もっともベーシックなシャツ 「ワイシャツ」
「ワイシャツ」 とは、一般的にスーツジャケットや ブレザー といったアウターの下に着るシャツ全般を指す和製英語です。 とりわけビジネスの場や学校の 制服 の一部として着用される襟 (衿/ カラー) 付きのシャツを指すことがほとんどです。
名称については東日本では White Shirt を語源とした和製英語のワイシャツが一般的です。 一方、西日本、とくに関西地域ではカッターシャツと呼ばれることが多くなっています。 これは大阪のスポーツメーカー、ミズノが大正時代に発売した襟付きシャツの商品名から広がったものです。 名前が異なるだけでワイシャツとカッターシャツに違いはありませんが、関東と関西とで好まれる ファッション のスタイルや流行がしばしば異なりますし、その影響を受けてそれぞれの地域で変更やアレンジがされていることもあり、異なるもののように見える商品などもあります。
そのまんまの白シャツとか ブラウスシャツ (英語表現)、ドレスシャツ (本来は礼装用のシャツ)、学校制服用として銘打たれたスクールシャツみたいな呼び方がされることもあります。 いずれも個別の服飾メーカーや商品によってかなり自由に使われており、厳密な定義は難しいでしょう。 「青いワイシャツ」 とか 「Yシャツ表記」 は語源的にはおかしいのですが一般に使われていますし、女性用はブラウス (前開き部分の見頃が左前)、男性はワイシャツみたいな使い分けがされていた時代もあります (クリーニングの料金もそれで違ってきたり)。
日常 の必需品であると同時に消耗品であり、かつ基本的に毎日取り換えるものでもあるので、多くのアパレルショップに並び、安価なものなら1,000円台程度から購入できます。 素材はポリエステルと綿の混紡が一般的で、3,000円から5,000円程度のものを何枚も買い揃え、洗濯やクリーニングをしながら使うこととなります。
襟の形とネクタイによって印象ががらりと変わる
様々なシーンで用いられるベーシックな衣類ということもあり、基本形は同一でも細かいバリエーションが極めて豊富です。 大きさや素材、色 や 柄 のあるなしなどでも細かい分類がされていますが、とくに襟の形に様々な工夫や時代ごとの流行などが存在します。
一般的なのはレギュラーカラーと呼ばれる、着用時に襟の角度が65度くらいになるものでしょう。 襟の開き具合によってワイドカラーとか中間のセミワイドカラーなどがあります。 また襟の先端部分にボタンがつくものはボタンダウン、ピンホール用の穴が開いていて襟をすぼめるように着るピンホール、左右の襟の間に紐がついたタブカラー、襟の先端が丸まったラウンドカラー (丸襟)、襟が立ったような形で先端部分が小さく折れていて蝶ネクタイなどに合わせることが多いウィングカラー、丸首の帯のような小さな襟のバンドカラーなどがよく見かけるものの代表です。
色は白か青やベージュの 無地、柄があっても細いストライプなどが中心で、シャツそれ自体の存在感が出過ぎないものが主流です。 これは上にジャケット (あるいは ベスト やセーター類) を着て、首元に ネクタイ などを締めることが前提となったデザインでもあるからです。 黒とか真っ赤みたいなド派手なものもありますが、着こなすのはかなりのセンスが必要でしょう。 左胸に開放式のポケット、袖は長袖と半袖があり、長袖は袖部分にボタンがついています。 ボタンではなくカフスボタン用の穴が空いている場合もあります。 また腕まくりした際にそれを固定するためのボタンで留める紐 (ロールアップ) がついているものもあります。
着用時には棒タイや リボンタイ、紐タイ などを、首元で締める形で着用することが多いでしょう。 そうでない場合はノーネクタイと呼びます。 スーツにノーネクタイはいかにもラフで冴えない 雰囲気 ですが、現代のファッションの歴史は西洋で過剰に発展した洋服が世界中に広まる中でどんどん簡略化する歴史でもありますし、とくに近年の日本では夏場の 暑さ対策 の声もあって、ジャケットやネクタイなしでの着用が進められ、それに適したデザインのものもよく作られるようになっています。
クール・ビズによって夏場のノーネクタイ姿が一般的に
夏場のノーネクタイについては、日本においては2005年に環境省が中心となって推進したクール・ビズ (COOL BIZ) がその大きな発端となっています。 この施策は当初こそはそれ以前に提唱されて失敗した省エネルック (1979年) と同等の扱いを受けて批判や揶揄の声も大きかったものの、省エネや 環境 に対する配慮はともかく、実際問題夏の酷暑は耐え難いこともあり、夏の当たり前になりつつあります。 通常毎年5月1日〜9月30日をその期間としています。
クール・ビズは省エネルックのように半袖スーツといった見た目が奇異で、かつ新しくそれ用の衣服を購入する必要があるものと違い、スーツの トップス とネクタイを脱げばすぐに実践できるものだったことが良かったのでしょう。 ちなみにファッション・アパレル業界とも連携し、クール・ビズを強力に推進したのは後の東京都知事で当時環境大臣だった小池百合子さんです。
小池さんも毀誉褒貶の激しい政治家ですが、こと夏場のクール・ビズ推進とその定着に関しては、評価する声が圧倒的でしょう。 それでも当初は大手マスコミを中心に、省エネルックの再来だとか、政府が国民の服装にまで口を出すのかとか、クール・ビズに伴うオフィスのエアコンの温度 設定 が健康を害すとか、ネクタイ業界の苦境とか、服装が乱れるとかの批判が結構ありました。
なお中高生を中心とした制服姿でも、夏場はクール・ビズに先んじてトップスはワイシャツあるいはネクタイとワイシャツだけといった着こなしが一般化していました。 女子に関しては 透け 対策もあり、夏用の ニットベスト を着用するケースもあります。 その後は熱中症対策などの観点もあり、夏場の ポロシャツ などが準制服扱いで認められるケースも増えています。 夏場のシャツと云えば開襟シャツもありますが、こちらは1980年代を中心に不良やヤンキーと呼ばれる人たちの間でポロシャツと同様広く用いられていましたが、現在はほとんど見かけることがなくなってしまいました。
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