Twitter のハッシュタグから重要なキーワードに 「pray for japan」
「#prayforjapan」「プレイ・フォー・ジャパン」 とは ネット の世界で、Pray (祈る) for Japan、すなわち 「日本のために祈ります」 といった意思表示として使われる言葉です。 これは 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) と津浪などにより、日本が極めて大きな被害を受けたことによります。
意味としては、「震災被災者の無事を祈ります」 となりますが、時間を経るごとに、日本を応援しよう、日本にエールを送ろう、一緒に頑張りましょう…といった意味も付加され、それが大きなウェイトを占めるようになっています。
「prayforjapan」、東日本大震災と Twitter
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震で 壊滅的な被害を受けた東北地方 |
「prayforjapan」 の先頭に 「#」(シャープ) が付いていますが、これはミニブログ、Twitter の ハッシュタグ として作られた言葉だからです。
つまり自分の ツイート (つぶやき、コメント) に 「#prayforjapan」 を入れておくと、Twitter 上の検索、抽出によってひとつのカタマリ、クラスタ として扱われ、「被災者の無事を祈ります」「日本のために祈ります」 という行為や意志表示を広く呼びかけたり、他のユーザーとその思いを 共有 することができるようになります。
震災により通信インフラが破壊されたり、安否確認のための通話などが集中する中、電話や携帯を使った メール などの利用が困難となり、Twitter をはじめネットの様々な場所で、情報共有のための取り組みが行われました。
企業が主体となってはじめたものもあれば、個人が既存コミュニティなどで呼びかけて取り組んだ試みもあります。 その中でもこの 「prayforjapan」 は、被災地と直接関係のない地域のユーザーや、日本以外のユーザーが参加できる試みとして、とても大きな広がり方をしました。
またそれと同時に、専用の ツイッターのアイコン が作られたり、既存アイコンのデザインの一部に日本の国旗・日の丸や富士山、日本列島など日本をイメージする図案を加えたり、さらにハートマークや 「祈」「絆」 といった文字を一緒に描き加えて意思表示する場合もあります。
緊急時の情報共有と 「prayforjapan」
東北地方太平洋沖地震に関して Twitter (2011年3月12日) |
Twitter では、震災直後から様々なハッシュタグが登場。
地震一般に関する情報を取りまとめるための 「#jishin」 や救助要請のための 「#j_j_helpme」、避難情報のための 「#hinan」、安否情報のための 「#anpi」 などが提唱され、普及しました (この震災以前から使われていたものもあり、改めて呼びかけられています)。 「#prayforjapan」 は、そのうちのひとつとなります。
震災翌日の3月12日には、これらのハッシュタグや 新規 のハッシュタグが、Twitter の 公式 ハッシュタグとなり整理。 広く共有されることとなっています。
この 「#prayforjapan」 というハッシュタグのついたツイートは様々な立場の人が取りまとめ、キュレーションサービスを利用したり個人の ブログ などを使い まとめサイト の形で一覧表示を行ったり、そこから 「日本のために何かアクションを起こそう」 といった世界的な支援や応援の輪を作るひとつの中心のような動きを喚起しています。
その後は Twitter から飛び出し、YouTube や ニコニコ動画などの 動画共有サイト や flickr、Instagram などの写真共有サイト、mixi、Facebook などの SNS サービス、一部の 掲示板、ブログ、企業サイトのアイキャッチなどにも 「prayforjapan」 として取り入れられ、「がんばろう日本」 や 「頑張れ日本」 と同様に、ある種の流行語、ネットスラング のような扱いをもされています。
「prayforjapan」 に対する考え方や、感じ方
prayforjapan.com、内容の一部は後に書籍化 され、印税は全額被災者への寄付に使われた |
多数のプロ作家、有名作家が参加した、東日本 大震災チャリティ同人誌 「pray for Japan」 |
救助要請や安否確認などの 「緊急時の情報共有に必要な実用的ハッシュタグ」 と異なり、単なる理念、もっと云うと偽善や自己満足、慣れ合い のためのハッシュタグだとして、この 「prayforjapan」 を嫌う空気もネット上にはあります。
中にはあからさまな売名行為にこれを利用する人なども出て、嫌悪を隠さない人などもいます。 また被災者自身やその家族が、こうしたネット上の呼びかけや動きを肯定的に捉えているのか、そうでないのかもわかりません (様々な意見があります)。
しかしこうした呼びかけから、被災地支援への動きが起こったり、行政や企業による支援のあり方に一定の影響は与えうるものと思いますから、仮に偽善、自己満足だとしても、「やらない偽善よりやる偽善」 といった肯定的な評価をする人が多いのが震災後の状況でしょう。
こうした呼びかけにより人と人とが繋がり、支援の輪が広がることを期待したいものですね。
なお、こうしたタグを使い、悪意を持ってデマや流言飛語、不快な中傷などを飛ばす悪質なユーザーもいます。 他の緊急時用ハッシュタグや 拡散 を促す 【拡散希望】【緊急拡散】 などの見出しヘッダなども同様です。
単に リツイート (RT/ Re Tweet) により情報の横流し・拡散をするのではなく (善意からとは云え、デマ流布の手助けをしていることになります)、その都度、「これは自分と繋がっている人間に対して、ある程度責任を持って伝えて良い情報なのかどうか」 を考える ネットリテラシー は持って、行動したいものです。 そしてそれを踏まえた上で、自分に出来ること、やれることで、助け合いを行えば、それが大きな力にきっとなるのでしょう。