小説や文章を創作… 「字書き」
「字書き」 とは、同人 の世界においては小説・ラノベ やそれに近い読み物 (二次創作 としての SS など) を主な創作活動の表現方法、ジャンル としている人のことです。 批評や評論、考察を含める場合もありますが、基本的には言葉通りの 「文字を書く人」 という意味であり、文字書きとか文章書き、物書きと呼ぶ場合もあります。 他者に対して 「字書きさん」 といった使い方をすることもありますが、本人が自称する場合が多いかもしれません。
ただし字義通りのフラットな意味で使うケースがある一方、「絵描き・絵師」 との対比の中で、ちょっとした自負があったり、逆に 「絵 が描けない人」 といった卑下や謙遜の ニュアンス を持つパターンも多いでしょうか。 これは同人や 同人誌 の世界において、「絵や マンガ が描ける人は強い」(あるいは偉い)、「かわいい女の子やかっこいい男の子の絵が描ける人は強い」 という 雰囲気 が根強いので、それらに対して引け目を覚えたり、逆に文章で勝負していることにこだわりや自負があったりするなど、複雑なニュアンスが含まれる場合もあります。
おたく・腐女子特有の卑下・自虐の要素が強い言い回しかも
ちなみに絵を描く人が自称する 「絵描き」 という言葉にも、多少の自負はありつつも卑下やへりくだったニュアンスはあったりします。 商業 における職業としての自称なら 「普通の仕事ができないから絵で飯を食ってる」 といったニュアンスが人によってはよくありますし。
また同人や 趣味 の話なら 「自分よりうまい人は大勢いて、とても絵師とか画家とかイラストレーターとか偉そうな言葉を自称できない」「漫画家と呼べるほど面白い物語が作れない」、しかし 「絵描き」 なら、そのまんまの意味なので自称してもいいかな、みたいな。 絵や文章、音楽や動画、立体造形物といった創作を行わない 読者 や受け取り側が自称する 読み専・聴き専・買い専 にも、いくらかの卑下や 自虐 のニュアンスがあったり、そう感じる人も多いでしょう。
いずれにせよ自分に対する卑下・謙遜、あるいは自虐、その裏返しの自負やプライドが出ているだけなので、別に字書きや絵描きのどちらが偉いとか優れているかといった意味がことさらに含まれるわけではありません。 他人に対して揶揄・罵倒の意図を持ってこうした言葉を使うべきではありませんし、また過度な卑下・自虐を含む自称も、同じように文章を書くことが趣味な人たちに不快感を与えることもあるというのは、頭の中にあった方が無用な トラブル を避けることができるかもしれません。
なんだかんだいって絵描きは目立ち、字書きは地味なイメージを持たれがち
とはいえ、同人誌即売会 などで長蛇の 列 ができる人気の サークル はマンガや イラスト を中心としたサークルが圧倒的に多いですし、素敵な絵を描ける絵師は多くの人から賞賛を受け、また SNS の フォロワー数 なども数万人とか数十万人を当たり前のように持っていて、一見すると煌びやかでとても目立つ存在でしょう。
絵やマンガ、あるいは コスプレイヤー などの写真があると、アイキャッチ効果が強くてやっぱり目立ちますしアクセスは稼ぎやすいものです。 これは自身のサイトや小説などの投稿サイト (小説家になろう (なろう) とかカクヨム など) を中心に ネット を通じた オンライン専門 の創作活動をしている場合にもよく聞く話です。 また同じ小説や SS でも、挿絵のあるなしやそのクオリティで、読まれる数が大きく変わったりもしますし、それは商業ラノベにおいても、表紙 や挿絵にどれだけ魅力的なイラストや著名なイラストレーターの絵を入れられるかで、売れ行きが左右される (イラスト売れ) のと同様でしょう。
創作のジャンルや カテゴリ にどちらが上だ下だはありませんが、文章は絵のように見た瞬間に魅力が伝わるような創作物ではないので、面白さを感じてもらうのに相対的に苦労しがちです。 絵ならば見た瞬間に 「あ、この絵柄好きだ」 が感じられますが、文章で 「この文体好みだ」 と感じてもらうためには少なくとも数ページ分は読んでもらわないと無理でしょう。 とくに完全な オリジナル の場合は、その数ページを読んでくれる読者を獲得するだけでも大変かも知れません。 同人イベントでサークルにやってくる 一般参加者 の数や同人誌の 頒布数、サイトのアクセス数といったわかりやすい基準を目にすると、字書きはどうしても目立ちにくい、地味 な存在になりがちです。
実際のところ、趣味の文章、それも小説だの評論だのといった創造性が求められる作品は、時として時代を動かすような大きな力を発揮しますし、それは文章でも絵でも動画でも立体造形物でも、あるいは音楽でも歌、演奏、踊りでも喋りや 実況 の配信でも同じです。 その人の内面をどんな表現形式・道具で形にするのかの違いだけなので、自分が取り組みやすい、自分に適した方法を選べばよいだけです。 このあたりは隣の芝生は青く見えるようなもので、長年創作活動を続けると自分に合う場所が出来て、そのうち気にならなくなるものです。
ちなみに 筆者 は文章も絵も好きで、どちらも趣味・仕事問わず制作していますが、文章を書いている時は 「絵なら一発で状況説明できるのに文章だと難しい…」 と感じ、絵を描いている時は 「こんなの文章ならたった1行で済むのに絵にすると何時間もかかる…」 と感じますw (ついでに動画もやってるので、「動画なら音楽もつけられるのに…」 と感じたり、逆に動画は時間がかかるし縦長のものを描写するのが大変だと思ったり…)。 人はなんだかんだ、ないものねだりをしちゃうものです。
なお様々なジャンルで創作や表現に関わる活動をしているとして、表現者とか 活動者 と呼ぶこともあります。