最強キャラを作るためには、これをああして… 「レシピ」
「レシピ」(Recipe) とは、主に料理やお菓子、飲み物などの調理法を書いた文章を指す言葉です。 元々はラテン語の命令系 Recipe に由来し、医学において処方箋のような役割を果たすものを指す言葉です。 すなわち、患者に投与する薬品の調合を薬剤師に指示し命じるためのものだったのですね。
最古のレシピとされるものとして、紀元前1600年頃の、南バビロニア・アッカド語の粘土板の存在が知られています。 その後17世紀頃からヨーロッパにおいて、料理の材料や調理法、手順などを記した文書にもこの言葉が当てはめられるようになり、そのまま定着しました。
単純に命令とその受容とを指す言葉として転用されただけなのでしょうが、医薬品の処方と料理の手順とが同じ言葉から生じたのは面白い部分です。 東洋的な言葉として俗に医食同源などと呼ぶように、かつては薬だったものが嗜好品として伝わっている食べ物も多いですし、純然たる医薬品と日常の食べ物の中間に位置するような滋養食とかスタミナ料理、あるいは塩分なり糖質なりカロリーなりを抑えた制限食、食事療法もあります。 このあたりには法的な区分はあっても実際は明確な境界線は存在せず、グラデーション のようにあやふやです。 行為や言葉としての連続性が洋の東西・古今を問わずあるのでしょう。
日本においては歴史的経緯もあり医療関係の言葉にドイツ語の影響がとても強いのですが、ドイツ語で処方箋のことは Rezept (レツェプト) であり、こちらはあまり使うことはないものの、その略語である Rp. はお馴染みの表記でしょう。 ちなみに似た言葉にレセプトがあり、こちらは医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬の明細書のことを指しますが、どちらも基本的には同じものです。
処方箋と明細書では意味がだいぶ違いますが、ドイツ語によっては処方箋に基づく健康保険会社への請求といった意味もあり (Rezeptabrechnung)、このあたりは明治期にドイツ語由来の医療用語が日本に入ってきてどう訳されたかによっても様々な見解があるのでしょうが、面白い言葉の変異だといえます。
料理や料理以外でも多用される 「レシピ」
レシピをそのまま日本語にすると調理法や料理法、製法、調合法、あるいは前述した処方箋などになります。 これらも料理以外のものに当てはめて使われることがありますが、レシピも同様に広く俗語的な転用がされています。
例えば おたく や 腐女子 に近いところでいえば、ゲーム において強い キャラクター や ユニット、武器、スキルといったものを作ったり育てたり 厳選 する際の必要な素材や アイテム、手順などをまとめたものをレシピ (例えば 「最強〇〇生成レシピ」 みたいな) と呼ぶことが多いでしょう。
キャラや 装備品・スキルの育成や生成などは、決まった素材と手順 (場合によってはそれをゲーム内で実施するキャラや職業) に従って実行しないと思った通りにならないことも多くなっています。 作成そのものに失敗したり、作成はできても ステータス や パラメータ (能力値) が上がりきらずに カンスト しないなどです。 とくに 限定品 のようなものは、一度失敗すると 取り返しのつかない要素 になりがちなので、検証のための先行勢や RTA勢 でなければ、信頼できるレシピが作られてから手を付けるのが得策でしょう。
ゲームによっては完璧にレシピ通りに行っても確率要素の有無で成功・失敗の 行為判定 がされることもありますが、その場合でも、より確率 (期待値) の高いレシピが多くの プレイヤー らによって 開発・検証されていきますから、それを上手に利用したり、余裕があれば開発や検証などに参加して同じゲームのプレイヤーの 攻略 に貢献したりゲーム外の楽しみを得たいものです。
ちなみにこれらゲーム以外でも、例えばパソコンとかオーディオといった電子機器の世界で、あらかじめ決められた予算内でどのパーツや機材を選び組み合わせると コスパ が高く利用者にとって最適化された 環境 が構築できるかといったノウハウを 機材オタ がレシピと呼んだり、様々な分野で使われています。 またパソコンデスク周りをデスクレシピと呼んだり、家具などの室内レイアウトをレシピと言い換えるようなケースもあります。