透かすのか、透けてしまったのか… 「透け」
「透け」「透ける」 とは、本来は見えないはずの何らかの物体や事象、人の考え方などが、透けて見えてくる、察し てしまえるといった状況を指す言葉です。 ごく 普通 の日本語表現ではありますが、文脈によって様々な使われ方がされます。
こと おたく や 腐女子 の世界で云えば、ある作品なり 投稿・書き込み などに、作者 や投稿・書き込み主の考えや思惑、あるいはその人の様々な属性などが透けて見えるといった使い方をすることも多いかもしれません。 この場合、「口ではきれいごとをいっているが心の裏のドロドロした透けを感じる」「邪悪な透け」 みたいな言い回しになります。 「透けて見える」 ではなく 「透けを感じる」「○○透け」 みたいな日本語としてちょっと崩れているところがポイントというか当世風といったところでしょうか。
ところで透けて見えるという部分は、実はわりと多層的です。 例えば作者がある作品の物語に何らかの自分の思想や想い、あるいは作者本人のあれこれをほとんど無意識に込めてしまってそれが見るものに透けて感じられる場合もあれば、透けることを予期あるいは期待してあえて透けさせたいものを意図的に込めること (寓意や 匂わせ) もあります。 一方の受け取り側も、作者が無意識にそれを込めたのか、透けるのを期待した意図的であざとい匂わせだとみるかなど、作者と読者のギリギリの知的攻防に至っているような状態もあります。
作品はそれがどんなものであれ、作者の想いや知識、人格がこもってくるものです。 またちょっとしたセリフの言い回しに、作者の知性や教養の有無を感じることはありますし、生まれ育った 環境 (経済的なあれこれとかモラルとか) が何となく見えてくることもあります。 頭の良い作者の描く不良やチンピラには無用な知性が宿ったりしますし、貧乏な作者の描くお金持ちの暮らしはいかにも貧乏人が必死に考えた幼稚で粗末なものだったりもします。 凡人が描く天才 などと同様、作者の力量の範囲内でしか、登場人物や キャラ は描けないものになりがちなのでしょう。
これらを読み解くのは ファン としての 好奇心 や好意的な読み解きかも知れませんし、逆に アンチ による悪意を持った斜め読みなのかも知れませんが、どうせなら作品を深く知るきっかけにできれば、作品・作者・読者の素敵な関わり合いになるのかもしれません。
単純・物理的な 「透け」 描写の意味でも
「内面が透けて見える」 といった比喩的な意味ではなく、そのものズバリの、物理的・光学的に何かが透けて見えることを指すこともあります。 例えば薄い生地で作られた服が透けて下着や裸体が見えると云った状況です。
これらも 「透け (透けコスチューム)」 と呼ばれ、透けるものの名前に接頭して ジャンル をあらわすことがあります。 例えばそれが 制服 なら、「透け制服」「透けセラ」(透けた セーラー服) といった感じです。 透けの代わりに 「スケルトン」(1990年代後半あたりから流行、誤変換当て字 で透けるトンとも) と呼ぶこともあります。
また透ける原因で カテゴリ を分けることもあります。 例えば服が濡れて透けるなら 「濡れ透け」、濡れた原因が雨なら 「雨透け」(レイン透け)、汗なら 「汗透け」(スウェット透け) と呼ぶ場合もあります。 濡れ透けの場合、単に透けて見えるだけでなく、濡れた衣服が身体にぴったりと張り付いたりしわが寄る様を含めて指すこともあります。
なお実際は透けていないけれど、演出として透けているかのようになっている描写 (例えば 18禁 における 透視図 とか 断面図 とか)、あるいは作中キャラに透視能力があるといった場合もありますが、これらが厳密な意味で透けとして扱われるかどうかはケースバイケースでしょう。