作家、サークルさん、ファンによって、捉え方は様々です
秋葉原に点在する 「メッセサンオー」 秋葉原における同種ショップはしりのひとつ 同人ソフト類にも初期から注力 |
個人的に好きな老舗 「K-BOOKS」 中古販売がメインで、しばらく前に友人が サークル相手の営業をやってました… |
同人委託最大手の「コミックとらのあな」 社長は「青少年をダメにする仕事を しています」と語る見た目も個性的な人 |
「書店委託」 とは、同人誌 などを扱っている専門書店・ショップなどへ、直接発行元の 同人サークル が新しい本 (「中古」 ではないと云う意味で、もちろん既刊の在庫も含みます) を持ち込み、頒布 (販売) の委託を行うことです。
委託の方法は書店によって様々で、単に書店内のスペースを賃貸しするところや、同人誌をまとめて購入して手数料分の価格を上乗せして販売するところ、通販の代行をするところから、中には印刷代金前払い (立て替え) を前提に、原稿 の段階での持ち込みを受け付けているところもあります。
また通常はサークル側が書店側へ “持ち込む” のが基本になりますが、一部サークルの一部イベント参加 (当然 新刊 の 発行日 でもあるイベントですが) などでは、書店側が受け取り人員を派遣する場合も最近では増えているようです (この場合は、大抵は売り切れ必至の人気サークルのだったりします)。
「書店委託」 までやってしまうと、何だか本当に “商売” って感じになってしまうので、個人的にはイベント手売りが同人では相応しいと思っているのですが、例えば地方在住でイベントへの 直参 が難しいサークルさんや、また人気があり、一回のイベントでは物理的に全ての望む人に販売できない場合などは、切実な販売方法の一つと云って良いでしょうね。
利用するサークルさんは、委託を行う書店さんの増加と共に、年々増える傾向にあります。 なお委託先は、ネット での通販をメインとする実店舗を持たない書店の場合もあります。 またそれに伴い、サークルが自らの手で行う一般的な 通販 を、「自力通販」「自家通販」 などと呼ぶ場合もあります。
とりあえずイベントで並ぶ手間、通販で頒布する手間が省けます
購入を希望する 読者 側でも 同人誌即売会 と違い、売場にある本は確実に手に入れられるので、こうした 「書店委託」 はなかなか好評のようです。 当然ながら書店側の価格上乗せがあり、イベント等で購入するよりも価格は割高になりますが、サークルスペース の前で長時間待つような不便さも当然ながらありません。
ただし中身のチェックは新しい本の場合はできない事の方が多く (売場に小さい内容見本が付いているだけの場合が多いです)、表紙を頼りに知らないサークルの本に手を出すと、がっかりする場合も少なくないようです。 ごひいきのサークルさんの、手に入れ損ねた同人誌の補完に使うのが効果的でしょう (その後大手の同人専門店では、見本誌を置いてあるケースも増えてきています)。
税務署からの問い合わせがくるケースも…ちゃんと準備をしましょう
なお 「書店委託」 を請け負う書店さんは、当然ながら営利企業であり、税務署への法人税申告を行っています。 委託するサークルさんは、その 「取引先」「納入業者」 扱いになりますので、書店経由で情報が流れ、税務署からの税金関係の問い合わせが来る場合も多いようです。 ちゃんと経理を行っていればなんら問題はありませんが (また年間20万円までの雑所得には課税されません)、いざ来た時に困らないよう準備は心がけておきましょう。
半プロ、あるいは専業で同人活動をやっているようなサークルなら対応は慣れたものでしょうけれど、そうでないサークルさんなどは、税務署から問い合わせが来てから、慌てる人も多いようです。 大手の委託書店なら、その種の説明を店員さんから聞けたり、委託を希望するサークル向けに税務関係のちょっとしたパンフレットを配布している場合もあります。 春先に急に仕事を休んで平日に税務署に説明にいくようなことにならないよう、しっかり対応しておくことが大切です。
なおこの手のお店がいくつも固まってくると、その街は オタク街 と呼ばれるようになりますw
ちなみにこの手の同人誌委託販売店舗のルーツとしては、1974年よりマンガ情報誌 「漫画界」(当初はタイトルなし、紆余曲折を経た後の 「ぱふ」 の前身) を創刊した清彗社が、1970年代後半から新宿に設置した 「フリー・スペース」(後の 「ふりーすぺーす」(ふりすぺ) と COMIC INN) だとされることが多いようです。 ただし後の同人ショップなどに比べると小規模かつ同好の士が集うサロンのような形の運営でした。 その後新宿には大型マンガ専門店 「まんがの森」 がオープン (1984年) しますが、フロアの一部で同人誌の取り扱いもありました。
常設・イレギュラーな運営スタイルを含め、大都市圏を中心にマンガ専門や力を入れている書店や古書店が次々にオープンする中、同人誌を小規模ながら取り扱うケースは他にもありました。 このあたりはいろいろ話を聞くこともありますが、まとまった資料もなく伝聞が中心で、その規模や影響力などはよくわかりません。