燃え尽きる前の最後の輝き… 「ロウソクの最後の煌めき」
「ロウソクの最後の煌めき」 とは、アニメ などに登場する 主人公 や重要な 脇役 以外の比較的存在感が薄い キャラクター が、作品中で死ぬ寸前になっていきなり出番が増えて活躍すること、突然クローズアップされて存在感を増すことです。 ロウソクが燃え尽きて消える前に一瞬だけ火が大きくなり明るく輝く現象になぞらえ、こう呼ばれます。 またこうした役割のキャラをロウソクキャラと呼んだりもします。
一般に主人公や重要な脇役は作品内で特別扱いされ、登場シーンなども多く、また作品のストーリーそのものに大きな役割を果たすものです。 例えば連続ものの作品であれば、何回かは重要な脇役が主人公として活躍する話もあったりするでしょう (いわゆる主人公回)。
そうでないただの脇役は自分中心に話が進む回もなく、主人公や重要な脇役の引き立て役や単なる背景のような扱いをされますが、稀に突然クローズアップされたりします。 創作物ではこうしたケースが強度・不可避の 死亡フラグ となっており、見ている側も身構えてしまうものでしょう。 とりわけそのキャラを 推し ている ファン にとっては辛いものです。
知らない間にいなくなったり、ナレーションで触れられるだけよりは…
対義語は 「自然消滅」(知らない間にいなくなる、その他大勢と一緒に死ぬ) や 「ナレ死」(死の描写がなく、ナレーションで死んだと伝えられるだけ) となります。 これらに比べれば、ほんの一瞬とは云え、死ぬ間際に光り輝き、しばしば名言のようなものを残すこともあるロウソクキャラの方がずっとマシな扱われ方なのでしょう。
なぜロウソクは最後に明るく光るのか
ロウソクは芯に着いた炎の熱で個体のロウ (パラフィン) が液状化し、毛細管現象によって芯を伝わって上昇し、それがさらに気化して熱を帯びて反応し燃焼します。 芯とロウがある限りこの反応は続き燃焼し続けますが、やげてロウソクが短くなりロウが尽きて消える頃になると、芯がむき出しとなって一気に燃焼します。 この芯の燃焼が最後の光であり、その瞬間だけは輝きを増しますが、すぐに消えてしまいます。
こうした現象は 「灯滅せんとして光を増す」(法滅尽経) とのことわざとしても伝わり、何かが消え去る時、滅びる時に、一瞬だけ勢いを盛り返す様をあらわす言葉としてもおなじみです。 ちなみにロウソクではない電球 (白熱電球) なども、切れる寸前にピカッと一瞬だけ輝きを増したりします。 これは電球を光らせているフィラメントが断線し熱で急激に溶けることで輝きを増す現象です。
一方、病人が死の寸前に一時的に病状が回復したり 病気 や大怪我で死にそうな人がいまわの際に一瞬だけ目を開いたり言葉を発したりといった現象もよく耳にします。 これらは、生物としての人間がもっとも大きな死という変化に直面して生命が最後の抵抗をするのでは、などとも云われますが、本当のところは不明です (そもそも医学的・法的な生死の判断基準はともかく、生物にとっての生死は境界があいまいな グラデーション状 になっていて、どこまでが 生 でどこからが死かなどは決められません)。
終末期・臨死状態の人間が一時的に元気に見える現象 (中治りとかラストラリーとか) は広く見られるものですが (少しでも寿命を伸ばす目的で心身を活性化させるためにセロトニンやドーパミンなどの脳内物質、いわゆる 脳汁 が出て元気になる)、このあたりは、偶然 「死の寸前に命の輝きが増した」 ように見える現象を目撃した場合に、その記憶が鮮烈に残ることから生じた錯覚 (デジタル時計を見ると自分の誕生日やゾロ目の並びが多い、みたいな思い込み) も大きいような気がしますが、どうなんでしょうか。