ステージや舞台が良く見えない… 「見切れ席」
「見切れ席」 とは、ライブやコンサートにおいてステージの横方向の部分、舞台用語でいう 「見切れ」 の場所に 設定 された観客席のことです。 「死角席」 と呼ぶこともあります。 事前に見切れ席だと 告知 した上で販売されるケースと、一般席として販売されながらステージが見にくい位置で結果的に見切れ席だと認識されるケースがあります。
見切れの本来の意味は、舞台を見る観客の視線に舞台袖や裏方部分が入らないよう、舞台後方や両脇などに背景やセットの一部や目隠しの飾りとして設置する板などを指す 「切り出し」 や 「張り物」(木の 枠 に布や紙を貼ったもので、使い方は切り出しとだいたい同じ) を指します。
しかし言葉の変化などもあり、今は 「ギリギリ見えるか見えないか」「良く見えない場所」 といった意味で使われることも多いでしょう。 したがって見切れ席も、ステージを正面から見ることができない位置の座席、ステージの一部が見えない座席、場合によってはギリギリ見えるか見えないかという意味で使うケースが多いでしょう。 同じような場所を指す言葉は他に 「機材席」「制作開放席」 などもあります。
なお一般席扱いでチケット販売の際に 「※機材等により舞台が見えにくい場合がございます」 といった注釈がついた席 (注釈付き席・訳あり席) もあります。
一般席扱いか、特別な見切り席扱いか
熱心な ファン であれば、できるだけ良い席に座ってステージを見たいと思うものでしょう。 しかしチケットそのものを取るのが難しい場合は、とにかく 会場 に入れさえすればいい、極論すればステージが全く見えなくても入れないよりはマシだと思うこともあるでしょう。 その場合は、一般席とは別の 枠 でステージ裏などに設置される 音席 (ステージが全く見えず音しか聴こえない席) の追加発売なども、嬉しいものです。
一方、見切れ席の場合、音席などと同様に一般席とは別枠で料金なども割安な形で追加販売される以外に、通常の一般席扱いで販売されることもあります。 その場合は 「同じ料金を払っているのに自分の席はハズレだ」 という不公平感が生じることもあります。 もちろん入れないよりはマシかも知れませんが、事前に見切れ席だと告知されたものに申し込むのとは感情的に大きな違いが生じるのは仕方がないでしょう。
演劇や音楽イベント専用の ホール などでは、そもそもステージ裏に座席などありませんし、見切れの位置もそれほど酷い状態になることは少ないものです。 それ専用の施設なのですから、これは当然でしょう。 しかしアイドルや声優によるライブやコンサートが行われる 箱 では、しばしば体育館やスタジアムといった客席がOの字型に設置されたスポーツ競技施設の利用が多く、なるべく多くの観客を入れようとすると、どうしてもステージが見にくい角度となる場所はできてしまいます。
もちろんステージ正面からは見えない部分が逆に見えたりもするので、それはそれで状況によっては大当たりとも云えるような幸運なケースもあります (例えばスタンバイ中の 推し の姿や通路の真横で間近で見ることができたなど)。 とはいえ音響設備の方向もこちらに向かないため定位もせずおおむね音の具合も良くなく、正面席やアリーナ席に比べると、ハズレ感は避けがたいものです。 それでも入れないよりはマシではありますが、なるべくなら事前に見切れであることを告知し、可能であれば料金に格差があると不満もだいぶ和らぐでしょう。
筆者 などはチケット運が本当にないので、そもそもチケットが取れないことも多く、見切れ席でも音席でも ここにいたこと席 でも何でもいいからとにかく中に入れてくれという感じですが、そもそもの話として日本の場合、大規模なライブ会場が少なく、ライブの数自体も限られるので、このあたりは何とかして欲しいところではあります。