同人用語の基礎知識を見てるなう
「○○なう」 とは、何かに接尾して自分が今やっていること、自分の所在地や状態などを表現するための ネットスラング です。 例えば本を読んでいるなら、「本を見てるなう」「読書なう」、秋葉原 に居るなら 「アキバにいるなう」「アキバなう」 なんて感じです。
秋葉原にいたら、「アキバなう」 |
「なう」 とは英語 「Now」(今、現在) のことで、ミニブログ Twitter (ツイッター) で 「つぶやき」 をするとき、欧米の利用者が自分の今の状態を 「Now」 で表現していたのが日本にも伝播。 ただしそのまま英語やカタカナで使うのではなく、なぜか平仮名の 「なう」 になったのでした。
またこれとは別に、mixi などの SNS で自分の所在地を示す流行語として 「ナウ」 が使われていて、これが平仮名に変化したとの話 (後述します) もあります。
「ナウ」 という言い回しは、昭和の時代に 「今風」「イケてる」 なんて意味の 「ナウい」 などという若者言葉で使い古された言葉ですし、平成になりここらは 「ひらがな」 でちょっと新しい感じが出ているのかも知れません。 また 同意 を示す 「うい」 や 「そそ」 などの ネトゲ や チャット の入力言葉と同様、変換なしに素早く簡単に打ち込めるのも、「つぶやき」 に好都合で良いようです。
日本の ネット の世界では、ツイッターが流行り始めた2008年頃から見かけるようになり (ただし日本語版のサービス開始は 2008年4月23日からで、それ以前は英語版をそのまま使っていた)、2009年に大手メディアなどもこのツールを話題として扱い、その際に特徴的な言い回しである 「なう」 が話題に。
その後 「なう」 を巡るちょっとした騒ぎもあり (後述します)、2009年中には、ツイッターのつぶやき以外の場所 (例えば普通の ブログ や 掲示板 など) でも、見かけるようになりました。 2010年12月には、年末恒例のいわゆる 「流行語大賞」 のトップ10入りも果たしています。
奥行きのある 「なう」 の流行と、対義語としての 「わず」
なおこれとは別に、mixi でカタカナ表記の 「ナウ」 が、現在のような使われ方をして広まっていたとの話もあります。 時期的には2004年から2005年頃とも云われており、そこからツイッターに伝播したとの説もあります。 ただしカタカナによる 「ナウ」 は大昔からありますし、現Twitter社 となる Obvious社が Twitter のサービスを開始したのは2006年7月です。 どこまでたどると 元ネタ と呼べるのか、あるいは収斂進化のように、同じ目的で使う似たような言葉があちこちから湧いて出て偶然ツイッターでブレイクしたのか…このあたりの経緯は奥が深いです。
ちなみに 「なう」 の対義語のような使われ方をする言葉に、「わず」 という言い回しもあります。 こちらは英語の動詞の過去形である 「was」 から来ていて、「○○だった」「○○が終わった」「済んだ」 といった意味で使います。 例えばさっきまで秋葉原にいたけれど今は移動して別の場所にいるなら、「アキバわず」 などとなります。 この他、ほとんど同じ意味で使われるものに 「だん」(done) や 「おわ」(終わった) などもあります。
「下野なう」 って…?
産経新聞が初めて下野なう |
「○○なう」 という言いまわしが、ツイッターを利用していない人にも強く認識された 「事件」 があります。 それが 「下野なう事件」 です。
「下野なう」 とは、「下野した」 という意味ですが、これは2009年8月30日の衆議院総選挙で自民党が民主党に大敗し、政権を失ったことを間接的に指します。 「下野なう」 それ自体の元ネタですが、産経新聞の社会部が開設していたツイッターの アカウント、「SankeiShakaibu」 にて、次のような2つの 「つぶやき」 があったことに由来します。
産経新聞が初めて下野なう
でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ。
本来は公平中立であるべき新聞社が、あたかも自民党と一心同体かのように 「下野した」 と述べるこのつぶやきは、同紙がかねてから保守的な立場を取っていたこともあり、「ついに本音が出たな」「やっぱりそうか」 などの反応をネット利用者らにもたらしました。 とりわけ 2ちゃんねる のニュース系の掲示板などでは、ちょっとした お祭り のような騒ぎとなりました。
ツイッターを全く利用していない掲示板利用者らにまで急激に 「なう」 が 認知 されたのは、この頃からでしょう。
誤用? アレンジ? 「なう」 の使い方あれこれ
2009年末から2010年になり、「Twitter」 の認知度がますますアップ。 また 「Twitter」 の利用にうってつけの携帯端末 (iPhone) が前年秋より手に入れやすい料金プランで登場したことにより、普及が加速しているようです。 それに伴い、それ以前の利用者に比べ明らかに年齢層が低下、さらにパソコンなどに不慣れな 一般人 も参加するようになって、「なう」 の使い方も変化しているようです。
例えば 「今、本を読んでるなう」 の場合、「今」 と 「なう」 が重複してるとか、「食事中なう」 は 「中」 と 「なう」 がかぶっているのではないかとの文法上? の誤りを指摘する意見が出てきたり。 また 「昼飯なう明日はカレー食べるなう」 では 「じゃあ今食ってるのは何なんだ?、明日が何でなうなんだ?、文法的には 「明日はカレー食べたい気分なう」 が正しいのじゃないのか」 とか、さらには 「なうなう」「朝からなう〜」「なう?」 なんて意味不明な、単に 「なう」 を語尾に使ってみたいだけだろこれ…っていうか、ただの 語尾いじり の使い方のような、ネタ 的なつぶやきも増えています (ツイッターでつぶやくこと = なう、のような意味変化も)。
また元衆議院議員でタレントのハマコー (浜田幸一) の 「つぶやき」 では、民主党鳩山代表や小沢幹事長らの不透明な政治資金問題について、「国税も検察も なさけなう!!」 など、もはや単なるダジャレ (地口、もじり)、オヤジギャグのような状態となっています。 このハマコーのつぶやきは、本人のアカウントだと判明した頃からネットメディアやマスコミなどが 「ハマコー、Twitterで大暴れ」 として報道し始め、ここでの 「ハマコー語」 が、徐々に広まりつつもあります。
携帯電話で 「なう」 → 「なあたあ」
なおその後、「なう」 から変化し、「なあたあ」 と書く場合もあります。
これは携帯電話のキーで 「なう」 を打つ時、「な」 を1回、「あ」 を3回打って 「あ → い → う」 にしようとした所、誤って 「な」「あ」 その後 「あ」 の下の 「た」 さらに 「あ」 と続いたものが定着したものです。 語感はかなり違いますが、意味や使い方は同じです。