男性用・女性用、いろいろあります 「大人のおもちゃ」
「大人のおもちゃ」 とは、オナニー もしくはセックスなどの性行為において使われる性的な道具のことです。 「性具」「淫具」「マスターベーションデバイス」 などとも呼ばれます。
どこかで見たようなキャラ オナホール「つんえろ」 |
さらにダッチワイフ (ラブドール/ 空気嫁/ 「空気読め」 の 誤変換当て字 でもあります) や空気抱き枕 (エアピロー)、潤滑剤の 「ローション」 なども直接体に触れて性感を高めたり刺激する道具としておなじみです。
またイボイボや先端部分に人工の亀頭がついた、避妊ではなくセックスの補助としての機能を持ったコンドームやサック、男性器にはめて使う 「コックバンド」 などはセックスと密接に関係した 定番商品 でしょう。
実際はこの他に、例えばセクシーな衣装 (性器部分に 穴の開い た パンツ やスケスケのネグリジェ、セーラー服 などのコスプレ用衣装) や首輪や目隠し、手錠、さらにスケベ椅子 (座ると股間の下に手が入れられるスペースがある)、大掛かりなものではウォーターマットだの三角木馬だの緊縛用の十字架だのまであります。
また男性器や女性の乳房などを吸引して大きくさせるようなもの (吸引式増大器) なども、実用品と云うよりは、広義の 「大人のおもちゃ」 と評してよいでしょう。
あくまで 「おもちゃ」、ジョークグッズなんです…
なお 「大人のおもちゃ」、あるいは 「夜のおもちゃ」 という呼び方になっているのは、言葉としての 「しゃれ」 の意味のほか、流通過程である種の 「ジョークグッズ」「パーティーグッズ」 として取り扱わないと、人体に挿入したりを繰り返す器具や電気製品であることから、厚生省などで設けている安全のための厳しい規制を守ったり、多額の費用がかかる認可を得なければ販売ができなくなるなどの制限があるからのようです。
従って、医療品や健康器具、あるいは電気製品などではなく、あくまで日用雑貨品の扱いであり、「これは単なる おもちゃ です」 ということになります。
日本製の 「大人のおもちゃ」 は世界中に輸出され人気を得ていますが、とりわけアメリカなどでは、州によって規制内容が違う上に、各々で許認可を得なくては販売ができず、こうした表現 (またパッケージに イラスト やいかにも玩具っぽい名称をつけるなど) が、商品が作られた頃からうたわれています。
呼び名は日本と同じようなものが多く、「Sex Toy」 あたりが代表でしょうか (もちろん、個別のグッズごとに、Marital Aids、Dildo、Vibrator などの呼び名も日本同様に存在します)。
街道沿いに 「大人のおもちゃ店」 が登場して一般化
これらのグッズや商品は、男性向けの成年雑誌に通販として紹介される他、街道沿いに郊外型の店舗として日本各地に誕生した 「大人のおもちゃ店」 で 「エロ本」 などと一緒に販売されていました。 店構えはしばしば黒くて窓もないようなこじんまりした店で、昼間は営業しておらず、夜になると怪しいネオン看板などを光らせて客を集めていました。 エロショップは繁華街や歓楽街の外れと街道沿いってのが、長らく定番でしたね。
その後ラブホテル (ブティックホテル) などで自販機が置かれてそこで買えるようになったり、ビニ本ブーム (ビニール本/ 1975年から 1980年代にかけて大流行した、スケスケパンツを履いた女性がにっこり笑って大股開きするようなグラビア写真集) や アダルトビデオの人気 (AV) などで、その姿形を一般人が目にするケースも増え、かなり一般化したようです。 それ以前もピンク映画や ロマン ポルノ映画、あるいはストリップ劇場などで使われてはいましたが、80年代のビニ本とAVの登場によって爆発的にエロの人口が増えたんですね。
ただしパートナーに対して使う…という使い方のための購入よりは、圧倒的にオナニー、自慰のためのそれが多いようです。
材質にシリコーンゴムやラテックス素材などが使われるようになり、リアル感が上昇
シリコーンとは、ケイ素と塩化メチルを高温に熱して混ぜ合わせ、メチルク口口シランを生成、さらにこれを水と反応させて作る無色無臭で撥水性のある合成樹脂です。 シリコーンゴムとは、高分子の合成ゴムの一種で、天然のゴムと同様に伸縮性に優れ、また水分を含むとゲル状になるなどの特徴を持っています。
なお、よく 「シリコンゴム」 などを略して 「シリコン」 と呼称する場合もありますが、「シリコン」 とは 「ケイ素」(珪素/ Si) そのもののことで、「シリコンゴム」 ならば 「ケイ素を含む樹脂 (ゴム)」 という意味で間違ってはいないのですが (1940年代の日本では、「ケイ素樹脂」 と呼ばれていました)、略してしまうとどちらか分からなくなります。
シリコンゴムやシリコン樹脂は、本来はシリカケトン (Silica Ketone) と呼ぶのが正しく、こちらの略語は 「シリコーン」 となりますので、現在はシリコーンゴム、もしくはシリコーンと呼ぶようになってきています。
より自由な素材 (マテリアル) の登場で性能が向上
いわゆる伝統的なオナホール 名器自慢シリーズ 「あき」 |
このシリコーン、ケイ素上に置換基 (Substitution group) を導入、すなわち特定の物質を化合 (混ぜて反応させる) ことにより様々な特性を持たせることが可能です。
主な用途は工業用の型作りやワックス、オイルなどですが、日本も 戦前 より研究を重ね様々な可能性があったものの、製品化には特許の問題があり (1940年、アメリカのゼネラル・エレクトリック (GE社) の E. G. Rochow の考案した直接法が、現在のシリコーン工業の基礎となっています)、製品化されたのは、やっと 1953年 (東芝/ オイルやゴム、建築用撥水剤や離型剤など) からでした。
いわゆる 「張子」「こけし」 と呼ばれる男性器の形をした性具は大昔からありましたが (江戸時代の春画などにもよく出てきます)、材質は食材 (肥後ずいきが有名です) や木材がメインで、その後天然ゴムなども使われるようになりましたが、硬く、また手入れも大変で、とても高価なものでした。
その時代は戦後もしばらく続きますが、軟質樹脂やスポンジ、塩化ビニールなどを使ったものが登場し (アレルギーや体に有害なものもあった)、オナニー用の道具として普及。
その後真打とも思われる 「シリコーン」 製品の導入によりリアル感と性的快感を高める工夫が徹底して追及され、こんにちのシリコーン製品の流行につながりました。 またラテックス (チューインガムの元ともなる樹脂) も、食品用に使われるほどの安全性と手ごろな価格から、大人のおもちゃ用素材として人気があります。
成型自在…特殊溝加工やら無次元加工やら鬼ヒダやら…
構造が比較的単純な女性向けのグッズ (張子やバイブ) もさることながら、オナホールの類の技術革新は、目を見張るものがあります。 元々が工業素材であることもあり、まさにものづくりの国、日本の面目躍如のような超弩級のオナホールが数年おきのブレイクスルーを何度も重ねて生まれているようです。
一般的にはオナホールなどは見た目で敬遠してしまいますし、価格は安いものの (数百円から 3,000円程度まで)、実際に手に取る人はかなり少ないと思いますが、ただしベストセラーと呼ばれる 「TOKYO名器物語」(東京名器/ 東名) などは、公称で年間 10万個の出荷と云われていますから、ネット などの通販も利用しやすくなり、それなりに手にしている人は多いのでしょう。
またオナカップ最大手の 「TENGA」(2005年7月より) などは、およそオナホールには見えないようなオシャレでポップな商品デザイン、パッケージ、堅実で意欲的な新機軸も織り込んだ高い性能で一世を風靡。 エロ雑誌だけでなく、ある種のサブカルの世界でも紹介されるようになっていて、公称で年間 100万本の出荷をしているようです。