同人用語の基礎知識

どこいな

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地域ネタはいつでも大盛り上がり… 「どこいな」

 「どこいな」 とは、「どこの田舎だよ」(どこの田舎の話だよ) という意味の言葉です。

 使われる場所は主に ネット掲示板 などで、もっぱら都市部在住者 (もしくは自称都会人) が、地方のニュースや出来事に対して、田舎や田舎者をバカにするような文脈で語るために使います。 ただし 「どこいな」 と略され、言葉として広がって ネットスラング としての面白みが出てくると、地方在住者が 自虐・自嘲気味に使ったり、逆に都会の田舎っぽい部分、都市部在住者の教育 レベル やモラルの低さを連想させる事件や田舎っぽい出来事を揶揄して、ことさらに 「どこいな」 と 叩い たり 煽る ような使い方をする場合もあります。

 ネットの世界では、自分がどこに住んでいるのかは基本的に自己申告の世界ですが、掲示板 2ちゃんねる の一部の板では、参加者が利用しているプロバイダの IP アドレス から大雑把な回線利用状態が都道府県名などで表示されるようになっていて、地域ネタが盛り上がる状況を作ってもいます。

 なお対義語というか、売り言葉に買い言葉として使われるのは 「ここいな」(俺がいるここが田舎だ) となります。 また地震関係における一部地域に 限定 した お約束 のフレーズ (例えば 「筑波大学は核実験をやめろ」) などのご当地ネタもあります (後述します)。

地震や台風、大規模災害で盛り上がる 「どこいな」

でも田舎っていいよね… 「どこいな」
でも田舎っていいよね… 「どこいな」

 「どこいな」 と最初に略され使われた時期は判然としませんが (2008年から2009年には、単発ではなくある種の流行語として、ちらほらとあちこちで出ていた)、これが猛烈に流行りだしたのは、2010年以降でしょう。

 とくに地震などの災害ネタとセットで使われるケースが多く、「地震とかどこいな」(地震が起こるなんてどこの田舎だよ) といった使われ方で広く伝播。 地震は別に田舎に限定して起こるわけではないので、語感だけでなく、その不条理さにも流行語としての面白みがあったのでしょう。

 とりわけ2011年の東日本大震災 (東北関東大震災) では度々大規模な余震が起こり、その都度ネットでは地震のニュース速報やそれに伴う掲示板の スレッド などが作られましたが、そこでしばしば登場する 「地震どこいな」 が連鎖し、さらに広く使われるようになったのでした (ただしこの震災はあまりに被害が大きかったため、当初はギャグとしての 「どこいな」 は、むしろ使われる事が少なかったですね…不謹慎ネタを面白がる一部ネット利用者にとっても、原発事故までもが同時に起こったこの震災は、シャレにならない被害だったということでしょう)。

 なおそれ以前は、テレビ放映の全国ネットの広がり具合を対象として揶揄する使い方が おたく の世界では多く、都市部では当たり前に見ることができる アニメ などが地方では放送されておらず、これを都市部の人間が揶揄するような使い方もありました。 恐らく略語としての最初期の 「どこいな」 は、このあたりもいくらか影響しているのでしょう。

地方ネタではお約束「どこいな」

 地方ネタは日本中から人々が集まるようになった パソコン通信インターネット の時代に大きく盛り上がりますが、地方出身者や田舎者を揶揄する 「田舎っぺ」「かっぺ」 という言い方ははるか昔からありますし、こうした感覚は現代の日本だけのものではなく、ネットなど存在しない大昔も、あるいは世界中どこででも普遍的に見られるものです。

 ネットの世界では、ことさらに大げさな地方へのレッテル貼りが、ある種の ネタ として昔から扱われています。 例えば大阪を 「大阪民国」(お隣りの国のような低レベルの犯罪や性犯罪がよくニュースになることから)、香川県を 「うどん県」(香川人のうどん好きと、香川の水道事情からの渇水を揶揄したもの)、山形県を 「マット県」(1993年の山形県新庄市いじめマット殺人事件に由来) などがよく知られています。 画像 ネタでは、群馬県 (グンマー) をどこかの秘境かのように扱うものなどもネタとして有名ですし、1990年代から2000年代にかけては、さいたまが大ブームとなっていました。

 こうしたものを、「反日勢力の 工作員 による日本の地域分断活動の陰謀だ」 と真顔でことさらに主張する人もいます。 しかし褒め言葉より先に罵倒がくるのが当たり前のような場所もネット上にはありますし、前述した通り、田舎を悪し様に表現するのは、自分以外のものに何かしら理由を付けて下に見ようとする多くの人間にとっては、いつの時代にも見られる普通の感覚なのでしょう。 ですので、こうした単なるネタ、煽りのための煽り、ごくありがちなネタに対して、あまり過剰反応しても仕方がありません。

地域ネタはお互い様、あまり過剰反応しても…

 後には日本ではもっとも都会だと思われる東京ですら、「トンキン」(流行り始めたきっかけは、2011年の東日本大震災において、直接の被災地でもないのに物資を買い占める一部住民の見苦しい姿を、感覚が日本人離れしているとの意味で多用) と呼ぶようになっています。

 要するにお互い様の話で、「地方差別だ」「人権問題だ」 とするのも行き過ぎだと思いますが、中には地域性を的確に言い表したような、ちょっと当事者に取っては救いのないものもあり、気になる人は大いに気になるもののようです。

ご当地ネタ 「筑波大学は核実験をやめろ 」

 特定地域で地震が起こった時に、掲示板や ツイッター といった SNS にしばしば 投稿 される地域限定のご当地ネタもあります。 代表的なのは 「筑波大学は核実験をやめろ」 で、茨城県周辺を震源地とする地震が起こった際によく使われます。

 筑波大学は茨城県つくば市にキャンパスを置く国立大学です。 高等師範学校を源として広島大学と並び旧二文理大 (文科と理科の官立単科大学) の一つ、東京文理大として1872年に発足。 元々は東京にありましたが、1973年に筑波研究学園都市の中核施設として前後して施設を同地に移転し、実質的には翌1974年に筑波大学として開学となりました。 日本を代表する最難関校の一つとして 認知 され、とりわけ最先端技術の研究で広く知られる存在となっています。

 同大学が国家による先端技術の研究開発を担う存在ということや、茨城県の東海村にある研究所が国内で最初に原子力の火を灯した場所のひとつであること、同地に核開発関連施設が多数あることから、転じて国家プロジェクトとして秘密裏に核兵器開発のための地下核実験を行っているのでは? との不謹慎ネタ的な面白みや、日本で反核平和運動を行う団体などの反対運動が何かとアレなことの揶揄・当てこすりも含め、シャレとしてこのフレーズがしばしば使われるようになっています (当たり前の話ですがそんな実験はしてません)。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2010年12月4日)
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