大手の反対だから 「小手」…どうせうちは小手だから…
「小手」「小手サークル」 とは、同人サークル のうち、知名度があまり高くなく、同人誌 などもあまり多くの 部数 を 頒布 しないサークルを指す言葉です。 一般に知名度が高く本がたくさん売れるサークルを 大手 と呼ぶことから、対の 概念 として小手 (こて) と呼ぶようになっています。
大手と小手の中間あたりは 中手 と呼びます。 大中小で分かりやすいです。 もっとも大手はお城の大手門から来ていて、威風堂々たる大きなもの、表門、代表格みたいな意味なので、本来の対概念は小さな裏門である搦手 (からめて) であり、小手や中手という用法は単なる ネタ でつけられたものです。
なお小手と同じ、あるいはより小さいとの意味で ピコ手 と呼ぶこともあったり、大手と小手の間にありつつも微妙な感じの場合は 微妙手、あるいは大手はしばしば 同人イベント で スペース が壁際や非常口付近に 配置 されるため 壁サークル や非常口サークルと呼んだり、混雑対応 が必要だとの意味で混対サークルと呼ぶこともあります。 この種の異名は時代や ジャンル によっていくつもあります。
独特なネタとしての 「小手」 名称
一般に大手がつく団体などは、大手企業などのように、単に有名で売り上げが大きいだけでなく、社員数が多いなど組織自体も大きいものです。 一方で同人サークルの場合、複数人、時には大人数と呼べるほどの規模で 運営 されるサークル (FC) もありますが、おおむねたった一人の個人によって営まれる 個人サークル が多いでしょう。 なので大手・小手の違いに規模は関係なく、知名度がどれだけあるか (場合によっては SNS の アカウント にどれだけ フォロワー がついているか)、本がどれだけ売れるかによってのみ、大小の違いが認識されると云って良いでしょう。
そもそも同人イベント1回で数百冊、あるいは数千冊の頒布がされるようなサークルはごくごく少数であり、大半が数十部程度の 頒布数 である場合がほとんどです。 小手の数的基準はあいまいですが、一般的な オフセット印刷 の最小部数は 50部とか 100部あたり、コピー誌 も同程度が多いと思われ、さらにその数が1度や2度の サークル参加 では 完売 せず、何度か参加してやっと全てが人手に渡る程度が、小手のありがちな部数だと云っても良いかもしれません (もちろん、1冊も売れませんでした (たまご でした) みたいなサークルも結構あったりします。
もっとも 「小手サークル」 なる概念は、第三者のサークルを指して使うというより、ネット の 掲示板 などで自分のサークルを指して 自虐・卑下して使うようなことが多い表現なので、謙遜や被害妄想もあるにせよ、本人が小手だと思えば小手、あるいはピコなのかもしれません。 まぁ誰がどう見てもある程度以上の部数を持ち込み、また頒布しているサークルのいう自称小手の場合は、謙遜どころか当てつけや 自虐風自慢 に感じられてしまうこともあったりはしますが。
また当たり前の話ですが、10部とか30部程度の頒布数だと、仮に持ち込んだ本が完売しても イベント の参加費用やら交通費やらを考えると完全に赤字になります。 コピー誌などはいくら頒布しても利益など出ようがありません。 例えば コミケ などでは、参加したサークルの大半がこうした 赤字サークル だという現実もあります。
ただまぁ 同人 などは描く作品が オリジナル であれ 二次創作 や パロディ、ファンアート であれ、大半がお金儲けが目的ではなくあくまで 趣味 の話なので、赤字と云う考え方自体が正しくないような気もしますけれど。