みんなの作品やキャラを自分の道具に 「私物化」
「私物化」 あるいは 「創作物や キャラクター の私物化」 とは、マンガ や アニメ などの コンテンツ やそれに登場するキャラを、作者 もしくは ファン が私的に利用すること、あるいは私的に利用しているように見える状態のことです。 この場合、独占性のあるなしは関係がありません。
例えば オリジナル作品 の作者が、作品の内容やメッセージ、キャラの性格などを無視した自分の政治的・思想的主張、とくに特定の政党や政治家を支持したり批判するような内容をことさらにキャラにしゃべらせるとか、ファンがファン活動の延長としての二次創作の範疇を超えて、まるで うちの子 のように自分勝手な使い方をするなどになります。
ファンによる無許可の二次創作はともかく、作者が自分の作品やキャラをどう使おうが本来的には自由ではあります。 私物化も何も、そもそもその作品やキャラは原則として法律上は作者の物です。 また作者も人間であり 表現の自由 もあるのですから、主張が気に入らないからといって 「自分の意見など言わず黙って作品だけ作ってろ」 と、物言わぬ 製造機 のように扱って批判するのも間違っています。
しかし長年その作品やキャラを 愛していた ファンにとっては、作品や 世界観 を無視した作者の自己主張やわがままが前面に出ている 「単なる代弁者」「スピーカー」 のようなキャラの使い方は、いくら 「作品は作者のもの」、かつ 「作品と作者の人格は別」 だとは云いながらも、好きだからこその戸惑いもあって、不快感が強まる傾向があるようです。 こうした状況は、しばしば ファンのジレンマ とも呼ばれます。
なお他人の著作物を使ってお金儲けをしようとする行為も紛れもなく 「私物化」 だと云えますが、この場合は イナゴ (175) などといった別の言葉で批判する場合が多いでしょう。
ファンによる勝手な私物化は、作品やキャラに二次被害を及ぼす
一方、ファンによる二次創作における 「私物化」 の場合は、本来の作者ではないので 「単なるいたずら書きだ」 と無視できる存在です。 しかし熱心なファンは自分の好きな作品を利用したり奪われたり汚されたと感じるケースもあり、著作権的な法律上の正当性もないため、拒否感情がより強く生じやすいものでしょう。
純粋なファン活動としての似顔絵といった 二次創作・ファンアート ならともかく、度が過ぎた 夢表現 を大っぴらに公開するとか、ツイッター などの SNS で人気キャラの アイコン や二次創作絵を使った自己主張や政治的主張を繰り返すような行為は、「アカウント に 鍵 をかけて隠れてやれ」「自分の意見を云うなら自分のキャラでやれ」 と思われがちな行動となります。
これらの批判は、「自分の好きな作品やキャラを自分の思い通りに動かさない」 ことに対する、ほとんどイチャモン レベル の単なる中傷の場合も多いですし、二次創作自体ある程度の作者の主張が入るものですから、その境界線ははなはだ曖昧です。 しかし好きなキャラを使って罵詈雑言や誹謗中傷、差別発言 を繰り返したり、特定の政治勢力・運動への攻撃や賛同を促すような使い方ばかりの作者・ファンもいますから、「やるならキャラを使わず自分自身の言葉としてやってくれ」「みんなに愛されているキャラを自分の都合で汚さないで欲しい」 と思う気持ちもわかります。 ましてそのキャラの 画像 が公式絵の無断転載や コラージュ だったり、自分以外の 同人作家 の二次創作絵で批判や中傷がそちらにも向かって迷惑をかけるような場合は、ほとんど論外の話だとも云えます。
また 「私物化」 の批判がとくに強まるのは、作者とファンの中間あたりにいる人の類似行動でしょう。 例えば 公式 から認められた同人作家とか、複数の 絵師 が キャラ絵 を担当する ネトゲ などで、特定のキャラのみを担当した公式絵師などの類似行為です。
どちらも公式や公認の一部であり、その主張が後で公式や公認に影響を与える可能性がありますし、とはいえあくまで一部に過ぎないため、それが作品全体を代表するような イキリ に見えて不快感が強まるのでしょう。 また公式から認められた公式二次創作の作者などはファンの一部にも属する立場でもあるため、場合によっては嫉妬なども混じって、かなり激しい バッシング や 炎上 を招くようなケースもあります。