同人イベント会場における配置場所、会場そのものもあらわす 「ホール」
「ホール」(Hall) とは、英語で 「広間」 のことです。 通常は建築物の一部で人が集まれる屋内の場所、広い空間をあらわしますが、屋根がない場所もホールと呼ぶ場合があります。
巨大な展示ホール の例 (千葉/ 幕張メッセ) |
多目的ホール の例 (愛知/ 竜美丘会館) |
舞台と座席を持つ演劇・コンサートホール の例 (千葉/ 京葉銀行文化プラザ) |
エントランスホール (玄関ホール) の例 (埼玉/ 川口総合文化センター LILIA) |
講堂におけるホール の例 (広島/ 防衛省江田島市第1術科学校大講堂) |
お屋敷・個人宅におけるホール の例 (横浜/ 元町公園 エリスマン邸) |
ただし 「広さがいくら以上の場合はホールと呼ぶ」 といった明確な基準はなく、単に 「広い場所」「人が集まる場所」 を指して使う場合もあります。 また展示場や宴会場、講堂、あるいはそれらがメインの設備となっている建築物そのものを指す場合もあります。
例えば コンベンションセンター や メッセ、市民会館や 文化会館、産業会館、ホテル、会議室 の一部や全体を指すケースで、これらがそのまま 「◯◯ホール」 とネーミングされている場合も多いでしょう。
なお建物の玄関部分が広くなっている場合の玄関ホールや、音楽を楽しむコンサートホール、ダンスを楽しむダンスホール、高層ビルのエレベーターが集まるエレベーターホール、ビールを飲むためのビアホールなどなど、何かの用途に特化した広場の代名詞となる場合もあります。
いずれにせよ 同人 や おたく、腐女子、コスプレイヤー などにとっては、大小様々なイベント、なかでも 同人イベント や コスプレイベント が開催される 会場施設 の名称としておなじみのものでしょう。
「ロビー」 や 「ラウンジ」 との違いは?
似た言葉に 「ロビー」(Lobby) や 「ラウンジ」 (Lounge) があります。 ロビーは一般に劇場などのホール前の広場を指し、ラウンジは待合所や居間の意味で使われます。
ただし明確な使い分けの基準があるわけではなく、「ロビーホール」「ラウンジホール」 といった呼び方で、用途別のホールの区分のみで使う場合もあります。 玄関もしくは玄関ホールの意味で使われる 「エントランス」(Entrance) なども同様です。
ちなみに船舶や鉄道・バスなどの旅客車、航空機など乗り物内の広場は、「デッキ」(Deck) と呼びます。 これは 「床」 という意味で、座席があり広場になっていない場所も床だけを指してデッキとすることもあります。 通常は、ロビーデッキやラウンジデッキの略として、デッキと呼ぶことが多いようです。
複数のホールがあったり、分割して使う場合
一方、コミケ のような大規模な イベント の場合、開催中の施設内での位置関係を指す場合にもホールが使われます。
例えば 東京ビッグサイト でコミケが開催されている場合、同人サークル が 配置 されるのが サークルスペース、それが複数集まったものを 島、さらにそれが複数集まったものをブロックと呼びますが、このブロックが複数集まったものをホールと呼ぶ場合があります。
この場合は、施設内での呼称をそのまま使い、例えば 「東1ホール」「西2ホール」 などといった呼び方になります。 「地区」 と呼ばれることもあります。
様々なホールの種類と形
広間であればとりあえず何でもホールとなりますが、用途などによって専門性を持ったホールも存在し、それぞれに特徴を持った設備が付帯する場合があります。
例えば見本市などの大規模な 展示 のための施設であれば、とにかくできるだけ広い面積が必要になりますし、展示物を 搬入・設営するために貨物トラックがそのまま入れるよう道路と段差がなく舗装強化された床面が必要でしょう。 また音楽を楽しむためのコンサートホールなら、舞台が映えるプロセニアム型の構造、音響に配慮した壁面と天井、多くの観客が見通せるよう客席に段差がある床が必要になります。
筆者 は日本各地のこうしたホールを 趣味 として訪ね歩いて取材していますが、地域地域によって近隣施設に文化的なつながりがあったり、地域を超え整備された時代時代の 「建築流行」 の横断を感じたり、建築場所の面積や敷地の形状による工夫、さらには自治体のもの、民間のもの、個人やそれに近い民間のものそれぞれの個性の違いもあり、見ていてとても興味深く感じています。
こうした施設の 運営 母体は国や自治体から民間まで様々ですが、いずれにせよ多くの人が使う 公共施設 でもありますので、汚さず皆が気持ちよく使えるように気を使って利用したいものです。