような放火魔は対応する方法も限られ、もうどうしようもない部分はあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年7月3日)
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