ビジネスでも生活でも趣味でも…一人でやるしかない! 「ワンオペ」
「ワンオペ」 とは、ワンオペレーションの略で、仕事や生活のあれこれの全てを一人でこなすことを指します。 一人勤務やソロシフトと呼ばれることもあります。 ワンオペもワンオペレーションも和製英語であり、日本語のひとつといって良いでしょう。 おたく や 腐女子 の世界では、創作活動にかかる作業の全てを一人で行うことを指して使うこともあります (後述します)。
よく使われる場は店舗のワンオペで、おおむねファーストフード店やそれに近い飲食店、コンビニなどで、地域担当の社員やアルバイトがたった一人で店舗の営業や 運営 の全てを担う場合に使われます。 深夜や早朝など客数が少ない時間帯に行われることが多いのですが、2000年代になり人手不足が深刻化すると深夜帯のワンオペが常態化。 2010年代になり深夜帯のワンオペ店を狙った強盗が多発し、社会問題化しました。
中でも牛丼チェーンのすき家は、深夜や早朝はもちろん、ピーク時にもしばしばワンオペになるようなギリギリの人員での運営を積極的に推進し店舗数を拡大。 その結果すき屋を狙った強盗事件が多発し、折からのブラック企業による過酷な労働環境への社会的非難が強まる中、2014年にワンオペの原則廃止を打ち出さざるを得ない状況に追い込まれました。 従業員が足りない店舗では昼間から営業を休止する店も相次ぎ、大手メディアなどでも話題となりました。
2020年の新型コロナ感染症拡大で、飲食店やコンビニの深夜営業の自粛相次ぐ
2020年になり、世界的な感染拡大を引き起こた新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が流行すると、日本でも感染者が増加。 不要不急 の外出を避ける空気や 濃厚接触 の回避のため飲食店への営業自粛要請が出たり、飲食店やコンビニのアルバイトを担っていた外国人労働者が減少して人手不足が加速します。
その結果、飲食店の休業や営業時間の短縮、コンビニの深夜早朝営業の自粛など、店舗労働に対する 環境 が激変します。 その後コロナ渦はひと段落しますが、この流れは緩やかながら続き、無理な長時間営業やワンオペによる過酷な労働環境の改善が多少なりとも進むこととなりました。
育児や家事、病人の看護や老人の介護などが問題に
その他、日常 の生活を巡るあれこれで、一人で担うのが辛い労働や作業をワンオペと呼ぶことがあります。 代表的なのは育児や家事、看護や介護などの分野で、家族がいるにも関わらず役割を押し付けられた一人の人間、おおむね妻がすべてをこなすことを指して使うことが多いでしょう。 これはとくにワンオペ育児とか家事と呼ぶこともあります。
同様に年老いた親の世話や看護、その他生活上の面倒なあれこれを家族で分担せず、一人にしわ寄せさせる状態全般をワンオペと呼ぶことも広がっています。 これは人手不足かつ少子高齢化の時代、加えて男女平等や性役割の押し付けが社会問題化する中、社会全体での意識改革や育児や看護、介護などの支援制度充実が求められているといってよいでしょう。
一人で何でもこなすスーパーな存在の謙遜表現として
一方、仕事や生活上の必須作業だけでなく 趣味 の分野でも、マルチクリエイター や 多能 といった言葉の言い換えとしてワンオペが用いられることもあります。 例えば 動画 の作成・投稿 や 生配信 などを行う 投稿者 や 配信者、あるいは キャラクター (アバター) を使ってそれらを行う VTuber が、自身の活動内容を語る中で、「シナリオ (読み用の 原稿) 作りや キャラ絵 やモデルの作成、動画の 編集 から声出しまで全部ひとりでやってます」 というのをワンオペと呼ぶなどです。
これらの作業の多くはそれぞれまったく別のスキルやノウハウ、道具 (アプリ) の習得が必要で、商業 の世界であれば作業ごとに細かく分割されて異なる人が担うものです。 それをたった一人でこなすのはなかなかの才能や努力です。 文字通りのマルチなクリエイターと呼んで差し支えないでしょう。
しかしマルチクリエイターといったスカしたような気取った肩書を自称したくない場合、あるいはやりたくてやっているわけではない (手伝ってくれる人がいないし有償で依頼もできない) 場合は、謙遜・卑下としてワンオペですと自称するケースが多いのでしょう。 この場合、ジャンル を問わず様々な分野で活動している人との意味で、単に 活動者 を自称することもあります。
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