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バウンドコーデ

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コスプレや仮装まではいかない 「それっぽいコーディネイト」

 「バウンドコーデ」(bound coordinate/ bound code) とは、マンガアニメゲーム といった創作物の 世界観キャラクター を連想させるような私服の着こなし、その 作品 らしさやキャラっぽさを取り入れた ファッション やコーデ (コーディネイト/ 衣服やアクセサリーなどの組み合わせ) のことです。 対象がアニメなら 「アニメバウンド」 のように呼ぶこともあります。 言葉の元になった英語の bound は 縛られ たとか 限定 されたといった意味なので、対象となる作品やキャラが持つ特徴的なイメージの範囲内で ファン が楽しむコーデ、すなわち 「キャラ〇〇のイメージ縛りのコーデやスタイル」 という意味になります。

 おたく腐女子界隈 でキャラのイメージに沿ったファッションを楽しむといえば、コスプレ があります。 あるいは仮装や扮装といった言葉もあります。 バウンドコーデはこれらとは異なり、直接的なキャラ衣装・コスチュームの再現や模倣は行わず、あくまでイメージを連想・喚起する程度に留めている点が異なります。 例えばあるキャラのイメージカラーが赤や青ならいつもの服装にそれらの アイテム を追加するとか、そのキャラを表すトレードマークやそのキャラがしそうなファッションやスタイルを真似る、普段着や私服に 「それっぽさ」 を加えるみたいな使い方です。

 以前からある似たようなファッションにおける 「遊び」 として 「概念」 およびそこから派生した 「概念コーデ」 があります。 コスプレやキャラそのものが描かれたような衣服やグッズではなく、あくまでイメージ的なもの、概念グッズ を身に着けることですが、バウンドコーデは文化的な発祥がおたく的なコスプレ文化からではなく、アメリカのハロウィンにおける仮装やパレード文化といった娯楽要素からという点でも一線を画しています。 人の傾向でも おたくや腐女子、サブカル系というよりは、非おたく・一般人 との中間あたりに当たりそうなバンギャ (ビジュアル系ロックバンドの女性ファン) のファッションや ロリータゴスロリ、あるいは ギャル・ストリート系に近いイメージです。

 ただしおたくやサブカル文化は2000年代以降は若者文化の中心に位置するようになったので、厳密な区別は難しいかもしれませんし、その後はある程度一体化し、キャラのイメージやファッションにどのくらい寄せるかの 「程度」 で言葉を使い分けるようにもなっています。 ほんの一部だけ、概念的なものだけを取り入れるのを概念コーデ、それよりもキャラのイメージに近いものをバウンドコーデ、それ以上がコスプレや仮装といった区分けです。

 日本では2010年代に入りハロウィンの時期 (10月末、あるいは10月の最終週末) に東京渋谷のスクランブル交差点をはじめ、全国の繁華街で夕方から夜にかけてコスプレ姿の若者が集うようになっています。 遊園地などでもハロウィンパーティーとして来園者らが仮装を楽しむ催しを行ったりします。 それらに伴い前後してアメリカのディズニーランド・パーク来園者らのスタイルを真似る形で時期を選ばないコーデとして2010年代後半に日本に入ってきたのがバウンドコーデ (ディズニーバウンドコーデ) なのでした (後述します)。

 一方で日本のコスプレや仮装といった文化は おたく・腐女子的な文脈のそれが長年支配的でしたし、公共の場でのコスプレの是非やその世界での マナー や暗黙の了解、お約束 の違いからくる摩擦なども含め、キャラに寄せ過ぎたコスプレのようなコーデの場合は トラブル になりかねない存在でもあります。 とくに澁谷のハロウィンにおける路上飲酒や暴力沙汰を伴う騒動などは度々ニュース沙汰にもなり、自治体も対策に苦慮するなど、コスプレの文化を守り、またリードしてきた コスプレイヤーコスプレイベント 関係者らの、TPO をわきまえた住み分けの努力を台無しにしかねないものとの否定的な見方も多いでしょう。

アメリカ・ディズニーランド・パークで流行する 「ディズニーバウンド」

 バウンドコーデという言葉そのものは、アメリカのディズニーランド・パークにおいて、熱心なファンらが行う 「ディズニーバウンド」(Disney bound) から生じています。 ハロウィンの時期にパークが開催する イベント への 参加 の形でしばしば来園者が行う仮装やコスプレを、それ以外の時期にも控えめな形で自主的に楽しむ行為を指す言葉でした。 あくまで私服としてディズニープリンセスっぽい 雰囲気 のドレスなどを着たり、推し をイメージする ヘアスタイル やメイクをして楽しむ文化ですね。 よりカジュアルなものなら、ミニーファンがピンクや赤い大きな リボン を頭に付けるとか、ドナルドダックファンが水色の セーラー服 を着る、くまのプーさんファンが黄色いトレーナーを着るなどです。

 目的は人それぞれですが、パーク内で好きなキャラクターの気分を味わったり、同じファン同士で連帯したり一体感を覚えたり、パーク内の風景をバックに 映える 写真や 動画 を撮って instagram や TikTok といった SNS投稿 するといった楽しみ方があります。 担い手はもっぱら若い女性で、著名な インフルエンサー らによる美しいディズニーバウンド写真や動画は多くの人々の好意的な耳目を集め、人気を得るようになります。

 その後この文化は SNS を通じて日本のディズニーランド・ディズニーリゾートの来園者らの間でも行われるようになり、日本風にディズニーバウンドコーデと呼ばれるように。 さらにディズニー以外の作品やキャラクターにおいても、場所もランド内だけでなく 日常 の生活の中で行われるものを含め、バウンドコーデとして同様の意味で広く使われるようにもなっています。 ちなみに服を組み合わせるなどして整えることを日本ではコーディネイト (略:コーデ) と呼ぶことが多いのですが、英語では一般的にアウトフィット (outfit) と呼びます。 バウンドコーデもほとんど和製英語といって良いでしょう。

公式の仮装イベントと、勝手に行うキャラに寄せ過ぎたバウンドコーデや迷惑行為

 日本においても東京ディズニーランドと東京ディズニーシーで9月後半あたりにスペシャルイベントとして 「ディズニー・ハロウィーン」 が開催され、この期間中であればキャラクターのコスプレ (全身仮装) で入園できるようになっています。 パーク内には有料・予約制の着替えスペースも用意されます。

 このようなイベントが 公式 に催されている以上はその期間にのみコスプレを楽しむべきですが (この期間以外の中学生以上の人の全身コスプレでの入園は遠慮するようアナウンスもされている)、仮装・コスプレとバウンドコーデの境目は グラデーション になっており、どこまでがバウンドコーデの範囲なのかはあまりはっきり決められません。 日常のファッションとして非日常っぽく見えるゴスロリや メイド服 を着ている人もいますし、社会人が高校の 制服 を着て来園することもあります (なんちゃって制服ディズニー)。

 一律にコスプレや仮装を禁ずることはできないし、日本では誰が何を着ようがもちろん個人の自由でもあります。 街中で 水着 を着たり、周囲を威圧するような軍服や 特攻服 を着るなどはマナー違反や社会常識から外れた行為だと思いますが、最終的には個人の良識に委ねられている部分もあり、線引きは難しいでしょう (なお身分詐称ともなる警察官などの制服を着るのは違法ですし、特攻服などは地域の条例で禁止されていることもあります)。

 露出 が過度に高い服 (露出系コス) や極端に丈が長かったり幅が広かったりする服装をしたり、大勢でパーク内を練り歩く、キャラに なりきっ て訪れた他の入園者らと何らかの接触をする (例えばショーの正規の 出演者 やキャスト (従業員)、あるいは本物 (?) と勘違いした子供にキャラのふりをしてファンサービスのような振る舞いをする)、映える写真が撮れるスポットに固まってその場を長時間占拠するといった行為が迷惑だとして批判を招くこともあります。 この言葉がディズニーファンら以外にも広く知られるようになったのも、一部のマナー違反を行う迷惑な来園者らの行為が批判を浴びたり投稿が 炎上 するなどによるという部分があります。

 日本はファッションに関してかなり自由な国ですし、とくに大都市の繁華街や遊園地といった場では誰が何を着ようが気にする人もほとんどいません。 また多くのバウンドコーデを行う人たちは、コスプレイヤーの多くがそうであるように周囲に対する配慮も行い、自分たちの楽しみの場が失われないよう抑制的に活動していると思います。 しかし一部のインフルエンサーらが 承認欲求 を満たすために派手な行動をとり、それが悪目立ちして全体が批判されがちなのは気の毒な部分もあります。 どんな世界でもそうですが、法律に反してないとか、規約に書いてないとかでやりたい放題する迷惑な人は本当に 厄介 です。

 なお小学生くらいまでの子供用に販売されるキャラクターのコスチュームを模した子供服 (なりきりコスチュームみたいな名称) がありますが、こちらに関してはどこで着ても問題はありません。 あくまで子供服ですし、本物のキャストやキャラと見間違えることもありませんし、大人と子供ではドレスコードも異なります。 例えば日本のディズニーランドでも、小学生以下の仮装については仮装っぽいものでも問題ないと説明しています。 判断が微妙な場合は入り口で訊ねればよいでしょう。 逆に云えば、園内のトイレなどで着替えるのは重大なマナーあるいは規約違反です (ディズニーランドをはじめ、コスプレ系のイベントをやっている遊園地などはおおむねどこも明示的に規約で禁止しています)。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2018年1月12日)
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