とりあえず現場にはいました… 「ここにいたこと席」
「ここにいたこと席」 とは、アイドルや声優といったもっぱら おたく 向けの芸能人や芸能 グループ が行うライブやコンサートにおいて、通常の観客席と異なり、全く舞台・ステージが見えない場所、一般に 注釈付き席・訳あり席 とか 見切れ席 や死角席、機材席と呼ばれる席よりもさらに条件が悪い座席を指す言葉です。 それ以前からある 音席 (音しか聞こえない席) と同じで、おおむねステージ裏の座席がそう呼ばれます。 言葉の意味は、「ここにいたことを証明するだけの座席」 となります。
元ネタ は、2012年6月6日に 日本武道館 で行われた 「第4回 AKB48 選抜総選挙」 の開票イベントのチケット販売の際に、「ここにいたこと席」 という名称の座席が販売されたことにあります。 ステージ裏の音席などは 「音は聞こえるけど姿は見えず、現場 にいたという以上の意味が薄い席」 として、かねてから出席確認席といった ニュアンス の認識がされていました。 このチケットはそのまんまの意味の販売であり、またネーミングの妙もあって ネット でも話題になりました。
座席位置はどこだろうと、とにかく中に入りたい! 歴史的瞬間に立ち会いたい!
この イベント は人気アイドルグループ AKB48 の活動を代表する総選挙イベントでした。 テレビ中継もされますが、現場で見るのとテレビで見るのとでは得られる感動も大きく違うでしょう。 また 会場 となった武道館はアイドルや芸能人のライブ関係では象徴的な 聖地 とされながらも、サイズ的には小ぶりでさほど席数があるわけでもなく、当初からチケット争奪戦は熾烈なものとなることが 現場組 の間で予想されていました。
こうした場合、少しでも多くの ファン を会場や ホール に入場させるため、ステージがギリギリ見えないような 見切れる 席として別途用意されるケースが多いものです (その分、他の席に比べ料金は安い上に、場合によっては普段は見ることができない舞台裏の 推し の姿が偶然見えたりして、大当たりの場合すらある)。
熱心で カロリー の高いファンからしたら、ステージを見たいのはやまやまなれど、最悪なのは会場に入ることすらできないことです。 総選挙開票というグループにとって歴史的な瞬間にメンバーらと同じ場所にいたことを証明できる席というのは、半分は ネタ っぽい 設定 ながら、それでも座席数が少しで増える方向で調整されるのは、おおむね好意的に受け入れられたようです。
なお当日は AKB48 人気の高まりもあり会場に入れない多数のファンが武道館近辺にあふれることとなり、翌2013年の第5回選抜総選挙は日産スタジアムに、第6回は味の素スタジアムで開催と、以降はそれまでの会場から一気により巨大なスタジアムでの開催が行われるようになっています。