同人用語の基礎知識

私は学長です

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ものの見事に2コママンガが完成 「私は学長です」

 「私は学長です。」 あるいは 「そういう質問をすること自体が、○○なんですよ。」 とは、ネット での自分の意見に疑義を示した相手を見下して 「そんな低レベルな質問をすること自体がだめなんだ」 と罵倒したまでは良いものの、実際は相手がはるかに格上で質問自体も的を射たもので、とんだ赤っ恥をかいて自爆した状態を揶揄するようなフレーズ・ネットスラング です。

 元ネタ となった出来事は、群馬大学のある教授が2012年2月19日に ツイッター で放送大学について批判的な ツイート をしたことに始まります。 同教授は 「最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいる」 と切り出し、「これってありですか?」「本当の大学を卒業していないのですから、大学というもの自体を理解していないと思う」 と批判。 「こんな教授に教わる学生がかわいそう」 と罵倒したものでした。

放送大学を批判したまではよかったが…とんだ赤っ恥をかくことに

 この発言は反論が多数つく騒動に発展しますが、その中である人物が 「本当の大学の定義ってなんですか?放送大学は正式の大学ですが…」 と リプ をします。 これに対し同教授は 「それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?」 と見下したような質問をした上で、「そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです。」 と返信し、なおも罵倒を繰り返します。

 するとリプを受けた人物は 「私は学長です。」 とリプ。 実はこのリプをした岡部洋一さんは、前年2011年5月から放送大学の学長に就任した著名な工学博士・東京大学名誉教授であり、それ以前にも東京大学や同大学院の教授、同大先端科学技術研究センターや情報基盤センター、教育支援センターなど日本の学術分野の最高峰でセンター長といった要職を歴任した人物でした。

 また東京大学退官後に放送大学学長となったのも、学者・教育者としての立場から、様々な理由で一部・二部 (昼間・夜間) 大学に通えなかった若者、社会人になっても学問を続けたいという人たちを応援したいという熱意からであり、さらに学長であると同時に同大学教養学部のいち学生として学ぶ立場でもあるという、大学や教授職、学問というものを知り尽くした熱い人だったのでした。

 この 「どうせお前には大学のことなどわからないだろう」 に対する 「私は学長です」 の2コママンガのような強烈な オチ は多くの ネット民 の笑いを誘うとともに、「そういう質問をすること自体が、○○なんですよ」「私は〇〇です」 といった形で テンプレ に。 以降は様々なケースに当てはめて使われるようになったのでした。

 なおくだんの群馬大学教授は謝罪や弁明もなくこの話題を一方的に打ち切って終わらせていますが、その後もたびたび問題のある発言をしては炎上を何度も引き起こしています。 そしてこの炎上事件から5年後となる2017年には、ツイッターや著書で大学や学生に対する誹謗中傷を行っていたこと、論文に不正があったなどの理由により、10月5日付で群馬大学教授職を懲戒解雇されています。 その後、教授職の地位保全を求めて前橋地方裁判所に仮処分申請を行うとともに、自身の ブログ で自らの正当性を主張しています。

放送大学とは?

 放送大学は、千葉県千葉市を本部する1981年創立、1983年設置の公設民営大学です。 教養学部教養学科のみの単科大学で、文部科学省と総務省によって所管される放送大学学園によって設置・運営 され、当初は BSテレビやラジオによる放送、後には インターネット を通じても好きな時間に学習できる通信制の大学・大学院となっています。

 設立趣旨は地域や年代を問わず学問を志す全ての人に高等教育の機会を設けるもので、所定の単位 (124単位以上) を修得すると大学卒業資格を得られる正規の大学です。 満15歳以上であれば誰でも選科履修生・科目履修生として入学することができ、もちろん学士・修士・博士といった学位も取得できますし、学割を始め一般の大学・大学院生と同等の優遇措置も得られます。

 卒業までに必要な学費は約77万円ほどで、一般の大学に比べ格安でありながら、日本を代表する教育者が講義を行っており、レベル が高いのも特徴です。 一方、テレビやラジオといった放送は誰でも視聴できますし、テキストも購入できるため、単位取得をせずに 趣味 の独学で利用する人もいます (娯楽としてわりと 筆者 も見てますw)。 他の大学の夜間部や通信制とともに我が国の高等教育の多様性や社会人学習の一翼を担う存在であり、その意義はますます高まっているといって良いでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年3月7日)
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