出勤なし! お家でお仕事っ☆ 「テレワーク」
「テレワーク」(Telework/ テレワ) とは、会社など勤務先へ通わず、自宅やそれ以外の場所で業務を行うことです。 「Tele = 離れて」「Work = 仕事」 する勤務方法という訳です。 パソコンのリモート機能やシンクライアント端末などを利用した働き方のほか、単純に ネット がつながる端末を利用した働き方もあり、リモートワーク (Remote Work/ リモワ) や在宅勤務、遠隔勤務と呼んだり、観光地などに滞在し仕事と娯楽を両立する場合はワーケーション (Work + Vacation) と呼ぶこともあります。
こうした働き方は、労働者にとっては通勤時間がない、身体機能に制限があったり子育てや介護といった自宅から離れることが難しい 環境 にあっても就業することができる、仕事と私生活のバランスがとりやすいなどで、メリットがあるものだとされています。 雇用する企業側でも、通勤に関する交通費やオフィス賃料、オフィス什器類などが削減できる、国内の遠隔地はもとより広く海外からも多様な人材を雇用できるなどメリットがあります。 国や自治体も東京や大阪など大都市圏への人の集中が緩和できたり、地方における就業先の確保ができるなどメリットがあり、テレワークが難しい業種はともかく、社会全体では働き方改革の一部として、かねてから普及を目指していました。
2020年に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が広がると、2月17日には政府の専門家会議がテレワークの促進を提言。 不要不急 の外出はもちろん、出勤や人との接触が避けられる中、急速に広がることにもなっています。 一方、コロナ禍が世界的に広がる中で日本以外でも強く推し進められることとなり、流通の混乱に加えてパソコン関係の 需要 が急増し、パソコンや関連機器類の品不足や価格高騰も招く結果となっています。
とはいいながら、キラキラオフィスに憧れる人も少なくない状況
もっぱら相性が良いのは IT企業ですが、世界的な IT企業、例えばグーグル(Google)・アップル(Apple)・フェイスブック(Facebook)・アマゾン・ドット・コム(Amazon) ら GAFA (ガーファ) が強力にテレワークやリモートワークばかりを推進しているかというと、別にそれほどではありません (時期によって推進したり出社に回帰したりを繰り返している感じです)。 国内の IT大手も同様です。 むしろ都心部や同業他社が集まる地域に清潔で快適な社屋やオフィスを持ち、おしゃれで豪華な社員食堂、充実したリクリエーション設備などなど、出社を前提とした福利厚生に力を入れているケースも少なくありません。
テレワークを行うと同僚との意思疎通はひと昔前なら電話や FAX、現在はビジネスチャットや Web会議ツールが中心となりますが、表情や仕草といった人のコミュニケーションにおいて重要な非言語情報が不足して、ともすると行き違いや不安感が生じやすいとはよく聞く話です。 Zoom や Google Meet、Microsoft Teams などで映像として見ることはできますが、対面とは情報量で比較になりません。 また社食でばったり誰かと出会う、何らかの会合で偶然知り合った相手と親しくなるといった思いがけない人との繋がりも作りにくいものです。 とくに複数の人間が偶然集まって化学変化を起こすような予測不能な出会いは、よほどそのために準備された場を設けていなければ、ネット上ではほとんど期待できません。
立派でキラキラした社屋やオフィス、豪華な社食、あるいは会社と最寄り駅の間にある顔なじみが集まる 「たまり場」 などは、自宅とは違う高揚感やオン・オフの切り替え、そこで働く労働者としてのある種のプライドを満足させ、モチベーションを高める作用もあるでしょう。 企業側も、出勤によって労働者の管理がしやすいというメリットが依然としてあります。
コロナ禍以降はテレワークできる業種はそれがスタンダードになると鼻息荒く説く人もいますし、大手企業が次々に都心部のオフィスを縮小する中、一定の範囲でそれが実現し、あるいは定着するのは間違いありません。 しかし結局のところは、出社とテレワークどちらかを、労働者の好みやその時点でのライフステージや生活環境、生産性の高低を見ながら選んでいく形に落ち着くことになるのでしょう。 その際のテレワークの割合は、思ったほど高くなることはないようなイメージです。
トリップとか内職とか、様々な働き方はかねてから存在しましたが…
こうした働き方はパソコンや インターネット、ネット を利用した通信機器が普及したことによって広まった働き方とされますが、一部の業務についてはそれ以前からテレワークと呼ばれるような働き方が広く行われていたり、認められていたケースもあります。
例えば営業職には昔から 「トリップ」(Trip/ 旅) という営業方法があります。 これは地方などに泊りがけで 出張 するもので、ビジネスホテルや旅館・民宿などに 宿泊 しながら数日間、その地域で集中的に営業活動を行う働き方です。 毎日会社に戻ることは当然できませんから、朝夕に電話で会社へ業務報告を行い、それ以外の仕事は現地で行うことになります。
また泊りがけではないけれど、会社に立ち寄らず自宅から直行直帰で営業活動を行う場合もあります。 この場合も朝夕に連絡を入れるだけで業務は現地で行いますから、離れて業務を行う、すなわちテレワークだと云って良いでしょう。 このあたりは 「行商」 などとも歴史的な連続性があり、企業に属しながら事務所から離れた場所で仕事をするといった就業スタイルが、何も新しいものでも何でもなく、一つの働き方として認められていたというべきものでしょう。
なお 「内職」 という働き方もあります。 こちらも古くから存在する働き方で、主に小規模な製造業の補助的作業やデータの入力作業などで行われていました。 とくにデータ入力ついては、自治体に出向いて住民台帳を閲覧して見込み客のリストを手書きで作り、まとまった数になったら郵便で会社に送る、あるいはリストが送られてきて郵便封筒のあて名書きをするなどの業務が昔からありました。
これらの業務はその後に成立した個人情報保護法で禁止されたり、あるいは手書き部分が電子化されて業務そのものが消えてしまったなどでめっきり見ることはなくなりましたが、製造業の補助的作業 (部品作りなどの手作業が多い) については、まだよく見かける働き方だと云えるでしょう。
ネットの普及でフリーランスの働き方としても広まる
企業などに属さず、フリーランスで働く場合、原則的に自宅や自分で用意した職場での業務となりますが、そもそも勤務先に行く必要がないので、在宅勤務ではあってもテレワークやリモートワークと呼ぶことはないでしょう。 ただし外注や業務請負を含め、フリーランスでありながら企業の事務所などに 常駐 するタイプの働き方もありますから、これと区別する意味で使うことはあるかもしれません。 これは定まった仕事先がない クラウドソーシング といったプラットフォーム経由の仕事 (外注や制作代行) でも同様です。
気分的に1日24時間を有効に使えるテレワークですが、それだけに自己管理は大変ですし、対面でのコミュニケーションがないと辛いと感じる労働者も多いようです。 何だかんだいって会社に出勤して同じ場所で一斉に働くという習慣は根強いもので、コロナ禍でいったん広がったテレワークや社会全体の リモート への取り組みも、コロナ感染症が収束する中で、元に戻りつつあります。 ただまぁ取引先との打ち合わせなんかは、さすがに対面でやりましょうってのは、コロナ以降は激減していますけれど。
筆者 は孤独耐性が高いですし、社会人生活の大半を自宅仕事やテレワークで行っていますし、通勤とか出社に魅力を全く感じないタイプなのですが (ある意味、家に 引きこもる ことに命を懸けた人生です)、給与や労働時間以外の出勤とか会社設備の持つ効用も分からないではないので、今後どのように世の中が変化するのか興味津々といった感じです。
自分自身の経験でいえば、人としゃべる時間が圧倒的に不足するので、若い頃はともかくそれなりの年になると、滑舌は悪くなるし呂律も廻らなくなるし身なりはだらしなくなるし、頭の回転や感情の起伏も明らかに鈍くなってきますし、あんまり良いことがない感じではあります。 歩く時間も激減するので運動不足は慢性化しますし、1週間のうち玄関から外に出たのは徒歩1分のコンビニに3回だけ、みたいなこともよくあります。 同じような仕事をしている友人は自宅のそばに小さい事務所を借りてわざわざ出勤してますが、分かるような気がします。 元々ずぼらな性格なのもあって、同人 や おた活 をやってなくて イベント やらライブやらに興味がなかったり、趣味 の友人と出かけることもなければ、そのまま何か月もそのペースで進みそうな気すらします。
気楽だし楽しいし充実してはいるんですが、正直、生物たるヒトとしてあまり良い仕事の仕方 (あるいは生き方) ではないかな、という感じはしています。 「仕事はずっと自宅です」 というと羨む人もいますが、こんな筆者が云っても説得力はないかもしれませんが、あまりお薦めはしないです。 若い頃は暇を見て短期の力仕事のアルバイトとかをやったりもしてたんですが、その気力もなくなってしまいました…。