サイコミュで意のままに動く… 「ファンネル」
「ファンネル」 とは、おたく や 同人、ネット の世界では、誰かの指示や意図・そそのかしを受けて思いのままに動かされる人を主に指す言葉です。 「ビット」 と呼ぶこともあり、いずれも 元ネタ は 「機動戦士ガンダム」 シリーズに登場する武器の名称によります (後述します)。
トランシーバーとサークルリストがあれば立派な ファンネルの仲間入り? |
ファンネルに喩えられる代表的なものに、同人誌即売会 において、中心となる人物から 「あの サークル へ行け」「どこそこの 同人誌 を買え」 などとサークルリストのメモ書きやアマチュア無線機、携帯電話などで指示されて 会場 を右に左に移動する 共同購入 の仲間や代理購入の 買い子 を指す使い方があります。
コミケ をはじめ大規模な同人イベントでは大勢の人が 一般参加 で訪れ、人気サークルの本を購入するためには長大な 待機列 に並んで膨大な時間をかける必要があります。 またそもそも 壁サークル の 新刊 や数量 限定 の グッズ などは、すぐに 完売 してしまい手に入れることができなくなるケースがあります。
いくつもの人気サークルや 大手サークル の本がどうしても欲しいとなると、場合によっては複数人で手分けして列に並んで購入するしか方法がないといった現実もあるのですね。 とくに人気が集中するコミケの場合、晴海 時代から ビッグサイト に至るまで、あるいは熱心なサークルの ファン から 転売 による金儲けが目的の 転売ヤー まで、様々な時期・目的で形を変えながらよく見られる方法です。
SNS で自分のフォロワーに他者への攻撃をそそのかす意味でも
一方、ツイッター といった SNS で多くの フォロワー や 信者 を持つ著名人や インフルエンサー が、自分の気にくわない他ユーザーの ツイート を リツイート するなどして タイムライン に 晒し、自分の ファン やフォロワーに 叩く ようにそれとなく誘導するような行為を指すこともあります。 他ユーザーを叩くフォロワーや取り巻きは 「ファンネル」、そそのかす本人が 「ファンネル使い」 になると云う訳です。
この場合、本人が自分で直接反論したりあからさまに 「○○を叩け」 などと 書き込む と再反論を受けたり批判も生じるでしょう。 なので自分の見解は示さず 「このツイートってどう思う?」 といった疑問形や無言でのリツイートに留めるのがポイントです。 仮にその後、多数のファンネルが相手に 凸 して 炎上 といった トラブル が生じても、「自分はただリツイートしただけで肯定も否定もしていない」「別に自分のフォロワーに叩けとか攻撃しろと命令したわけじゃない」 と責任逃れができますから、こうしたある種の阿吽の呼吸によるバッシング誘導はとても便利でしょう。
とはいえリツイートしたツイートの内容や、その後フォロワーやファンがどれだけ相手に迷惑をかけても知らんぷりしている流れを見れば、外部から見た時の本人の意図もおのずと見え見えだったりします。 「自分で直接反論や批判をせずに、自分のフォロワーを焚きつけて批判させている」「姑息だ」「卑怯だ」 といった印象を持たれがちですし、ほとんど一昔前のヤクザがいう 「うちの若いもんはアニキ想いで血の気が多い奴が揃っててのぉ…わしが止めても勝手に動きよるんや」 みたいな感じです。 理解不能な お気持ち で 放火 するような 害悪 なインフルエンサーには同じく害悪なファンネルが集って収拾がつかなくなるでしょう。
憎悪振りまくインフルエンサーやアクティビストは無視が一番
一部のインフルエンサーやアクティビスト、ネット論客などは、目立って自分の存在感を誇示するために、しばしば 炎上マーケティング のようなあからさまな 逆張り や極論を 投稿 したりします。 これにはつい反論したくなるものですが、直接的にせよ間接的にせよ名前を出して批判するとファンネルが飛んできて鬱陶しいので、ツイッターなどで言及する際には 「名前を書けないあの人」 といった、ぼかした言い回しによる 空リプ や 空メン に留めて行う場合もあります。
しかしいずれの形であれ、話題にすること自体が問題を大きくし、彼らの存在感を高め、結果的に彼らを喜ばせて肥え太らせるだけでしょう。 掲示板 の 荒らし と同様、スルー が一番です。
ちなみに同じような意味で使われる ネットスラング に 「犬笛」 があります。 犬や一部の動物にしか聴こえない波長の音を出す特殊な笛で、狩りなどの際に飼い主 (犬使い) が訓練して支配下にある犬に命令を飛ばすことからこう呼ばれます。 この場合は命令を下す人間は犬笛吹きとか犬笛使い、あるいは笛民と呼ばれます。 また 「ラジコン」 と呼ぶケースもあります。
元ネタは 「機動戦士Ζガンダム」 で登場したキュベレイ装備品
ファンネルという言葉の由来は アニメ 「機動戦士ガンダム」 シリーズのひとつ、「機動戦士Ζガンダム」(1985年3月2日〜1986年2月22日) に登場する武器の作中名称によります。 最初に登場したのはモビルスーツ 「キュベレイ」(ハマーン・カーン専用) の 装備 としてで、特殊能力者 「ニュータイプ」 用試作機の無線遠隔操作ができる小型移動ビーム砲台を指します。
母機となる機体に乗り込んだニュータイプのサイコミュ (ニュータイプの発する特殊な脳波 「サイコ・ウェーブ」(感応波) によって自在に操作でき、その後他のシリーズやモビルスーツにも登場するようになり、同じ コンセプト の武器全般を指す言葉となりました。 なお正式な名称は 「ファンネル・ビット」(Funnel Bit) で、形が漏斗に似ていることから、漏斗を指す英語のファンネルが使われています。
似たものに初代ガンダムに登場したブラウ・ブロ搭載の有線式メガ粒子砲砲塔やエルメス 装備品 のビット (とんがり帽子の付録) があります。 ファンネルはこれらを小型化した発展型と云え、基本はビームを放つ小さな砲台が縦横無尽に飛び回るような描写となります。 これらの攻撃はオールレンジ攻撃と呼ばれ、その後も継続して発展、小型のファンネルを詰め合わせにしたマザーファンネルとか、誘導ミサイル型のフィン・ファンネル、有線誘導のファンネルなども登場しています。
ガンダムファンにはおなじみの兵器であり、またガンダム本編を観ていなくても、「スーパーロボット大戦」 をはじめガンダムに登場する キャラ や ユニット が活躍する ゲーム でもよく使われるため、認知度は抜群でしょう。 おおむねゲーム中でも強くて頼もしい存在として扱われているので、印象にも残りやすいです。
ちなみにファンネル使いで云えば、筆者 は 「機動戦士ガンダムΖΖ」 に登場するエルピー・プル&プルツー (プルシリーズ) が好きです。 筆者を知る人なら言わずもがなですが、当然プルツー派でゲームではだいたいクィン・マンサに乗せてました。 いっそネット上のファンネル使いさんも 「またお前か、不愉快な奴が!」 くらいは言って欲しいものです。