あまりに美しすぎて、感動の余りロレツが回りません…
「ふつくしい」 とは、「美しい」「うつくしい」 の意味を感嘆しつつ情感たっぷりに表す賞賛表現の一種です。 賞賛する対象があまりに美しすぎて、感動の余り呂律 (ロレツ) が回らなくなり、舌が絡まっておかしな発音になってしまった…なんてのを表現するための云い回しになります。 意味的には、「うっとり」「ブラボー」 なんてのが近いでしょうか。
喜びや哀しさ、怒りなどなど、感情の大きなうねり、起伏を マンガ や ネット の 書き込み などの 「テキスト」 で短く伝えるのは難しいものですが、こうした書き方ですと、分かる人には状態が分かるので、ネットの掲示板などでは 誤変換当て字、誤読文字 なんかと並んで、ある種の擬態語のような感じで頻繁に見かける方法になっていますね。
元ネタは 「遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ」
なお 「ふつくしい」 の直接の 元ネタ は、テレビ東京系で放映された アニメ 「遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ」(原作/ 高橋和希/ 2000年4月18日〜2004年9月29日/ 全224話/ テレビ朝日系列で放映された 「遊☆戯☆王」 の実質的な続編) の第54話、「この町はバトルシティとなる!」(2001年5月8日放映) の中で、究極の モンスター、「アルティメットドラゴン」 を見て海馬瀬人が思わずもらしたセリフ、「美しい」 に由来します。
「遊戯王」 はその後、第三期となる続編 「遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ GX」(2004年10月6日〜2008年3月26日) に続きますが、「デュエルモンスターズ」 も同じ時期に再放送され、一部は動画サイトなどネット上でも 共有。 その際この 「美しい」 が、空耳 で 「ふつくしい」 と聞こえることから、ニコニコ動画などで 弾幕 化して流行しました。
ことさらに大げさ、ハイテンションな言い回しで場を盛り上げる効果も
この種の形容詞は、賞賛か罵倒かに問わず、感情の表現ではとりあえずとことん大げさに表現するのが分かりやすくて好まれているようです。 なお使う対象は、「美しい」 と感じたものなら何でも構いませんが、雄大な大自然とか 女神 のような美女など、人智を超えた圧倒的な美に対して使うのがセオリーのようになっていて、その意味では大げさな感嘆に相応しい使い方となっていますが、稀に SM などでの、荒縄の緊縛の様式美なんかで、ことさらに使う場合もあります。
なお似た言葉として、「すばらしい」 を 「つばらしい」「最高」 を 「たいこう」 などと呼ぶ場合もあります。 またまるっきり語源や元ネタが異なりますが、ふとましい なんてのも、美称として使われるケースがあるようです。