同人用語の基礎知識

代理購入/ 代理ゲット

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止むを得ない事情もあれど、近年避けられつつもある 「代理購入」

 「代理購入」 あるいは 「代理ゲット」 とは、購入者本人が直接購入するのではなく、代理人が購入を行うこと、あるいはそれを第三者に依頼することです。 同人 の世界では 同人誌即売会 において誰かの依頼を受けた友人知人、あるいは代理購入をもっぱらとする 買い子 と呼ばれる人が 一般参加 して 同人誌同人グッズ などを サークルスペース で購入することを指します。

 本人が直接購入手続きをしない購入と云うと、仲間と手分けしてスペースを周る 共同購入 があります。 複数人の グループ で手分けして効率的に同人誌を購入しようとするものです。 また悪質なものとして、代理購入を専門に請け負う代行業者や小遣い稼ぎの半業者、さらには 転売 を目的とした 転売ヤー もいます。 常識の範囲である個人的な代理購入・代理ゲットとこれらとの線引きは難しいのですが、共同購入もやりすぎると迷惑行為となりますし、代行業者や転売ヤーはほとんどのイベントで マナー やルールに反する行為です。 とはいえこれらは、サークルの側からは見た目ではとても判断しづらいものです。

 本来の代理購入自体は自分が行けない イベント に参加する友人らに 「代わりに買ってきて」 程度のものであり、それほど深刻な問題とはなりません。 風邪気味で足を運べないからと家族に頼む人もいますし、それが本当の ファン なのだとしたら、そこまでして自分のサークルの本などを手に入れようとしてくれることに嬉しさを感じたり感激すらするでしょう。 娘から頼まれた同人誌を娘の手書きメモを頼りに必死に購入するお父さん・お母さん などは、しばしば微笑ましい癒しの存在でもあります。

 しかし過度の共同購入や単なる代行業者、転売ヤーの場合は極論すれば善意で成り立っている同人の場を荒らすだけの 害悪 な存在であり、また明らかな転売ヤーに同人誌を 頒布 すると、それによって手に入らなかった他のファンが悲しい思いをしたり、場合によっては転売ヤー対策ができていない 「売れればいいやのサークル」 だと見なされたり 叩かれる こともあります。 その対応には苦慮することが多いでしょう。

 こうした状況もあり、サークルの側も代理購入や転売に対する工夫や対策をとるようになり、一限 など 頒布数 に制限を設けるようになっていますが、人気サークルとなると長蛇の列ができて 「本当に 作品 のファンであるかどうかの確認や探りを入れる」 ような時間のかかる対策が難しいこともあり、同人人気が高まるにつれ、深刻な問題となってきています。

日本作品の海外での人気やインバウンド客の増加で深刻化

 中でも頭が痛いのは、外国人の代行業者・転売ヤー対応でしょう。 日本の マンガアニメゲーム が外国でますます人気となり、また中国や韓国資本の日本風作品 (ACG) や一部の C-POP・K-POP (中国や韓国のアイドルや芸能人) の日本での人気の高まりもあり、ファンに国籍や国境の垣根はなくなってきています。 結果、コミケシティ、あるいは人気・ジャンル二次創作 だけに絞ったような大規模な オンリーイベント では、より組織的で大規模、かつ悪質な外国人代理購入業者や転売ヤーらも押し寄せるようになっています。 インバウンド推進や円安による訪日外国人観光客の増加にともない、2010年代後半あたりからはますます悪化の速度を強めています。

 とくに中国は、日本から近い上に世界中に広がる在外中国人ネットワークを利用した 越境 購入代行の文化が元々根付いており (ネット にも、オークションや個人売買サイトだけでなく、代行のマッチングに特化したプラットフォームがたくさんある)、数十人から100人を超えるような規模の代行・転売グループがいくつも存在します。 ゲーム機やスマートフォン、あるいはガンプラやフィギュアなど企業の 限定 の品なども、常に彼らのターゲットにされています。 これでは真面目なファンとして訪れた多くのまともな中国人にとっても迷惑な話でしょう。

 同じ日本人で言葉が通じる日本の代行業者や転売ヤーだって迷惑だしまともな会話もできず トラブル が生じかねないのに、言葉も常識も異なる外国人ともなると、ますますその対応は難しくなります。 わざわざ遠い国から訪れた人たちというイメージもあって、何やら強く断るのも気が引けてしまいます。 しかし外国人代行業者や転売ヤーは組織だった人海戦術でやって来るため販売制限を行っても限界があり、人気サークルはよほど毅然とした対応をしないとあっという間に頒布物を狩り尽くされてしまいます。 後には 「また買えなかった」「あのサークルは転売ヤーに甘い」 との悪評だけが残ってしまいます。

 一部のサークルでは、販売の個数制限を徹底する、二次創作なら事前に 告知 した上で元作品のファンであることが証明できるグッズを持参したり身に着けているかどうか、コスプレ や分かりやすい バウンドコーデ をしているかなどをチェックする、ゲームの エアプ 対策である エアプ避け を行うようにしたり、待機列 に並んでいる間に記入できるチェックシートを配布して、それが記入されている人にのみ頒布するなどの対策を行うようになっています。 またイベント側も 公式 にビジネスとしての代理購入や転売行為の禁止を明言し周知するなど、対策を強化することとなっています。

 これらの対策をすると待機列の消化に時間がかかり、並んでいる本来の作品のファンも不利益を被ることとなりますが、転売ヤーに対する苛立ちや怒りはみんな持っているため、転売ヤーを排除するためなら喜んで協力するといった 雰囲気 になってきています。 スペース前で頒布を断られた転売ヤーがごねたり怒鳴ったりすると、周囲のファンがそれをたしなめたり、サークル側に立った行動をするようにもなっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年4月20日/ 項目を分離しました)
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