十中八九、ビッグサイトロボの持つノコギリ型の大剣です
「切っている鋸」 とは、コミケ/ コミックマーケット などの大規模な 同人イベント や ゲーム、グッズ、キャラクター 関係のイベントが行われる日本有数の コンベンションセンター である 東京ビッグサイト の傍らの大地に刺さった巨大なノコギリ型のオブジェのことです。 「Saw,Sawing」 とも。 作られ一般に広く公開されたのは1996年。 東京ビッグサイト (東京国際展示場) のそれと同じです。
同人関係者の間では通称エクスカリバー、もしくは草薙神剣と呼ばれています (うちの仲間内だけかも)。 SEGA の ネットワークゲーム、PSO 関連では、「チェーンソード」(チェンソ) とも呼ばれているようです。
作者 はスエーデン、ストックホルム生まれでアメリカを中心に活躍しているポップアートアーティストのクレス・オルデンバーグ (Claes Oldenburg/ 1929年1月28日〜) とコーシャ・ヴァン・ブリュッゲン (Coosje van Bruggen) の2人 (夫妻/ 後述)。 高さは 15.5メートルだそうで、日本でもっとも有名な公共彫刻のひとつではないでしょうか。
写真で見る「切っている鋸」
大地に突き刺さった巨大なノコギリ、デザインは洋風ノコギリですね |
巨大なノコギリ。草薙神剣か、はたまたエクスカリバーか… |
傍らにはおかしなモニュメントもあり ぜひ実物を見てみてください |
そばで見ると大きさも実感 |
車の出入り口の横に建ってます タクシーと見比べるとこんなサイズ |
巨大なノコギリが大地をギコギコ
見た人の9割がそう感じるようですが、逆ピラミッドの東京ビッグサイトが変形して巨大ロボになり、この武器を手に戦う感じでしょうか…。 駅から見た東京ビッグサイトを正面だとすると、ビッグサイトロボはさしづめ左利きになりますねw
なお多くの人が薄々感づいているように 「東京都庁ビル」 も変形しますが、あちらはどうやらレーザーのような光線銃が主兵装のようです。 「サンシャイン60」 ももちろん変形しますが、こちらは3つのロボが合体した時には足になります (得意なフィールドは水中)。 残念ながら、中野ブロードウェイ は変形しません。 敵はおそらく、六本木ヒルズビルです。
クレス・オルデンバーグ (Claes Oldenburg) について
オルデンバーグは 1929年1月28日、スウェーデン・ストックホルムで外交官をしていたスウェーデン人家庭で生まれました。 1936年、オルデンバーグ7歳の時にアメリカに移住。 家族の都合や学校の都合でニューヨーク、シカゴと移り住み、1946年からエール大学で彫刻や芸術に本格的に取り組むようになりました。
1960年代にポップアートの世界に深く足を踏み入れ (この頃、最初の 結婚 をしています)、しばしば人々から嘲られたり笑われるような奇抜でチープなオブジェを次々と制作。 しかし大衆的で分かりやすくインパクトもある彼の作品は、徐々に受け入れられていきました。
当初は布製のオブジェや空気を入れて膨らますようなおかしなオブジェも作っていましたが、1976年にオランダ出身の女流ポップアーティスト、コーシャ・ヴァン・ブリュッゲン (Coosje van Bruggen) と共同生活を営むようになり、翌 1977年に結婚。 それまでの作風や既存のポップアート運動を消化し取り入れ発展させるような作品をさらに意欲的に発表するようになります。
日用品をありえない質感にしたり、巨大化したり
オルデンバーグというと 「切っている鋸」 のように、日常生活にありふれた品物、日用品を 「巨大化」 させ 「複製」 する一連の作品群が思い浮かびます。 他にも巨大な口紅や飲料水のボトル (Bottle) や巨大な傘 (Crusoe umbrella)、FREE と刻印された巨大な判子 (Free Stamp)、巨大な黒い双眼鏡やツルハシ、バドミントンの羽根、スプーンとサクランボなどいくつかありますが、大きさだけでなく質感の変更がされている場合もあり、例えばボトルは金属質な透かし彫りのような造形をしていたり、傘も鉄の碇のような質感をしています。
一方で、初期の頃に作った 「やわらかい浴槽」(Soft Bathtub) などは、サイズは標準的ながら、およそバスタブとは思えないものになっていたりと、モチーフ に対する表現方法はかなり自由です。 また空気を観客が入れないとしぼんでしまうなど、作家と観客との共同作業を意図したオブジェもあります。 ただし 「日用品」 をその多くの テーマ にしている点は変わりません。
「切っている鋸」 に近いものというと、サイズはやや小さいものの質感などはかなり近い 「修正液」(Typewriter Eraser) のボトルのオブジェがありますが (制作年は切っている鋸に近い 1999年)、いずれにせよそのいずれもが名だたる美術館やギャラリー、有名な 公共施設 に 展示 され、見るものを圧倒したり不思議な気分にさせたりしています。
口さがない人に云わせると、「単にでかくしただけじゃないか」 ってな意見も、結構根強いみたいです