家族として大切にしてるのか、子供扱いか… 「うちの子」
「うちの子」(あるいは 「うちの子呼び」) とは、本来は家族としての自分の子供とか、学校や学習塾といった施設の 管理者 や責任者、関係者などが自施設に通う子供を指して使う言葉です。 単なる子ではなくうちの子という言葉には、身内とか絆を持つ大切な存在、守るべきかけがえのない相手といった ニュアンス が含まれています。
一方、これらが転じて子供以外のものに当てはめて使われる場合もあります。 例えばペットの犬や猫をうちの子と呼んだり、メーカーの開発者が自社製品をうちの子と呼んだりするなどです。 家族や子供のように大切にしているし大事に思っている、あるいは自慢できる存在だとの親愛の情や自負からでる言葉であり、それを微笑ましいと感じることもあれば、動物や無機物を子供扱いする過剰な言い回しに違和感や自己満足・自己陶酔気味の キモさ を覚える人もいます。
うちの子フレーズでよく知られる 「うちの子に限って」 の場合は、その子供が何かしらの問題を起こして外部からそれを指摘された際に、そんなことをうちの子がするはずがないと反論する際に親が口にしがちなフレーズであり、それを揶揄・批判するものでもあります。 揶揄の文脈で使う場合は、今どきの子供はわりとずる賢いし、親も自分の子供のことを実はよく分かっていないし把握もできてない、過信や身びいきもいい加減にしろという意味になります。
自分の好きなタレントやキャラと 「うちの子」 呼び
同人 や おたく・腐女子 の世界では、ファン として自分が 推す 大好きなアイドルや声優といったタレント、あるいは既存作品の キャラ やその 二次創作・ファンアート のキャラを指して使うケースが多いでしょう。 後には主に女性ファンが男性の 生主 や Vtuber といった ネット での 配信者・パフォーマーに対し、リスナー として応援や推しの宣言のような形でうちの子呼びをすることもあります。
これは女性おたくや腐女子が女性として母親にありがちなセリフをなぞってシャレている場合もありますし、実際に家庭では母親だったり、そのポジションに憧れて真似ているだけの場合もあります。 あるいは対象を性的な目で見ていない、親が子に思うように純粋な思いで真面目に応援しているのだとの過剰なアピールの場合もあるでしょう。 また男性リスナーがその場の ノリ や言葉の流儀を尊重して使う場合もあります。 前述した 「うちの子に限って」 同様に、母親や保護者 (それも盲目的に子供を可愛がる子煩悩・親ばかな母親、あるいは過保護すぎる モンペ) をことさらに意識したような言い回しをすることもあります。 「よしよし頑張ってるわね」「無理しなくてもいいのよ」「あらあら、反抗期なのかしらね」 みたいなものです。
これらは マンガ や アニメ (およびその二次創作キャラ) など架空の存在であればさほど問題が生じなくても、実在人物であるタレントや配信者の場合は (とくに後者は、ライブ配信の コメント欄 や SNS で容易に本人にも届く)、時として子供扱いされることへの不快感を本人 (ご本尊) に与えるようなものもあります。 またそれが本人宛だけに留まるならまだしも、コラボ などを通じて関わる部外者に 「うちの子をよろしくお願いします」「うちの子の扱いおかしくないですか?」 などと 出張 して コメント しまくるほどになると、さすがに本人から 「やめて欲しい」 と苦言が呈されてしまうこともあります。
ファンやリスナーには悪気はなく応援するつもりなのでしょうし、こうした活動を好意的に受け取り積極的にコメントを拾ってくれる配信者もいます。 実際うちの子呼びリスナーは応援や 布教 にも熱心だったりと、頼もしいことも多いんですよね。 もっとも 馴れ合い が過ぎると 新規 のファンも入りにくくなるし、熱量 が高く ガチ なだけに対応を誤ると 反転 し アンチ になったりと、このあたりの機微は、対象が実在する ナマモノ 特有のものでもあります (基本的に 公式 やご本尊には直接的に触れないというのがある種の不文律や お約束・マナーですが、界隈 によってマナーや温度感も様々で、難しいケースも結構あります)。
こうしたネタとしての母親ヅラ、保護者・家族ヅラは男性ファンの間でも珍しいものではありませんが、男性の場合は彼氏ヅラとか恋人ヅラ (ネタとしての軽いものから ガチ恋・リアコ な本気モードまで)、あるいは 自虐的・露悪的 な変質者やストーカーヅラの比率もかなり高いため、やっぱり女性ファンによくある傾向な感じはします (配信者によっても場の 雰囲気 は違いますし、コメントを全抽出して比率を調べるみたいなことまではやってないので詳細は不明です)。
ちなみに男性リスナーによっては、男性配信者を異性の彼女・恋人に見立ててコメントすることも多く (いわゆる バ美肉 ではなく、地声の完全男性キャラでも)、逆に女性リスナーが女性配信者に対して女子校のノリでそれを行うこともあったりして、このあたりの配信者とリスナー、あるいは男女の異性・同性配信者に対する距離感には独特なものがあります。
リアルと バーチャル、男女と家族や親子、恋人、それぞれが混ざり合って、部外者は理解不能な界隈もあったりします。 奥が深いんですよね、ほんとに。 でもまぁ、外から見るとちょっと異常に見える界隈でも、中に入って ハマ ると本当にハマるし、居心地も良いんですよね。 もちろんご本尊が嫌だというならファンやリスナーとしてそれを尊重すべきだと思いますし、嫌なら見るな・not for me で、できるだけ両者の好みや 需要 が合致する、相性の良い組み合わせで楽しみたいものです。
二次創作やファンアートによるタレントやキャラと 「うちの子」
二次創作・ファンアートキャラのうちの子呼びについては、温度感も様々です。 二次創作キャラはオリジナルそのものではなく、あくまで自分の好みや 解釈、画風などが付加されたオリジナル部分を持つ存在であり、その部分で問題はないし対象が好きだという 愛 も感じられて微笑ましいとする意見がある一方、他人のキャラを自分の持ち物のように扱っている、独占欲を感じる、私物化 しているなどで、忌避する人もいます。
同人などは公式が明確に禁止していない限り、社会通念上許される範囲で自分の好きなように描いて良いと思いますが、自分の二次創作キャラや解釈を絶対視し、公式の解釈に異を唱えるほどにもなると、さすがに反発されることの方が多いでしょう。 ただしオリジナル作品の物語やキャラ造形などが多くのファンを失望させるものだったり、オリジナル作の 作者 が個人的に嫌われるような存在だったり ファンがジレンマ を覚える言動を繰り返すような場合、多くのファンから支持される二次創作側の解釈がそのジャンルでは尊重されることもあります。 善悪や筋目はともかく、現実に 「公式は 神」 ではないことも結構ありますし、「公式が 地雷」「公式がアンチ」 みたいなことすらあったりもします。
自作キャラ・オリジナルキャラは文字通りの 「うちの子」 かも
他方、より 「うちの子」 に近い表現としては、自作のキャラ、一次創作の オリジナルキャラ を指して使うケースもあります。 この場合はそのキャラを創造した生みの親は本人なため、文字通り 「うちの子」 でもありますし、自作キャラや自前キャラ、マイキャラよりは大切にしている感もあって微笑ましく感じられるものかも知れません。 とくに周囲に 一般人 がいる場所で創作やらの話をする場合は、重宝する呼び方でしょう。 これはオリジナルだけでなくアイドルのファンや二次創作でも同じですけれど。
類似の言い回しには 「宅の子」 とか 「うちの娘・息子」 といったものもあります。