せっかくの余韻が…訳の分からないエンディング差し替え 「エンディングテロ」
「エンディングテロ」 あるいは 「余韻クラッシャー」 とは、主に映画のテレビ放映、あるいは映画館での上映において、映画のエンディングやエンドロール部分が省略されてしまったり、その直後にテレビ局や配給側の不粋な演出や蛇足となる映像が挿入されてしまうことです。 酷い場合には本来のエンディングと差し替える形で独自の企画映像が入る場合もあります。 せっかく面白い映画を見てその感動の余韻に浸ろうと思っていたのに、望まない演出や場違いな企画によってそれをぶち壊されたという訳です。
言葉はともかくこうした 概念 は古くから存在します。 もっともありふれていたのは、「〇〇洋画劇場」 といったテレビの映画放映番組において、放送時間の都合上、エンディングやエンドロールが省略・カットされてしまうケースです。 映画本編が終わったと同時に番組の映画解説者の顔がアップで映し出されたり、そのまま素っ頓狂なテレビCMになったりして、余韻に浸る暇を与えてくれません。
これ自体は番組の放送時間に限りがあり、また映画本編部分もそれなりにカットがされているため、「エンドロールを残すために本編をカットするよりはマシ」 との判断もされるでしょう。 どうしても映画の余韻に浸りたければ、お金を払って映画館で見ればよいという論だって成り立ちます。
フジテレビ 「アナ雪」 放映で批判が殺到、炎上に
一方で、テレビ局側が訳の分からない企画や演出映像をエンディングに被せて放映するタイプは、放送時間という枠を無駄に使って一方的に見たくもない映像を押し付けられていると感じられ、不快感や批判のボルテージも上がりがちでしょう。 なかでも ネット で大きな話題となったものに、2017年3月4日にフジテレビ系列で放映された大ヒットディズニー映画 「アナと雪の女王」(アナ雪/ 吹き替え版) の地上波初放映のケースがあります。
この放映ではノーカットと謳われていたものの、実際はエンディング部分がフジテレビ独自のものに挿げ替えられていました。 そしてその部分に入っていたのは視聴者連動企画の 「みんなで歌おう! Let's sing together! Let it go!」 で集められた、素人 (主に子供) がアナ雪の衣装などを着て 歌ってみた 姿のビデオ映像、およびフジテレビの新番組などの広告を兼ねたタレントやお笑い芸人などの悪ふざけ (にも見える) 映像の寄せ集めなのでした。
ツイッター といった SNS を中心に 掲示板 などでも リアルタイム で見ていた人たちからの批判 書き込み が殺到。 「これはひどい」「感動の余韻が台無し」「子供の歌まではまだ許せても、番組宣伝を兼ねたタレントの下手くそな歌はいらなかった」「放送事故」「誰が得するんだよ」「映画の 私物化」「お茶の間が凍り付いた」(お茶の間ブリザード) と散々な云われようで、ほとんど 炎上 のような状態になってしまいました。
またテレビ放映ではなく映画館でお金を払って見た場合にも、エンドロールの省略やカット、あるいはエンディング曲のすげ替えなどが行われることもあります。 とくに吹き替え版の場合、日本語版のエンディング曲に差し替えるケースが結構あり、それが子供向けの作品ならば 「子供にもわかるようにとの配慮」 だと思えても、そうでなければオリジナルを聞きたかったとの不満が出がちでしょう。 とりわけ芸能事務所の ごり押し にも感じられるアーティストのカバー曲扱いの場合、不満や不快感が出てしまうケースが多いかもしれません。
差し替えるのではなく、本来のエンディングを終えた後に流すのであれば、「おまけ」「アンコール」 のような扱いでむしろ好感度が上がるケースも多いだろうにと思うと、不粋な行為で無為に ネガティブ な印象を持たれてしまう起用されたアーティストが気の毒にも思えてきます。 まぁこのあたりは色々と 大人の事情 もあるのでしょうけれど。
観客が、他の観客の余韻をぶち壊すケースも
なお映画館でエンディングまでしっかり観る観客が、エンディングが始まるやすぐに席を立ったり携帯電話やスマホを見る観客を目障りだとして 「余韻クラッシャー」 と呼ぶケースはかなり前からあります。 これは映画だけでなく、ライブやコンサートなどでもしばしばそう呼ばれます。
筆者 はすぐに席を立つ人をこれといって迷惑だとまでは思わないものの、わりとのんびりエンディングを見るタイプなので、半分くらいは迷惑だと思う観客の気持ちはわかります。 というか、灯りがついて明るくなってから席を立つので別にいいじゃんと思うのですが、まぁ人それぞれだし、何とも言えない感じです。
一方でライブなどは終演後に観客席の場所ごとに整理退場するように案内されることが多く、それをすっ飛ばして帰るのはどうなのよ、とは思います。 まぁドームみたいに大きな 会場 だと退場に時間がかかり、帰りの電車が間に合わなくなるケースもあるのでしょうから、仕方ないのかもしれませんけれど。